Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

ひな形を見直す頻度

法務部門は、大抵の場合、会社に最初からあるわけではなくて、総務部門から分離独立することが多いと思います。

文書や規程類の管理、押印が総務の仕事だから、社内でもっとも文書を見る力が備わっているはず、ということで契約書を見る仕事まで任されるようになり、そっちが本業になる人が現れて、法務部門と相成った…というパターン。

もっとも、これは一昔前の話で、最近のスタートアップでは、法律というのは「守るもの」だけではなくて、「使うもの」あるいは「作るもの」という意識が最初からあるので、法務担当者はわりと初期の段階からいらっしゃるのかもしれませんが。

 

そんなわけで、総務が片手間でやっていた時代、法務部門ができる前から使用されているひな形というのが、そこそこ歴史のある会社には結構あるのではと思います。

ひな形は一度作られると見直されにくい

日常的に締結される定型的な契約書は、あらかじめひな形を作っておくというのが効率化の第一歩。

そこで、売買契約書などは古くからひな形がありました。ワープロやPCが普及する前は、印刷されたものが備え置かれていたりなんかして。

(私の勤務先では、そんな契約書もまだ立派に現役です。)

 

先日の記事で、我が社はExcelで契約書を作っているという話を書きましたが、そういう契約書は1枚ペラがほとんどです。

どういうことが起きるかというと、何枚も契約書を交わすことになります。

あるいは、ちょっとしか変わらないのに、ひな形が量産される。

そんなわけで、私の知る限り、我が社のひな形は200を超えます(しかもひとつの事業部門で)。

そして、それらのほとんどは、法務部門ができる前に作られ、また、日常的に定型で締結されるので、法務にチェック依頼がくることもなく(特に法務はキャリア採用ばかりなので、会社の歴史に疎い。)、見直しのチャンスがそもそもないのです。

問題が起きたときに初めて「この契約書では問題が解決できない。。」となったことも。

定期的に見直す仕組みが必要(希望は年に1回)

契約書は、平時というよりは、有事のときに活躍することが期待されていますから、「使える」契約書であるためには、やはり、自社の教訓や社会の変化などを踏まえた定期的なメンテナンスが必要だと思います。すっかり定着したものの、暴排条項の挿入などが良い例です。

つまり、仕組み化が必要という話なのですが、そのためには、契約書ひな形の一元管理と実態(使われ方)調査が必要であり、一定規模以上の会社になってくると、これはかなり難しい。法務の中央集権化(本社集約)か地方分権(事業部門に法務担当者を置く)か、という話にもなってきます。

可能であれば、年に一度、閑散期にまとめてレビューできればと思うのですが。

ひな形は極力減らすほうがいいのでは?

年に一度、閑散期にまとめてレビューできたら…と思うのですが、とはいえ、数百のひな形をレビューするのも骨が折れる。

そもそも、それだけの契約書をみんなが使いこなせているのかも疑問。

ひな形の数はもう少し減らして、こういうパターンならこういう条項を…というデザインができたら、使う方も、ひな形を作る法務も、効率的だなと思うのですが、今のところまだ実現はせず。。

海外では、そういったLegal Techも現れているようですから、日本でもそういったサービスを受けられる日が近いかもしれません。