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大阪で働く法務パーソンのはなし

部下を評価し育成する

若手に任せられる仕事の幅がずいぶんと広くなり、自分の仕事に余白ができました。

近頃は法務の仕事よりも、法務のメンバーをどう育てていくかに強い興味があります。

人をどう育て、評価すればよいのか

自部門もそうですけれども、案件に対応していると常々感じるのが、「教育の重要性」です。なぜ、契約書をロクに読まないのか、もっと早くに周囲に相談しないのか、不正に手を染めるのか…など。

また、若手が退職する話を聞くたびに、なぜ彼らを活かせなかったのかと、他人事ながら悲しくなります。

そこで、先日のBUSINESS LAWYERSの記事で紹介のあった本を早速読んでみました。

 

こちらの書籍は、サブタイトルが「日本型・グローバル人事の教科書」とあるくらいですから、グローバル人事の話が中心です。

しかし、多様な人材を評価するという点で、私にとっても示唆に富む本でした。

人の価値=「モチベーション」X「スキル」X「経験」

こちらの書籍でも紹介されていますし、一般にも言われることだと思いますが、人材の価値とは、「モチベーション」と「スキル」と「経験」の積で表すことができるとされます。

そして、何を重視するかは、その人のステージによって異なり、

 若手→モチベーション

 中間管理職→スキル

 経営者→経験

と述べられていました。

まずはモチベーションがなければ話にならないということですね。また、特に若手はモチベーションがブレやすいということもあるそうです。

これは、法務においても同じです。特に法務は、後ろ向きな仕事も多いし、最初のうちはうまくできなくて凹むこともあるので、「自分は会社に貢献している」という強いモチベーションがなければ、なかなか成長は難しいでしょう。

一方、法務においては、スキルとはすなわち経験ともいえます。会社の修羅場をたくさん経験できた人は、優秀な法務パーソンにかなり近づけるはずです。やはり、法務で経験を重ねることは、経営者候補のトップタレントにとってもかなり有力な選択肢ではないでしょうか。(幹部候補が配属されたことはないけれど…)

人材を「価値」と「成果」でプロットしてみる

本では、育成方法を考えるときに有効な方法として、価値スコアの高低を縦軸、成果の高低を横軸にしたマトリクスに、各人材をプロットすることが推奨されていました。

このマトリクスでは、右上(価値高・成果高)が「トップタレント」、右下(価値低・成果高)が「育成機会あり」、左上(価値高・成果低)が「我慢のとき」、左下(価値低・成果低)が「キャリアチェンジ」の検討となっていて、

  • トップタレント→短期間で様々な経験をさせて育てる
  • 育成機会あり→不足している部分を明らかにして育成する
  • 我慢のとき→向いているがマンネリ化が考えられるので、今の業務の中で変化を促す
  • キャリアチェンジの検討

といった育成プランにより最適な処遇を考えることができるのだそうです。

自分のチームのメンバーで試してみたのですが、価値スコアは、1(1×1×1)〜125(5×5×5)まであって、プロットが難しかったです。スコアが30くらいで成果が高いと判断した場合、トップタレントなのか育成機会ありなのか…(繰り返しますが、法務のスキルは経験がモノをいい、たくさん経験した方が強い)

とはいえ、何事も見える化が大切。繰り返すことで、精度を高めていきます。

って、人事がリードしてくれよ〜と思うのですが。

結局は「経験」

人材価値は、モチベーションとスキルと経験で測るということでしたが、私は「結局は経験」だと思っています。

仕事で喜びを感じられるのは、やはり「自分の働きが誰かの役に立った」と思えたときですから、少しでも「自分の働き」が必要ですし、最初は訳がわからなくても、繰り返し経験することで、ある日膝を打ちたくなるほど腹落ちする日がくると信じているからです。

そのためには、若手にチャレンジや学びの機会を与えるべく、法務や会社の「秘密主義からの脱却」が必要ではないでしょうか。