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大阪で働く法務パーソンのはなし

表記に関する本3冊

以前に「表記のゆれが気になる」と書きましたが、改めて表記のルールに関する以下の書籍を読み返しました。

 

私の手元にある表記に関する本3冊

私の手元には、表記に関する本がこれに加えてあと2冊あります。

それが以下の2冊。

『新法令用語の常識』は、その前身ともいうべき『法令用語の常識』から愛読?しています。法務パーソンなら、手元に置くべき本の一冊ではないかと思います。「表記」以上に、法令用語の意味を教えてくれる本でもあるからです。 

本当は、法務に配属される人の課題図書にしたいのですが、今のところ「推薦図書」としています。

もう一冊の『記者ハンドブック』は、常に参照するというわけでもないのですが、新聞の世界で使われる=比較的多くの方に馴染みのある表記や、同音異義語の使い分けなどが含まれているし、「書く仕事」をしている人は必携だと「書く仕事」をしている人から聞いたので、形から入る私は手元に置いているというわけです。

これだけあれば、表記はお任せあれ!と言いたいところですが、そうは問屋が卸さない。なぜならば、明確なルールが常にあるとは限らないから。

法務は公務員のお作法を参考に「マイルール」を持とう

以前にも書きましたが、過去に勤めた法律事務所では、表記のルールを最初に習いました。その基本は、改訂前の『分かりやすい公用文の書き方』に拠っていたのではないかと思います。

この書籍は、職員の啓発を目的に書き下ろしたものであり、慣行に依拠するところも大きいと著者は断っていらっしゃいますが、公用文の書き方が総合してまとめられているので、重宝します。

公用文は、分かりやすい文書であることが求められ、「公用文の書き方」はそのためのお作法ですから、法務パーソンもまずはこれをまねるのがよいと思います。

しかし、実際の表記には、学校教育で指導されるものやマスコミで使用されるものがあり、公用文とは必ずしも一致しません(たとえば、公用文では「御案内」「おそれ(虞)」、マスコミでは「ご案内」「恐れ」)。

結論、いつも悩ましく、とりあえず「マイルール」を決めておくのがよかろうと私は考えています。

細かいことの積み重ねが重要

この本の序章に、以下のようなくだりがあります。

 

こうしたことが枝葉末節のことでどうでもいいことであると感じる人には、この本を読んでいただく必要はない。こうした細かいことの積み重ねが、国民や住民に対して分かりやすい文章を提供することになるものと、私は信じている。 

(『分かりやすい公用文の書き方[改訂版(増補)]』8頁) 

立場上、表記のゆれを指摘することがあります。

年齢や職位が上の方にもお伝えしなくてはならず、心苦しいというか、言いにくいときもあります。あからさまに嫌な顔をされることもあります。

しかし、やはり私は細かなことにこだわり、それが法務が成果物に込めることのできる(数少ない)誠意のひとつだと信じたいです。