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大阪で働く法務パーソンのはなし

危機発生時の安否確認

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先週、危機レベルの判断が難しいということを書きましたが、そんなのんきなことを言っている端から、台風が大きな被害を残していきました。大阪は、昨年台風で大きな被害を受けており、私も不安な一夜を過ごした記憶が甦りました。

こういった「危機管理」は、一義的には法務の業務ではありませんが、我が社のように、有事対応メンバーに法務が入ることは珍しくないと思いますので、自社の安否確認方法などについてご紹介します。

何より命と安全確保 その確認手段は?

私の勤務先には、日本では北海道から沖縄まで営業所があり、お取引先・お得意先も全国各地にいらっしゃいます。今回は、関東地方への直撃が予想されていて、先日の台風の爪痕が生々しい千葉エリアへの影響を特に心配していました。先週は、木曜日くらいから、「週末の台風にはくれぐれも気をつけるように」と危機管理部門がアラートを出していたほど。

しかし、実際には、千葉エリアにとどまらず、静岡や長野、北関東や福島など、本当に広い地域に甚大な被害が発生しました。我が社の場合、とりわけ長野エリアは影響が深刻のようで、千曲川の氾濫で営業所が水没寸前となり近づけないといった報告が上がっていました。自宅が浸水したり、避難を強いられたといった報告はいくつもありましたが、社員やその家族は全員の無事が確認され、一同ひとまず胸を撫で下ろしたのが日曜のことでした。

さて、我が社には、前述のとおり日本各地に営業所があり、日本で働く従業員は数千人おります。こういうときのために、各組織が緊急連絡網を整備し、通常のレポートラインで安否や被害の報告ができるようになっています。しかし、今回のように週末だったり、上長が連絡困難だったりする可能性もありますし、何より迅速に確かな情報を集めるため、我が社では、セコム社の安否確認サービスを利用しています。

このサービスは、災害発生時、指定したエリアに居住する従業員(設定は会社で自由にできる)に対し、あらかじめ従業員が指定したメールアドレスまでメールを送信し、安否や被害の有無、出社可否などを指定サイト上で返信させ、それを管理者が逐次確認できるというものです。このサービスのおかげで、我が社も比較的迅速に従業員の安否の確認を行うことができました。

備えが大切

今回、比較的スムーズに安否確認ができたのは、日ごろの備えの賜物であったと思います。

というのも、セコム社のサービスはとても便利なのですが、従業員の居住地(現在地)が正しく設定されていることと、従業員にきちんとメールが届くことができなければ、無用の長物です。今回は被害範囲があまりに広く、全国を対象に安否確認連絡をしたのですが、地震のときなどは、一定震度以上の地域にいなければ送信されない仕組みになっていますし、メールアドレスが違っていればそもそも連絡をすることができません。

我が社では、そのために、毎月人事異動のデータを更新し、年に一度はこの操作方法の練習を行い、返信がなかった人にはアドレスの確認と再登録を指示しています。今年もつい先日実施したばかり。取りまとめ部門にとってはそれなりの負担だと思いますが、これを行うことで、今回かなり高い返信率で確かな一次情報を入手することができ、自宅損壊などあれど、全従業員とその家族の安全を確認できたことは心から安心しました。

あわせて、通常のレポートラインのほうからは、現場から被害報告が画像とともに送られてきており、通常営業に戻すには今しばらくかかりそうだということもわかってきました。

連休中でPCを触ることができなかったのですが(我が社は基本的にPC持ち出し禁止です。)、スマートフォンで画像を含むメールも添付ファイルも確認することができました。技術の発達はありがたいことですね。