電子契約の有力な事業者は、露出の多さから、クラウドサイン 、Agree、DocuSignの3社が有力であることは疑いないと思います。しかし、その3社以外の選択肢は本当にナシか?それを検討するため、3社以外にもNo.1を標榜するCONTRACTHUBについても調べてみました。
電子契約を提供する事業者はすでに2桁存在
この調べ物を始めたとき、国内でサービスを提供している事業者を可能な限り洗い出してそのサービスを比較し、マッピングする心意気だったのですが、数が多くて断念しました。。
上記の3社に加えて、CONTRACTHUB(日鉄ソリューションズ)、AdobeSign(アドビ)、Holmes(Holmes)、NINJASIGN(サイトビジット)、BtoBプラットフォーム(インフォマート)、CECTRUST(コントラクション・イーシー・ドットコム)、クラウドコントラクト(クラウドコントラクト)、WAN-SIgn(ワンビシアーカイブス)…など、大手からベンチャーまで、すでに2桁存在するのですから。
比較に十分な情報がオープンになっていないというのも、詳細調査を断念した理由です。本人型か立会人型か、電子帳簿保存法への対応、ということもすぐにはわからないんですよね。
No.1を標榜する5社
ざっと調べた限り、電子契約の分野で「No.1」を謳っている事業者は5社ありました。どんなNo.1かというと、次のとおり。
クラウドサイン
累計登録社数
Agree
法務担当者の満足度、仕事が楽になる電子契約、安全な電子契約
DocuSign
世界で一番使用されている
CONTRUCTHUB
売上金額
NINJASIGN
使いやすさ
景品表示法上、「No.1表記」には格別の配慮が求められますが*1、対消費者に限らず、対事業者に対しても適用すべきなんじゃないか…事業者でも「No.1」表記に目移りしてしまいます。シェアでも金額ベースと利用者ベースで2つのNo.1が並存するし、切り口っていっぱいあるなと、こんなところでマーケティングの勉強をしている自分。
CONTRACTHUBに着目
有力3社以外も調べようと、次に手をつけたのは、日鉄ソリューションズ株式会社が提供するCONTRACTHUBです。金額ベースでシェアNo.1を謳い、導入企業には金融機関、不動産企業、メーカー、流通企業など、いずれもかなりの大手が含まれます*2。
本人型のリモート署名+電子証明書のない電子サイン=Agreeに近い
CONTRACTHUBは、電子証明書が発行される「署名」とタイムスタンプのみの「捺印」*3という2種類のスタイルがセットになっており、「署名」については、本人型のリモート署名を採用しています。つまり、「署名」スタイルで電子契約を締結する場合、相手方にもあらかじめ電子証明書を取得してもらわねばなりません。有力3社の中では、Agreeと同じタイプと言えます。
契約書に限らない
導入事例を見ていると、ザ・契約書での利用にとどまらず、受発注書のやりとりで利用されるケースがかなりあるようで、そこが他の事業者と比較すると特徴的に思われました。顧客にオールドエコノミーが多く、金額の大きな受発注を関連書類と合わせて保管するのに向いているようです。
専門家のサポートが魅力的
どの事業者もサポート体制には力を入れているはずですが、CONTRACTHUBでは、専門家チームを組成していることが強みのようです。このチームには、おそらく日本で最も電子契約に詳しい弁護士の一人である宮内宏弁護士のお名前もありますし、税理士、電子署名・電子証明書・タイムスタンプの専門家が参加しているとのことです。実際、どれくらいのサポートが受けられるかは未知数ですが…
一定の初期費用が必要
他の事業者と違うと感じたもう一点は、初期費用が結構かかるところ。システム開発が不要でブラウザで動くという意味ではSaaSなのですが、加入料や立ち上げ支援として、少なくとも100万円弱、API連携やデータ取込機能を備えようとすると300万円ほど必要です。その代わり、導入支援として、取引先への説明や自社の教育において支援をしてくれるそう。
何かシステムを入れようとするとき、これくらいは珍しくない額ですが、電子契約ではあまり見ず、ハードルが高い印象。
サービス内容がAgreeとほぼ同じであることを考えると、高額な初期費用が結構ネックに感じられました。ランニングの固定費用も他社より高めですし…