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大阪で働く法務パーソンのはなし

2020年に施行される主な法令

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我が社は、明日が年内最終営業日です。

「最終営業日は掃除をして早帰り」という会社さんも多いと聞きますが、我が社は全体で終礼をしたり、総務が頑張って掃除をしてくれたりする以外は、通常どおりです。

とはいえ、年末ですので、私たちのチームは、使わない書籍や雑誌を処分したり、記録の不備(終わっているのに未処理フラグが立っていないか)を確認したりしようと思っています。

さて、我がチームの年末の風物詩は、「来年施行される法令の概要を確認する」ことです。みなさん、なさいますでしょうか?

法令の施行日を確認するのは厄介

2020年に改正される法令をチェックする前に、声を大にして申し上げたいことがあります。

なぜ、法令の施行日を確認することは、こんなにも大変で厄介なのか!そして、改善されないのか!

事務所時代、若手の仕事のひとつに「その年成立した(主要)法律の概要をリサーチする」というものがありました。事務所で扱う主要法律の「概要をリサーチする」ところはヘビーですが、その年成立した法律が何かを調べるのは、結構簡単です。なぜなら、衆議院のサイトを見ればよいから。その議案を誰が提出して、どうなったかが一覧になっており、成立したかどうかも一目瞭然です。

しかし、「施行日」はリスト化されていません。無料で調べるなら、毎日官報でチェックして記録するか、各省庁のサイトを巡回するくらいしか思いつかない(他にありますでしょうか?)。有料やクローズドなリソースだと、雑誌や法律事務所がある程度教えてくれますし、懇切丁寧にアラートを出してくれるデータベースサービスもありますが、年額数十万円はくだりません(他のサービスもあるので一概に高いとは言えませんが)。

法令がいつ施行されるかは、万人にとって重要な情報だと思うのですが、政府は取りまとめて情報を提供してくれないものでしょうか。縦割り行政の弊害?

重要法令目白押しの2020年

さて、話を本題に戻します。来年は、例年に増して、企業にとって重要な影響を与える法令の改正が多いように思います。

まず、ついに民法(債権法)改正が4月に施行されます。一応改正法対応の契約書を準備したものの、根保証がない限り、究極的には何もしなくてよいように改正されているので、「絶対に再締結しなきゃダメですか?」と聞かれたときの回答に苦慮する今日この頃です。

同じ4月1日に施行されることが決まっている重要法令として、意匠法(+特許法、商標法)、パートタイム有期雇用労働法、労働者派遣法、健康増進法があります。

意匠法は、建物の内外装やインターネット上の画像まで保護範囲が拡大されたり、保護期間が事実上延長になったり、関連意匠制度が拡充されたりと、現行法制定以来の大改正ではないかというほど大幅な改正が予定されています。権利の拡充の副作用として、クリアランス調査の負担が懸念されていますが、どうなっていくでしょうか。

企業が戦々恐々としている(すべき)なのが、ついに始まる同一労働同一賃金制度。コンセプトとしては理想的ですが、住宅手当など、一部については異なる扱いも許されると解されており、各社がどのように運用していくのか注視すべきです。労務リスクは本当に年々高まりを感じます。

6月には、パワハラ防止法が施行されます。ハラスメントは難しい問題ですが、すでにセクハラ・マタハラ・ケアハラが先行しており、多くの企業にとっては、実際にはあまりすることがないのではないかと思います。我が社も、窓口整備などはすでにしているので、「パワハラも対象ですよ」と改めて周知するくらいの予定。

時期は未定ですが、改正独占禁止法も来年施行予定で、リニエンシー制度が見直されます。これまでは、とりあえず早く!が重要でしたが、これからは減免率が貢献度で測られるようになり、カルテルを主導した会社がもっとも恩恵を受けるのでは?という憶測もあります。

そのほか、私生活で影響のある法律としては、容器包装リサイクル法が改正され、来年7月からはレジ袋が有料化されます。海洋プラスチック問題が大きく取りざたされており、確かに環境負荷を高めている部分もあるのでしょうが、例えば飲料用ペットボトルなどは、8割以上のリサイクル率といいます。プラ=悪とは言い切れない現実もあるのですが。。

2020年の先も

他にも、来年は、仮想通貨関連で金商法などが改正されたり、自動運転関連で道路交通法が改正されたりします。

また、改正会社法も成立し、2021年には、社外取締役の設置義務化などが施行予定です。

 

来年もどんどん法令が変わり、それに追いつくのが忙しい年になりそうです。