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大阪で働く法務パーソンのはなし

ハラスメント研修で現場の声を拾ってみた

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オンラインであれ、集合であれ、リアルタイムで研修をするのは骨が折れます。でも、「やらねばならない」という使命とそれが届いたことを教えてくれる受講者からもらう声を励みに頑張っています。

今回はハラスメント研修で現場の声を拾ってみました。意外に多くの声が寄せられ驚きです。

研修もツールを駆使する

この時代、法務・コンプライアンスの研修は、

  • e-learningに任せる
  • 動画を用意して視聴させる

ことがかなり増えているようです。

しかし、私はe-learningのみ、動画視聴のみには反対派。
そういうものは、よほど受講者にアクティブリスニングの姿勢がないと何も残らないと考えるからです。前のめりで法務・コンプライアンス研修に参加しようという人はなかなかいません。
とはいえ、自前でできないところにツールの力を借りるのは賛成で、当社も短い動画を購入して研修に盛り込んだりして活用しています。

今回のハラスメント研修はオンラインで開催し、受講後のアンケートはMicrosoftのFormsで回収しました。
オンライン研修の際、どんなツールをどう使っているかは、また別の機会にご紹介したいと思いますが、Formsでは記名式と無記名式を選択できます。今回は受講者が大量で受講チェックもしきれないため、記名式回答にして、回答をもって出席とすると宣言したところ、おそらくかなり高い割合で回答を得ることができました。

ネガティブ回答が目立つ

記名式の調査の場合、あまり激しい回答は書かず、自由記載欄への記載も控える人が多いと思います。少なくとも私はそうします。

そうはいっても話題が話題だけに、記名式でもネガティブな回答が目立ちました。
中には「パワハラ防止法対策でやってる感出してるだけ」という手厳しいものも。記名式と承知の上で回答しているのだから、すごい肝っ玉…と尊敬の念すら覚えてしまいます。私にはできません。。

体験談・目撃談続々

アンケートには、「見聞きしたハラスメントがあれば教えてください」という任意回答の質問もいれていて、記名式なら空欄で回答するのが普通だろうと思っていたのですが、意外にも多くの社員が体験談や目撃談を寄せてくれました。

「みんな真面目で協力的」と捉えるべきか、「よほど誰も声を拾ってないんだな」と危機感を抱くべきか…多分後者だと思う。

昔の話を書いている人も多かったですが、現在起きている具体的な言動を書く人、中には「●●課長」と個人名まで書く人がいて、自社の闇を覗き見た思い。「給料泥棒」とかいう人がまだいるのか…

解決は部署任せにできない

回答の中には、同じ人の同じ言動に対して「あれはパワハラ」とする複数の申告もありました。
みんなの前で問題行動をとっているのであれば、「その言い方はやめてほしい」と部下か上司の誰かがフィードバックしてあげればいいのに…と思うのですが、できないのですね。

問題の根っこは人間関係だということです。その問題に部門長が取り組まないなら、人事部門(組織開発部門)が手助けしないといけないのでは?と思う今日この頃。人事部門に果たしてその能力があるか、という問題はありますが。

今回の研修では「周りのサポートが得られず、職場になじめない中途採用者」も取り上げました。
「自部署でもある」という共感が多く寄せられた点でテーマ選びに間違いがなかったと安堵したのですが、そういった問題が生じる理由を「管理職がしっかりしないからだ」と考える人が多く、かなり残念。。
「働きやすい職場をつくる責任が自分にもある」という意識を醸成するという新たな使命を得ました。「働きやすい職場は与えられるもの」と思い込んでいる人に働きかけるのは至難の業ですが。

時に深刻なものもポジティブなものも

寄せられる声を読んでいると、「それはハラスメントとは言えない。正当な業務・指導の範囲だ」というものも結構あります。

しかし、中には一刻も早い対応が必要そうな深刻な内容のものもありました。「過去にSOSを出したのに何もしてくれなかった」という趣旨のことも書いてあり、ホットラインと捉えて連絡をしたものもあります。

一方、「私はキャリア採用だけど、部署の人がこれこれ色々レクチャーしてくれたおかげで、スムーズになじめた」と嬉しいことを教えてくれる人もいました。
私のチームも、新しいメンバーがきたら全員が分担して15コマくらいの講義をしています。以前は私がかなりやったり一緒に参加したりしていましたが、今は他のメンバーにほとんど任せています。

そんな職場ももちろんあるわけで、配属って宝くじみたいだな・・・と思うのでした。