先日、あるM&A案件が(失敗に)終わりました。
理由は、先方の希望する価格が提示できなかったことです。
2020年のM&A件数は(体感は)大して変わらず
MARRによれば、2020年のM&A件数はそれまでの増加傾向から一転、減少したそうです。件数ベースだと前年から8.8%減とのこと。
弁護士や他社の方に聞くと、「昨春は一度M&Aの検討が止まったが、決まっていたものはもちろんやったし、その後再開した」というお話が複数あったので、そんなものかもしれません。
当社も、コロナ禍でソーシング活動やDDを見合わせたということはありませんでしたし、大型はないものの、数でいえば例年より多いくらいでした。コロナ禍は全然関係なかったですね。ありがたいことに、暇することもありませんでした。。
2021年も順調に?案件はやってきています。むしろ、「我が社は何をやるのか」をより明確にする傾向が強まり、カーブアウトはまだまだ起きそう。冒頭のも、ある企業のカーブアウトでした。極めて限られた時間で調査・契約書検討を行い、オファーを提示したものの「金額が合わない」で終了。
気まずい報告
案件の成否にかかわらず、DDや契約書レビューをしてくれた法務アドバイザーには、結果を報告せねばなりません。先生方を案件からリリースするため、一刻も早く連絡したほうがよいのですが、気まずいですよね…
件の案件はかなりのタイトスケジュールで、当社からの指示もコロコロ変わり、先生方にはひどい思いをさせました。だから、「次に進めませんでした」と連絡するのは心が重かったです。
正直にいえば、DDチームはその案件に反対だったので、「不要なモノを買わなくてよかった」というのが本音ですが、年度末にあんなに働かせておいてそんなことはいえない。笑
先生方もかける言葉がないでしょうから、気まずくなるのは仕方ないことです。
戦略投資部門とDDチームのズレ
当社は、そんなに頻繁に案件があるわけではないので、M&Aに長けているとは言い難いです。だからかもしれませんが、どうにも戦略投資部門と法務・財務などのDDチームとの間に認識のズレがあり、なかなか解消できません。
今回も、DDチームの一致した認識と、戦略投資部門(と経営陣)のそれは、違いました。
なんとか前に進めたい人に、「もう少し冷静に」と言っても仕方ないのですが。
ズルいのは、戦略投資部門にはすべての情報がある(はず)のに、各チームには情報を小出しにして全体を見せないこと。意図的にやっているわけではないのでしょうが、たとえば契約書のレビューは法務だけでは為せません。
今ならTeamsなどもあって、情報の共有は難しくないのに…
社長・取締役会とDDチームのズレ
案件を前に進めたい戦略投資部門に、冷静な判断を求めることは難しい。
そうすると、社長や取締役会に求めるしかありません。
でも、ここにもハンデがあります。案件の報告・提案は、戦略投資部門から行われるからです。
大きな案件だと、DD報告会をして、社長など執行役員クラスも参加しますが、小型の案件はそれもしないし、DD報告会も専門家からの報告がメインで議論はあまりされません(議論する時間がない)。
いくら資料に各パートの指摘が反映されていても、自分たちの口で説明できないとは理不尽だなと思います。「どうせリスクしか言わない」と思われているんでしょうか。だとしたら、私たちの力不足なのですが。
件の案件、取締役会の議論の中心は提示価格の当否でした。でも、議論すべきテーマは他にあったと思う。「経営判断」とは、マジックワードですね。
話がそれますが、取締役会って、執行側はほとんど議論に参加せず、「社外役員や御隠居がまるで外野から好き勝手いう」のが普通なのでしょうか…しかも、役員たちは勝手に議事録を編集して自分のコメント変えたりするし(怒)
どうすれば是正できる?
DDチーム(兼実務部隊)
↓
戦略投資部門 ⇆ FA・売主
↓
社長・取締役会
と情報が移動する中で、フィルタがかかってしまう。この状況はどうすれば改善できるでしょうか。
社長や取締役会が、直接DDチームから話を聞けばいいと思うのですが、なかなかそうはいきません。他社はどうされているのでしょう?
前職だと、社長に直接意見することは難しかったけれど、No.2には懸念や対策を伝えることはできました。そういう構造になっているところを他にも聞くのですが、現職には馴染まず…
取締役会の多様性って、何なんでしょう。。