Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

描いて考える

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このブログを始めて、ほぼ一年が経ちました。

「週に2本」の目標を達成することができた上、少しずつアクセス数も伸びていてうれしいです。「言語化して発信する」というのが始めた目的で、読んでくださる方がいなければ本当の意味で「発信した」とは言えないと思いますので。

お読みくださるお一人お一人にお礼を申し上げたいです。そして、法務に関して、何かアイデアやきっかけを提供できていれば、この上なくうれしいです。

さて、今日はいつもと少し趣向が違って、私がモノを考えるときのことについて。

自然言語を操れてこそ法務(理想)

法務という仕事は、読み書き聞く話す…と、自然言語をいかに操れるかが勝負だと思っています。そして、当面は、このスキルがAIやサイバー空間にとって代わられることもないと予測しています。ルールを守らないといけないのは人間なので、プログラミング言語に完全に置き換えるのは難しいはず。スマートコントラクトの実現もなかなか難しいようです。

そこで、自然言語を上手く使えるように、法務系の書籍に限らず、文学作品などの優れた文章に触れることを私は心がけていますし、チームのメンバーにも「一流の文章に触れるべし」と日頃説いています。もっとも、最近はスピード重視の傾向が強く、推敲や熟慮のあとがにじむような「一流」と呼ぶにふさわしい契約書になかなか巡り合えないと感じるのですが…

言語化は最後

法務は、つまるところ書面にするのが仕事です。合意を示す契約書にしろ、相手への要求を述べる警告書にしろ、当局に理解を求める上申書にしろ、依頼者からの質問に対する回答にしろ。そして、これら書面は、どれも言葉で書かれている必要があります。これが、法務が自然言語を操れなければならない理由のひとつ(もうひとつの理由は、自然言語で書かれた既存のルールなどを解釈しないといけないことにあると思います。)。

最後は必ず自然言語にしなければなりませんが、言葉にするのは大変難しいことです。たいていの場合、法務は前提事実の把握から始めなければならず、まずは関係者からのヒアリングやたくさんの証拠などの大量のインプットを得て、そこから必要な情報をピックアップする。そして、動かし難い事実(希望含む。)を抽出した上で、主張を書面に落としていく。そのためには、時系列や当事者の関係など、線や面で理解しておかねばならないことも多く、書面を作る前には、よく図示して整理しています。

「描」きながら考える

そんなわけで、この世界に入ったときから、「図を描く」という習慣は身についていたとは思うのですが、それは当事者名をマルかシカクで囲って矢印で権利関係を表す程度でした。もちろん、それでも十分なのですが、昨年からグラフィックレコーディングやスケッチノートなどを学ぶうちに、もっと仕事に使えるのではないかと感じるようになりました。

 学ぶ→仕事で使ってみる→もっと上手くなりたい→学ぶ

というサイクルを繰り返しています。加えて、昨年、以下の書籍を読んでからは、まずありたい姿を絵に描いてみることにしています。

最近だと、法務部門の5年後の姿とか、研修の企画とか。絵にすることで、解像度が高まって、どんな姿を目指したいのかより深く考えるし、よりクリアになるように思います。「プロトタイプ」というと大げさですが、何度も描いては修正を重ねることが重要なのだと思うようになりました。描くに限らず、「何かしながら考える」というのは集中力を高める方法のひとつのようです。

手軽に始められるオススメグッズ

書面を「書く」という最終アウトプットのために、「描く」というスキルを知った私は、そのスキルを磨ける講座があると知れば、可能な限り参加しています。

先日参加した講座では、「描く」を手軽に始められる(しかも、プロにも耐えうる)オススメの文具を紹介してもらったので、ここでもご紹介します。330円あれば大丈夫!

それは冒頭の写真にすべて載っているのですが、次の3点。

  • DAISO Planning Pad A4
  • DAISO マークングペンアッシュカラー
  • ぺんてる ENERGEL

これらの文具を使って描いた講座まとめ(一部)も載せています。講座を受けた直後だったので、結構うまく描けたのではないかと自画自賛

職場では裏紙とペンで十分

時間があったり、記録に残したいものを描くときには、複数の色を使いますが、普段、職場でモノを考えるときは、裏紙にフリクションのブルーブラックで描いています。下書きだから1色で十分だし、何回も消したり描いたりするのでフリクションでないと困る。黒はあまり発想が広がらないと聞いたことがあるので、ノートを取ったり考え事をするときは、常にブルーブラックにしています。

PPT資料を作るときも、いきなりソフトを使うのではなく、まずは手で構成を考えます。そういうふうにするほうが、結局は時短になっている気がします。映画監督やCMプランナーのような絵コンテみたく描けるとかなり楽しいに違いない!と思うので、もっと鍛錬したいです。