今週、驚きのニュースが。
Hubbleが、来月から新しい取組みを始めるそうです。それは、「NDAを統一する」という壮大な取組み。
one-contract.com
Hubbleのサービス
株式会社Hubbleは、「Hubble」という契約書のバージョン管理をするサービスを提供するスタートアップです。
「これからも契約書はMicrosoft Wordで作る」という前提のもと、誰がどんな修正をしたのかがわかるように管理するという、リーガルテックの中ではシンプルなサービスです(だから1アカウントあたりのお値段も他のリーガルテックとは桁が違ってリーズナブルでしたが、今は100アカウント〜になって総額で見ると他のリーガルテックと遜色なくなってた)。
当社ではトライアルすら経験がないので、いいとも悪いとも言えませんが…
ただ、数ヶ月おきに何かのきっかけでHubbleのサイトを拝見するたび、社名が変わっていたり、サイトやロゴが変わっていたりしていて、着実にサービスを拡大していることがわかり、「トライアルしていない」ことが乗り遅れになってきつつあるのでは?と変な焦りを覚える今日この頃です。
(あえてフィードバックするなら、新しいサイトに掲載されているイメージ動画のコンセプトは何だろう?なぜハングルのような文字なのか?この動画を見る人に何を伝えたいのだろう?Hubbleのサービスを「何となく」知っている私には、これがHubbleのサービスのエッセンスを表現したものとは感じられなかった…)
早川CEOが昨春語っていたこと
そんな、契約書のバージョン管理や共有を目的とするサービスを提供するHubbleが来月から新たに立ち上げる取組みが「One NDA」。秘密保持契約を統一規格化し、賛同する参加企業間での取引の迅速化を目指すというものだそうです。
この考え、昨春参加したあるリーガルテックのイベントでHubbleの早川CEOが自らおっしゃっていたことでした。当時、「NDAってなくなっていくんじゃないかなと思う」と発言され、「確かに、そうなっていってもおかしくないし、そうなったらいいよな〜」といたく感銘を受けたことを鮮明に覚えています。あんなオープンな場所で発言するからには、何かプランをお持ちなのか?と思っていたら、1年あまり経って、ついにやりはりました。ドメインが"one-nda"でないということは、さらなる広がりも考えていらっしゃるのだろうか…
NDAのリーガルチェックとか、取引先との締結業務までのやりとりって超絶無駄だなって思っていて、それをなくしたいと思っている。各社各様のひな形を押し付け合っていることが原因なので、それなら、NDAを統一してしまおう!というプロジェクト。フェアでスピーディな世界を。https://t.co/pqlEmkbrUI
— 早川晋平🎧 (@peishin914) 2020年6月15日
秘密保持義務を理解して開示する
秘密保持契約書は、おそらく世の中にある契約書の中でも最も多数を占めると思います。当社でも、新人には「NDAノック」とかいって、最初は秘密保持契約のレビューから経験を始めるのがおそらくどの企業でもセオリーだろうと思います。大抵の会社で雛形を持っていて、どれも似たようなものだけど微妙に違ったり、やたら細部に拘っているものがあったりして、各社の特徴を観察する分には面白いけれど、レビューは生産性のある時間とは言えないかもしれません。
M&Aなどよほど大きな案件でなければ、あるいは自社から出す情報の機密性が高くなければ、流し読みで済ませることもあるNDA。「締結すること」が目的化している、あるいは取引開始の形式的プロセスの一つに成り下がっていると危機感のようなものを持っている私は、こういう取組みが広がることで、互いが秘密保持のルールをきちんと理解した上で情報を開示できるようになればいいなと期待しています。
さらに進んで、何が開示された「秘密情報」なのかを当事者間でメモしておける環境があったらいいな。
統一規格はいかに
今のところ統一規格がどんなものかは明らかではありませんが、ツイートによれば、「フォーマットにもイノベーションを」とお考えだそうです。どんなものになるんだろう?
また、規約を読む限り、「使わない自由」もきちんと確保されているようなので、通常取引ならOneNDAのプラットフォームで、大きなディールなら個別に、といったことも可能のようです。
いずれにしても、すごく壮大なプロジェクトが始まったな!と外野にいながらワクワクするニュースでした(中にいたら鼻血出そうなくらい興奮しそう)。スタートアップだけでなく、大企業も率先して参加できる取組みになったら面白い。大企業ではないけれど、当社も一員になれたらいいな。