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大阪で働く法務パーソンのはなし

株主総会の前日〜当日の動き

株主総会の季節がやってきています。

株主総会で法務が担当する仕事は各社各様です。ある会社さんは、「案内係だけ」とのことですし、またある会社はシナリオや想定問答の作成・レビューから議長支援まで大車輪の活躍をなさるところも。私自身、前職ではシナリオや招集通知のドラフトと想定問答の取りまとめ、当日は議長支援から取締役会事務局まで行っていました。

今日は、私の勤務先の役割分担をご紹介するとともに、もう少しうまくやれないかと悩んでいることを書こうと思います。

役割分担…の前に我が社の総会スタイル

役割分担の前に、我が社の総会スタイルをご紹介します。

我が社の場合、議長は社長が務めますが、質疑応答は担当役員が回答するスタイルです。おそらく、上場企業では多数派のスタイルかと思います。

過去に務めた会社では、議長も質疑応答もすべて社長が務め、マイクは議長席にしか置かないというスタイルでしたが、これはカリスマ社長がいる場合の珍しいパターンのようです。

我が社の役割分担

我が社では、毎年若干の変更はありますが、以下のような役割分担で対応しています。

 総指揮:総務部門

 事務局(議長支援):経営企画部門/法務部門/財務部門/事業部門から選抜

 シナリオ・事業報告映像:IR部門

 招集通知:総務部門の指揮の下、各部で連携(主に財務部門とIR部門)

 想定問答:各部で作成し、総務部門で取りまとめ

 議場内(誘導係):本社勤務者から選抜(各部に協力依頼)

 受付:総務部門と新入社員(数年前までは本社勤務の女性社員)

 議決権集計:法務部門

 会場周辺の案内係(看板持ち):本社勤務の営業部門

 その他、会場予約や宿泊手配など細かなことは全部総務部門で実施。

 

法務は議長支援として事務局に入ったり、議決権集計係をしたりします。議決権集計というのは、前日までの書面・電子投票の集計結果と当日の出席株主の議決権数を取りまとめることで、その結果は、開会宣言前の定足数確認や議事録への記載に不可欠です。

はい、我が社の場合、株主総会における法務のミッションはただ一つ。

 「議事録を作る。できれば当日に。」

なんとかできないか① 前日の行使状況の読み込み

これは、我が社の心配性を治せばよいだけの話なのですが、総会前日には以下のような動きになり、もっとスリム化できないかと思っています。なお、本社と総会会場との間の移動時間は、少なくとも30分です。

 

午後5時 議決権行使期限

午後5時30分頃 議決権集計結果がシステム生成・ダウンロード

午後6時 会場へ移動し、会場受付のPCに読み込ませる

午後6時30分頃 前日までの行使状況をプリントアウト

 

以上は万事が順調にいった場合で、そうでなかった場合はもっと遅れます。

会場受付のPCは、証券代行さんにお持ちいただくものでオフラインのため、ダウンロードして読み込ませるというのは仕方ないのですが、「前日までの行使状況をプリントアウト」という作業は本当に必要なのか。

実は、この作業は、翌朝本番前の役員に向けて、「昨日までの行使状況はこんな感じでした。ほらみなさん、賛成多数は確実なので、どうぞ安心して臨んでください。」というためだけに行うものです。うーん、省略してよさそう。。

当日朝に確認して、口頭報告で足りるのではなかろうか。

なんとかできないか② 総会後の動き方、いや、議事録

我が社の場合、総会が終われば、すぐに本社に移動して昼食を取り、その後で取締役会を行います。取締役がお昼ご飯を食べている間に、裏では監査役会が行なわれるのが通例です。

取締役会は、原則として月に一度しかなく、我が社の場合は次の定例取締役会がほぼ一月後のため、登記のためにはこの日のうちにご出席者の押印をもらわねばならず、総会後の取締役会はその場で作成して直ちに印刷し、ご押印を頂戴することになっているのですが・・・これがかなりバタバタなんです。

基本的に、後役会ではお決まりの議題以外は付議しないことになっているので、特に議論にもならず、シャンシャンで終わり「●●を行いたい旨提案したところ、取締役全員異議なく原案どおり承認可決した」という下書きがそのまま最終になるのが通例です。

しかし、最近は、社外役員の積極的な関与や取締役会の活性化が求められているからか、こんなお決まりの議題でも発言があり、また、議事録にも発言を詳細に記載する傾向があるので、ご発言を議事録に書くかどうか、書くとしたらどうまとめてご承認をいただくか、というプロセスが必要になり、時間を持て余している役員を尻目に冷や汗を書きながら議事録を作るという…

他社さんはどうなさっているのでしょうか。

どうなっていくのかー株主総会の内容の公開

例年課題としてあがり、毎年見送っている問題として、総会の公開があります。

公開といっても、動画配信するわけではなくて、総会後速やかに、出席者数や質疑応答内容の公開を行うという意味ですが。

IRの流れとして、透明性と公平性の確保があり、一部の機関投資家やアナリスト、株主にリップサービスをすることは許されず、どの株主・投資家にも同じ情報を渡そうということになっています。

そこで、IR部門としてはそれを実践しようとするのですが、今のところは毎年見送っています。そのうちやることになるのでしょうが、そうすると一層当日は慌ただしくなりそうです。