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大阪で働く法務パーソンのはなし

電子契約が●●Pay状態

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久しぶりに、電子契約のお話。
いよいよ、電子契約導入に向けて重い腰が上がりそうな我が社(何回か同じことを言っている気がしますが…)。
現在、法務ではなく、営業部門やシェアード部門の人たちが情報収集をしているらしいです。

「使いやすさ」の観点からは、この部門の人たちの視点が必要なので、大いにやってもらいたいところですが、「これがいい」と言われた電子契約サービスが、法務的にイマイチだったらどうしよう…

「オススメはどれ?」と言われても…

そういうわけで、「電子契約サービスをリサーチしたいが、オススメはどれか?」と聞かれました。個人的には、クラウドサインが一歩リードだろうと思っているのですが、とりあえず「クラウドサイン、GMOサイン、DocuSignあたりが大手ですね」と回答しました。片っ端からセミナーを受けるらしく、エネルギッシュで素晴らしいです。

「当事者署名型」と「事業者署名型」の違いや、認定タイムスタンプや長期署名の意味をあまり理解していない状態で各社のサービスを比較すると、どういう感触を持つのだろう?と興味があり、動向を見守っています。
(その違いや、私がクラウドサインが優位と考える理由を教えるべきなのでしょうが、後回しです…)

今、どれくらい電子契約サービスがあるのか

電子契約を導入したいという気持ちを2年以上持っているので、それなりに電子契約サービスを追いかけているつもりですが、全部を把握することは土台無理です。
今、どれくらいサービス事業者があるのだろう?と思って調べてみると、ホームズさんのサイトだと「21選」なんて記載もありました。 

www.holmescloud.com

どういう条件で選定しているのか不明ですが、ちょっと不正確な気もします。
たとえば、電子契約サービス事業者のひとつにホームズクラウドやLegalForceが入っているけれど、これらのサービスは電子契約サービスそのものは提供していなくて、あくまでクラウドサインやGMOサインなどと連携しているだけなのになぁ…と。そういう目線で行けば、SlackもTeamsもkintoneもSalesforceも入れてほしい。

電子契約が●●Pay状態

電子契約サービスは、たくさんの人が同じものを使うことでその良さをより実感できると思うのですが、今はまだ新規参入が続いており、●●Pay状態だなと思ってみています。

少し前に、NINJA SIGNを提供するサイトビジット社がfreee社の傘下に入るニュースがありましたが、マネーフォワード社も2021年5月から電子契約に参入するとのこと。ERPを提供しているのだから、そりゃそうですよねーという話で、「やっとか」くらいの感じです。大手電子契約サービスとの連携でなく、自前というところに電子契約サービスへの両社の期待が感じられます。

biz.moneyforward.com

さらに、サインタイム社というスタートアップがSignTimeという電子契約サービスの提供を開始しています。

corp.signtime.jp

情報がまだ少なくサービスの詳細は不明ですが、他の電子契約サービスと一線を画すのは、多くのサービスが1通●円という従量課金制であるのに対し、こちらは「月額●円で●通まで送信できる」という固定料金をスタンダードにしているところです。「そのほうが日本企業は決裁取りやすいでしょ?」ということらしいです。「リーズナブルなDocuSign」という印象。

収束はまだ先?それとも収束しない?

●●Payは、そのうちいくつかに収れんするのだろうと思っていたのですが、あまりその気配は感じられません。多少は再編されるのでしょうが、ユーザーが軸足を置くサービスとの紐づきが強いので、そう簡単には行かないんでしょうか。
ちなみに、私は大阪に住んでいるけれど、モバイルSuicaを愛用しています。スマホだけで電車にも乗れるし、買い物もできるので、一番便利だと思う*1

話がそれましたが、電子契約サービスはこれからどうなっていくでしょうか。

体力ある企業に収束していくのか?

方向性としては2つあると考えています。ひとつは、一桁くらいに収れんしていくこと。契約は長いと数十年生き延びるので、運営会社の経営状態も重要な選定指標です。なので、体力のあるところを普通は選ぶでしょうから、冒頭の3社にAdobe Signを加えた4社やfreee社やマネーフォワード社あたりが残っていくのかな?というのがひとつ*2

当社は●●サイン、相手方は▲▲サインになるのか?

もうひとつは、●●Pay同様、親和性の高いサービスが続々と●●サインを装備し、ユーザーが中心的に利用する電子契約サービスが決まっていき、他社が違う電子契約サービスを利用している場合には、両方で契約するようになること。
電子契約サービス事業者のサーバには締結した電子契約が保管され、「契約書が行方不明」という事態がなくなることも、電子契約の大きなメリットです。相手方の電子契約サービスを利用することで、このメリットを使えなくなるのはもったいない。

そうすると、乱立する●●Payのように、電子契約サービスも必ずしも再編されないかもしれません。とはいえ、実際にはこの2つが同時に起きていくのだろうなと予想しています。

さて、我が社は何を選ぶのだろう…

*1:財布がいらないものだから、遠方に出張に行く際、財布を忘れたことに現地で気づいて冷や汗をかいたことがあります。日帰りだったこともあり、財布がなくても事足りましたが。

*2:SAPは自前でなくDocuSignとの連携でした。