Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

社外役員の報酬相場

役員報酬というのは、総会で枠取りし、取締役については取締役会に一任して、さらに取締役会が社長に一任、監査役については監査役の協議に一任、というプラクティスが一般的(普通)と習ってきました。

最近は、CGコードやモノ言う株主様の要請により、少し風向きが変わってきているらしいのですが、事業会社にいると実態は見えず…

さらに、社外役員も増えまして、常勤監査役がボソッと「社外取締役より社外監査役のほうが3倍くらい忙しいと思うんだけど、報酬は・・・」と言ったとか言わなかったとか。

上場企業の社外取締役の報酬相場は数百万円〜1000万円台?

監査役のぼやきが気になったので、社外取締役と社外監査役の報酬相場はどんなものか調べてみました。

まずは社外取締役から。BUSINESS INSIDER JAPANに以下のような記事がありました。

www.businessinsider.jp

 

各社公表資料によると年間の報酬額は上場企業で数百万円~1000万円台、トヨタ自動車など大企業では2000万円を超す事例もある。また総じて「金融機関は拘束時間が長く報酬も高い」(社外取締役経験者)傾向があるといい、メガバンクで報酬1000万円台後半〜2000万円、上場している地方銀行で数百万円が相場のようだ。

このあたりの事例研究は、商事法務がしっかりやってそうなので、そちらを見た方がよいのですが、あいにく手元になく、こちらの記事で情報収集。そんなものかなぁという感触です。

この記事では、社外取締役の拘束時間は月に100時間程度という記述もありました。社外取締役は、取締役会への出席に加え、事前に事務局から議案の説明を受けたり、監査役会と意見交換したりされることが多いと思いますが、月に100時間も割いてくれているかしら。笑

社外監査役の相場は200万円〜750万円

かたや、社外監査役については、日本監査役協会が定期的に調査を実施しており、昨年(実質は2017年)の調査結果が公表されています。さすが、監査役ですねぇ。

http://www.kansa.or.jp/support/enquet18_180427-1.pdf

こちらによれば、上場会社の社外監査役(非常勤)の報酬は200〜500万円未満が5割弱です。500万円〜750万円未満をあわせるとほぼ7割。

社外取締役よりも割安なようです。

常勤監査役は平取締役〜執行役員程度

監査役協会の調査項目は興味深くて、常勤監査役の報酬レベルは、会社の中でどの程度か?という赤裸々なものがあります。

これによると、上場会社の場合、常勤監査役(社内)の月額報酬レベルは、執行役員と同じくらいというところが約4割、平取締役と同程度というところが3割弱とのことです。中には、社長と同じというすごい会社さんもありますが、多くは取締役より(言葉は悪いですが)見劣りするようです。

監査役にももっと報酬を

以前は、「取締役になれなかった人が監査役になる」なんてことも言われていましたが、監査役は、取締役会に出席して必要に応じて意見を述べるだけでなく、上場会社の場合は監査役会にも出席しなければならないし、各自で監査も必要で、内部監査人や会計監査人とも連携したりと、非常にお忙しいです。私も、法務部門として監査役と定期的に意見交換をさせていただいています。

このご時世、監査への期待は高まるばかりですし、「出世できなかった人」のための椅子ではありません。

取締役会で一票持っているほうが偉いなんてこともないはずで、いざとなれば取締役を相手に会社に代わって戦わなければならないのだし、もう少し報酬をはずんでもよいのでは?と思うのです。そもそも、監査役の報酬は、総会で得た枠の範囲で監査役が決められるわけですから、自由に増額すればよいのですが、実際には会社(≒社長)の顔色を伺わないと難しいみたいです。

(もっとも、役員報酬で食い扶持をつないでいる社外監査役はめったにいらっしゃいませんが…)

監査等委員である取締役の報酬は?

取締役と監査役の報酬の格差は、取締役会の議決に加わることができるかどうかの違いに由来していたはずです。

とすると、監査等委員会設置会社においては、監査等委員である社外取締役は議決に加われるし、プラスαで仕事をするわけですから、「ただの」社外取締役よりは報酬をもらうべきように思えます。実態はどうなっているのでしょうか?

以下のように1,300万円程度という調査結果もあるようですが、まだまだ手探りといったところでしょうか。

jinjibu.jp