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大阪で働く法務パーソンのはなし

他社の株主総会から学ぶ〜当日編

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今週、他社の株主総会に出席してきました。勉強目的なので、業務時間中に行ってもいいよ、と言われてラッキー(管理職なので関係ないけれど…)。

私が行ってきたのは、自社の総会と同じ会場(ホテル)で開催される会社さん。宴会場も同じですので、大変参考になります。出席者は倍以上でしたが。

まずは会場案内からチェック

我が社が株主総会をするホテル(今回参加した会場)は、最寄駅が複数あり、我が社では代表的な駅2つの出口から誘導係を配備します。今回もそのうちのひとつから歩いてみたのですが、おそらく我が社より配備は少なめでした。「ここで階段をおりてください」といった指示のあるカードもあり、親切だと思いました。もうひとつ親切だと思ったのは、閉会後のホテル内で、「××駅方面は← ●●駅方面は→」というカードを持っている方が立っていたこと。私のような方向音痴には大変助かりました。

議決権行使書さえあれば入場OK

今回参加した会社さんは、株主数は10万名以上の企業で、ホテルのロビーも当社と違って人でごった返しており、受付も流れ作業。これでは、他の企業の議決権行使書を出しても入れるのでは?というくらいでした。

おそらくどの上場会社の定款にも「株主は他の株主1名を代理人にできる」という定めがあり、厳格には、株主でない者が議場内に入ることは制限されるはずです。しかし、実際には本人確認を実施せず、議決権行使書を持っていれば入場可というのがオーソドックスです。いちいち確認なんかしてられませんから。

そんなわけで、当社でも、発言された方の入場番号を調べてみると株主本人ではないと推認されるケースもあるのですが(発言時に名乗られたお名前と株主名が合わない)、この場合も株主の発言と認めてよいのか少し引っかかります。株主の発言と処理しますけれども。

株主の質問は面白い

事務局や役員にとって、もっともハラハラするのは質疑応答の時間。聴く方はとても興味深い時間です。

今回参加した会社さんの個人株主の方は、会社の事業を深く理解されており、質問も的を射たものが多かったです。会社側も、質問が予想されるものについては映像を準備していたり、ばっちり想定問答を用意していたりという入念さ。質問への回答用に映像を準備しているという会社さんは初めてみました。

業績が非常に好調ということもあって、終始和やかな雰囲気でした。株主の質問は結構シンプルなものが多かった一方で、回答者はかなり丁寧に答弁されたため、やや長めになってしまった際には、議長が「ちょっと長かったんですけど、要するに…」などと発言されて度々笑いが起こるほどでした。

なお、多くの会社さんでは、舞台の中央に議長席と回答席が用意されており、議長に指名された役員が回答席に移動して回答しますが、この会社さんでは、役員は自席で手持ちマイクで回答されていました。

株主の楽しみはお土産

株主総会にお見えになる株主の方には、お土産を楽しみにされている方も大変多いです。お土産だけもらって帰る、という方も相当数いらっしゃるほど。今回の会社さんは、万人受けするお菓子でした。

しかし、流れとしてはお土産は廃止される方向にあります。出席できる人とそうでない人との不公平感を重視して、というのが表向きの理由ですが、実際には総会にかけるコスト削減でしょう。現実、結構大変なんです。我が社の場合、総会前日に新入社員を動員して紙袋に詰める作業をしていますが、紙で指を切るなど負傷者が出ることも。

ある企業では、以前はお土産が大変豪華だったのですが、3年ほどかけて徐々にショボくなり、最終的に廃止されていました。

後役会はどこで?

株主総会後は、取締役会を開催して代表取締役の選定等を行う必要がありますが、みなさんいつどこでやっているのでしょうか。我が社は、株主総会後はすぐにチャーターバスで本社に戻り、監査役会と取締役会を開催します。

その裏で、私たち法務部門は株主総会・取締役会の議事録を作り、押印をもらって登記申請準備を済ませ、さらに、株主からの質疑応答詳細版を作成して関係者に送るなどするので、朝8時くらいの会場入りから一息つけるのは夕方です。普段、法務はマイペースで仕事をするので、一年でもっともバタバタするのが株主総会当日ではないかと思います。