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大阪で働く法務パーソンのはなし

日本のリーガルテック2021

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※12/22加筆あり

クラウドサインから、「日本のリーガルテック2021」がリリースされました。

www.cloudsign.jp

リーガルテック業界を一望できる資料で、毎年こちらで勉強させていただいています。

リーガルテック飛躍の年

先日受けた経営戦略の研修で、

  • 2020年はどんな一年だったか
  • それはつまりどういうことか
  • これからどうなっていくか(どんな商売が儲かるか)

といった議論がありました。

今年起きた変化として、デジタル化の推進も上がったのですが、講師に「でも、行政手続からハンコがなくなったくらいで何なんですかね」と言われる…
長年、それを当たり前に感じたり、手こずったりしている法務パーソンの私としては、「いやいや!」と否定したいところですが、行政のDXが進むことでどれくらいビジネスに影響があるでしょうか…

ただ、少なくとも、行政のDXが進むことも追い風に、リーガルテックが飛躍の年を迎えたことは間違いない。電子契約サービス市場は、2021年度も売上高で前年比140%超の成長が見込まれるといいます(ITR Market View)。弁護士ドットコム社の株価も一年でえらいことになっていますよね。

昨年までは、法務パーソン以外は、「電子契約?は?」みたいな感じでしたが、今年は法務パーソンでなくても「電子契約を導入しよう」と提案してくれる社員も現れましたし、「電子契約で締結したいと言われているがどうしたらいいか?」という相談も複数来ています。「法的には問題ないんでしょ?」と、気軽に頼んでくれますけどね、社内のルールにどう折り合わせるか?と結構考えることあるんだよ…といいたい。

日本のリーガルテック カオスマップ

クラウドサインが提供する「日本のリーガルテック」は、毎年アップデートされていて、ジャンルと想定ターゲットの2軸でプロットされたカオスマップもついており、とても勉強になります*1

こうしてみていると、年々事業者数が増えていることはもちろん、ジャンルにも広がりが出ていることが一目瞭然。勉強不足で、知らないサービスも複数紹介されていました。行政書士向けの入管業務をサポートするone visa、訴訟費用のクラウドファンディングを募るLEGAL FUNDINGその他の紛争解決サポートサービス、特許調査をサポートするAI SAMURAIKIBIT Patent Explorertなどなど…

こんなにリーガルテックが勃興しているのか!とカオスマップを眺めてしみじみ。どこかで私の経験が活かせないかな?と、ちょっと下心が芽生えてしまいました。。

※12/22加筆
昨年のカオスマップを改めて見ると、上記の多くが掲載されていたことに気づきました。記憶に定着していないことがお恥ずかしいです。。。。。

導入済みのリーガルテックは?

では、そのうち、私が「使った」リーガルテックは?というと、カオスマップで紹介されているサービスの中で、お試しを含めて使ったことがあるのは、以下のもの。

  • LegalForce
  • LAWGUE
  • CLOUDSIGN
  • DocuSign
  • Westlaw
  • LEGAL LIBRARY
  • BUSINESS LAWYERS LIBRARY

ただし、全面導入したものはまだひとつもありません。
かなりの大企業か先進企業でない限り、こんなところではないでしょうか。(と、自分を慰める)

登記申請のサポートサービスは使ってみたいねという話になるのですが、司法書士報酬ってかなり安価ですし、年に1〜2回くらいしかないことなので、「そこまでコストメリットないね」と、毎回見送りに…変えてもいいんだけど、変えるほど大きなメリットが感じられない。まさに現状維持バイアスですね。。

リーガルテックでなくとも

クラウドサイン の「日本のリーガルテック」は、まさに日本のリーガルテックにスポットが当てられているので、法務の枠を超えるようなものは掲載されていません。
しかし、そういうものが法務のツールにもなり得ます。たとえば、当社では案件管理にはkintoneを用いており、全社員が使えば、案件管理&文書管理としてワークすると思っています。

何がいいたいかというと、「テクノロジーはいっぱいありますよ」ということですね。笑
調べ始めると、完了するまでにお腹いっぱいになってしまい、結局どれが自社にマッチするのか考える力を奪われる…ということをここ2年くらい繰り返しているような気がしています。誰か教えて〜という感じ。家電を詳しく語ってオススメしてくれる人がいるように、テクノロジーにも近くそういう人が現れるでしょうか。

来年こそは本格導入

そんな調子で、電子契約にしても案件管理・文書管理にしても、全社的な本格導入を先送りにしてきた我が社なのですが、いよいよ重い腰が上がろうとしており、来年は導入チームを作って真剣に考えるとのこと。

どっちかでチームリーダーやってね!と頼まれたのですが、私の心の目には、すでにたちこめる暗雲がハッキリ見えていて、まだ何も始まっていないのにすでに気が重いです。あれもこれもどうするの!?と。

見通し良くなるように年末年始にはレンコンをいっぱい食べておこうと思います。。

*1:昔は、価格の情報もあって本当に助かったのですが、さすがになくなりましたね…