Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

「ルール?展」にて

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先日、東京方面に所用があり、空き時間に21_21 DESIGN SIGHTで行われている「ルール?展」に行ってきました。

その前に行われていた「トランスレーションズ展」にも行きたかったし、行く予定だったのですが、緊急事態宣言による休館のため行けなかったので(国立新美術館でやっていた佐藤可士和展も!)、今回は何としても行ってやろうと思っていました。

地方都市に住んで普段は不自由ないけれど、こういうのは東京でないと行けないのが悔しいですね。

「ルール?展」を楽しみにしていたわけ

法律家の水野祐先生がディレクターを務められるだけでも魅力的ですが、さらにテーマが「ルール」ということで、とても期待していました。

多くの人は「ルール」「法律」と聞けば、距離をとろうとします。そんな「ルール」を、ディレクターチームがどのように来場者に見せ・体験させるのかが楽しみでした。

あと、どんな人が見にくるのだろう?というのも関心がありました。法律家・法務パーソン?デザイナー?美術館のようにアートに興味のある方?みんな「ルール」に興味あるのかな?と。

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いろんな「ルール」

猛暑の平日だったにもかかわらず大盛況で、若い方が多い印象でした*1
滞在時間が限られていて、行列に並ばないと観られない展示はスキップせざるを得なかったのが心残りなのですが、とにかくそれくらいの盛況度。なんだ、みんな「ルール」に関心があるんじゃないか。

特に興味深かったのが「群れを生むルール」という展示です。「群れ」の発生過程が3つのステップで説明されていて、それが線と図形でも図解されており、わかりみが深かった。言われてみればそうだな…という話ですが、「群れ」は(遠くにある)共通のビジョンに向かって進むものではなく、所属するモノにとって無理のないところに進んでいくのですね。

ほかにも、「ルール」を駆使して行われているビジネス、「ルール」の必要性を考えさせてくれるもの、強制力はないけれど従っている暗黙の?「ルール」などが展示されており、とても楽しめました。

「ルール」は使うためのもの

私も日々、法律、自主規制(業界団体のルール)、社内規程、契約、根回しなど、「ルール」と向き合っていますが、相談者や事業部門の方たちの「ルール」に対する姿勢を残念に思うことが多いです。

まず読まない、時代やビジネスにあっていないものを変えようとしない、新しくつくろうとしない…など。法務に丸投げしておきながら、期待した答えが得られないと「法務はネガティブなことしか言わない」と言われることも。

  • 共同生活を営む上では、「ルール」は欠かせない
  • 「ルール」があるから社会やゲームが成立する
  • 「ルール」があるからみんなが知恵を絞って豊かに・面白くなる
  • 大抵の「ルール」は変えられる・変わるべきもの

「ルール」とはそういうもの、使うものだと思っており、これをうまく伝えていくことが果たすべき自分の役割と捉えています。文字でみれば簡単ですが、なかなかハードルが高いです。。

ルールは対話とセット

CULTIBASE Radioでも「ルール」があることで創造性を刺激したりすることが指摘されていますが、ここでも話されているとおり、「ルール」はシンプルなほうがよいですよね。シンプルかつクリアなものが望ましい。

cultibase.jp

このCULTIBASE Radioでは、「ルールは対話とセット」ということも指摘されています。文脈的には組織・職場のお話でしたが、社会でもビジネスでも変わりません。「ルール?展」でも、法律を作った「後」のことに触れるものがありました。

対話の当事者は、法律をつくる政治家や官僚、契約書を起案する弁護士や法務だけではなくて、その「ルール」に従うことになる自分たちだ、ということを「ルール?展」で感じることができ、多くの人もそう感じたに違いないと思います。

「ルール?展」で得たことをどうやって生かしていこう?
そんなことを考えるお盆休みです。

*1:盛況すぎて、その後整理券や事前受付制になったとのこと。確かに、入り口でも中でも行列ができていました。