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大阪で働く法務パーソンのはなし

Googleの画像検索フィルタ

 

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Googleの画像検索の新しい機能に、クリエイティブ・コモンズライセンスで絞るというものが追加されたそうです。Bingにも同じ機能があります。

blog.google

Googleに新たな画像検索機能

画像検索するのにフィルタ機能を使ったことがなかったので、本当に新しい機能なのか私にはわかりませんが、SNS上では「知らなかった。便利!」という声が多いように感じます。

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「わかりやすさ」が重要視され、社内資料でさえ文字だけでつくるのは難しくなっている現在、フリー素材のお世話になることが増えました。当社の社員たちも、「わかりやすい資料」「キャッチーな資料」をつくろうと、方々から画像を拝借するのが日常茶飯になっています。そして、私たち法務は、出来上がった資料を何かの機会に見て驚くことも珍しくなくなりました。使ってはいけない画像を使っているケースですね…

ですから、Googleが「使っていい素材」だけを表示してくれるなら、とても便利だなとは思うものの、職業柄、本当に「使っていい素材」だけ表示してくれるようになっているのか?と心配になりました。だいたい、クリエイティブ・コモンズはバリエーションがあるのに、「クリエイティブ・コモンズライセンス」で絞ったところで直ちに使用条件が定まるわけではないはずです。

やはり、最後は自分で調べるべし

クリエイティブ・コモンズライセンス」で絞ったらどういうものが抽出されるのだろう?と、Googleのサイトを調べてみると、次のような記載でした。

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https://support.google.com/websearch/answer/29508?p=ws_images_usagerights&hl=ja&visit_id=637391356424331322-1539566007&rd=1

「これらの画像は基本的に無料で使用できますが、クレジットが必要になります」

クリエイティブ・コモンズライセンスでは、パブリックドメインとその次の制限との差異は、クレジット(著作権者)の表示をするかどうかなので、当然な説明に思われますが、読み落としている人も多そう…

実際、クリエイティブコモンズで絞って画像検索してみたけれど、ざっと見るだけでも、商談資料などに用いてよいのか疑問のあるものがありました。たとえば、しっかりメーカー名が入っている商品画像。用途によってはNGではないかと思われます。自社製品が自由利用OKで画像提供されているのを発見したら、私ならクレームをつけることを検討しますね…

また、フリー素材サイトのクレジット不要の画像もたくさん表示されていました。つまり、このフィルタはあくまで初期的なもので、最後は自分で確認しようということですね。

他人の著作権も大切に

著作権はとても難しい権利です。いくつもの支分権からなるとか利害関係者が多いとかいう複雑さからくる難しさも、人格権的要素からくる理屈やお金で解決できない難しさもあるからです。著作者が命を削って作るものだから当然かもしれませんが…

また、魅力が大きく、模倣やコピーが簡単なので、著作物へのタダ乗りも多い。私はこのところ描く鍛錬していて、講座とかも受けるのですが、クリエイターとして活躍している講師の方でも、知的財産への理解がおろそかになっていることが多いように感じます。

たとえば、自身の有料講座のBGMにガッツリJ-POPや洋楽をかけるといった具合です。当たり前に使っていらっしゃる方が多いように感じるのですが、受講者にJASRACの人がいたらどうするんだろうかと、私がヒヤヒヤしてしまいます。

ご自分のレジュメや作品には著作権表示もバッチリして、転載も禁止するし、この世界の方はどんな他人にも敬意を払える人が多いはずなんですけどね。。