Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

ロゴの管理

前回、グループ会社の産業財産権保有・管理方法を取り上げましたが、その管理項目のひとつ、会社やブランドロゴの管理について今日は書きたいと思います。

法務部門でロゴ管理をしている会社さんはかなりレアのようで、他社さんのお話はなかなか伺うことができません。

「ロゴは決まったものしか使えない」が普通

他社の法務部門の方に、「御社では、ロゴはどのように管理していますか?自由に変形できますか?」と聞くと、大抵の場合「他部署が管理しているからわからない。ロゴは決まったものしか使えず、変形するなんて考えたこともない。」という回答。

超大企業や意識が高い会社さんだと、VIマニュアルもしっかり徹底されているようです。

VI(Visual Identity)マニュアルとは、ロゴの色や使い方などのマニュアルで、ブランドを維持するためには必須です。色はこの色でないとダメとか、フォントを変えてはいけないとか、最小サイズはいくらでこれより小さくしてはいけないとか、アイソレーションはこれだけとかいったことが定められています。

「デザイン経営」といった考えが広まっていて、ロゴは会社そのものを表現しているのだから、定められたとおり使うべしというわけです。

 

我が社も他社さん同様、「何を」使うかについては、あまり問題にはなりません。私たち法務としても、ロゴの使用態様については基本的に意見する立場にないというスタンスをとっています。マニュアルに抵触しませんか?という指摘をするくらい。

「どこで」使うかが問題

問題は、「どこで」使うかでして、端的にはその管理をするかしないか。するなら誰がどうやってするか。

他社さんに伺うと、少なくとも法務がこれを担当しているところはないようなのですが、我が社では「ライセンス管理の一環」ということで、私たちが担当しています。

イベントでロゴを使用することが果たしてライセンスなのかという気はするものの、スタジアムのネーミングライツといった大口のものであれば契約締結もあって、法務で管理することに特に違和感もありません。しかし、消費財を扱う当社の場合、地域のお祭りのような小規模イベントでの協賛も多く、いちいち契約書を締結することなく、ロゴがあちこちで使われています。

原則は各部判断を尊重

ブランド戦略のチームと何回か話し合いを重ねる中で、

  • 一切関知しない。各部判断に任せる。
  • すべて本社(法務)への事前許可制とする。

のどちらかの方法しかないのでは?ということになり、我が社は原則として前者を採用しました。

ただ、まったく野放しというわけにもいかないだろうということで、企業イメージに関わるような特定の使い方(どこかのプロスポーツやチームのスポンサーになるなど)については事前許可制としています。

また、ライセンス契約は原則として法務のチェックを受けるようにお願いしているので、この2本立てで変なところで使われないようにと網をかけています。

おかげさまで、営業部門の中枢もブランドを大切にしてくれていて、私たちが社会に与えたいイメージと合わないところへのロゴの使用許可はNGを出しているようなので、今のところは事なきを得ています。しかし、もう少しルールがあったほうが良いのかな?という気持ちも燻り続けているところです。

誰か、ベストプラクティスを教えてくれないかしら。

メディアに取り上げられる可能性はしっかり確認していた

ロゴの使用許可については一元管理しないことにしているのですが、メディアに取り上げられる「かもしれない」情報は、我が社では一元管理しているそうです。

正面切ってお申し込みがあるものはもちろん広報で対応するのですが、件のように地元のお祭りに取材が入っていて、当社のロゴも撮影されていたとか、インタビューを受けたといったことがあれば、情報を集約しているそうです。目的は、その報道をご覧になったお客様からの問い合わせに備えて、ということだそうで、結構細かくやっているなぁと手前味噌ながら感心いたしました。