前回の記事で、私は「全社員が誇りと快適さを感じて働いている職場」で働きたいと書きました。
これは、チャンスがあれば、社内でも披露しています。
昨年、これを熱弁して実現したワークショップがあります。
「働きやすく、働きがいのある職場」とはみんながどんな行動をとる職場か、
誰もがずっと誇りに思い、実践できるような行動原則とはどんなものか、
若手社員に考えてもらうというものです。
行動原則の必要性
経営学では、MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の必要性や、
それを実現するための行動原則のシェアと実践が重要だと学ぶそうですね。
それは、「現場に優先順位を考えさせない」という意味もあるそうです。
内部統制において、従業員の不正は業務プロセスの中で防止する(不正ができない業務フローにする)ということと似ていると思いました。
社長の思いを直に触れられない多くの社員にとって、MVVや行動原則は、
重要な動機付け要因だと思います。
他にも選択肢があるのに、なぜこの会社で働くのか、
どんな会社だったら働き続けたいと思えるのか、
そんなことを考えるきっかけにしてほしいという思いもあり、
冒頭のようなワークショップを企画したのでした。
若者が求めるのは「働きやすさ」?
最近の若い子たちは、とても聞き分けがよくて真面目です。そして賢い。
上司の指導には従うけれど、無意味なものは上手にスルーしたり、
理不尽なことをいう人は「別人種」と捉えて、適当にあしらうことも。
ワークショップでは、そんな彼らに「どんな行動原則が必要だと思うか?」と
聞いてみたのですが、今ひとつピンときていない様子。
「じゃあ、どんな会社だったらずっと働きたい?」と質問を変えると、
「残業がない」
「働きやすい職場(福利厚生が充実)」
・・・といった感じ。
しかも、「働きやすい職場」は自分たちでつくるものではなくて、
会社が与えるものだ、という理解をしている人たちがほとんど。
まぁ、一般社員だから仕方のないところもあるかもしれませんが・・・
最終的には、MVV実現のために「行動」ベースに落とし込んでもらいました。
それなりに自分ごと化してもらえたと思いたいです。
共通の判断・行動の基準はいらない?
以上のような行動原則の必要性を感じてもらうワークショップに参加してくれた
ある若手社員がフィードバックで以下のようなことを寄せてくれました。
「行動原則」なんていらないし、覚える必要もない。
一人ひとりが自分で考えて行動することが大事だから。
その社員の考えは間違いではないと思います。
しかし、一人ひとりバックグラウンドも今置かれている状況も異なる中で
共通の存在意義やありたい姿を実現するためには、
やはり共通の基準が必要だと私は信じています。
私たちは「手段を選ぶ」のです。
その心をもっと伝えていかないといけないなと思った機会でした。
これ、経営陣の仕事じゃないの!?という葛藤と闘いながら。