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大阪で働く法務パーソンのはなし

オンライン研修をするなら【応用編】

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前回の記事では、この1年半くらいの経験をもとに、オンライン研修に取り組むならまず注意したいことをまとめました。

legalxdesign.hatenablog.com

今回はさらに一歩進めて、より効果的なオンライン研修にするための工夫のご紹介です。私がすでに取り組んでいるものだけでなく、他社さんに教えていただいたこともあります。

チャットやスタンプでコミュニケーションを取る

まずは、取り組みやすいところから。一方的な講義では、聴き手は画面を眺めているだけになりますが、ここにチャットやスタンプを取り入れることで双方向感を出すことができます。

「質問があればチャットに書いてほしい」「反応が見えないのでスタンプでリアクションしてほしい」とあらかじめ伝えるだけでなく、研修の冒頭で使い方までやってみせるのがよいと思います。

オンラインに慣れてくると、チャットで気づきを書いてくれる人が現れたりして、チャットで盛り上がることもできます。オンラインでは、隣の人とこっそり感想を言い合ったり、かぶせて発言したりすることができないので、チャットでガヤるというわけです。

投票機能を使う

参加人数が多かったり、他部署の人がいたりして、心理的安全性が十分に確保されていない状況では、「チャットに書いてください」と言っても書けない人が多いです。

全員に気軽に参加してもらうには、投票機能がおすすめです。当社はMicrosoft 365を使うので、Teams×Formsで実現します。

ここで重要なことは、投票機能の準備(質問や選択肢の設定)は事前に済ませておくことです*1。そして、投票機能のポップアップは裏方に任せることをおすすめします。
Teamsの場合、参加者の投票結果はチャットから誰でもいつでも閲覧できるので、その案内もしておくとよいでしょう。

参加者の回答分布を見ることで、参加者自身が新たな気づきを得られるのは、オンラインならでは良さです。

理解度テストを行う

当社では、研修後にはアンケートをとるだけですが、他社さんでは理解度テストをされるところも結構あるようです。研修を動画閲覧(e-learning)スタイルにされている企業も多いようですが、その場合には特に理解度テストがセットになっている模様。

確かに、動画閲覧だと誰が見たかもわからないので、テストが必要かもしれません。
個人的には、「動画を観なくてもテストくらい解けるだろう」という考えですが、仮にそうでもぜひ知ってほしいことをテストにしておけば、それだけは覚えてもらえるからいいんでしょうね。

テストに用いるツールは色々あるでしょうが、Microsoft 365ユーザーならFormsがよさそうです(同一ネットワーク内であれば記名式も可能)。

動画編集・共有ソフトを使う

オンライン会議ツールにはレコーディング機能があってセルフ録画も簡単にできるので、研修の量産も可能です。しかし、このツールでは途中で噛んだりしても編集はできません。

ここからはハードルが上がりますが、動画編集ソフトを使ってカットしたり、オープニングをつけたりすることも考えられます。

また、色々なデバイスから閲覧できるようにYouTubeやvimeoといった共有サービスを使う会社さんもあります。これのよいところは、デバイスを選ばないので貸与PCのない社員でも観られたり*2、倍速閲覧ができることで、受講者にとって好ましい。

ブレイクアウトを使う

より双方向、参加型の研修を目指すのであれば、グループディスカッションを取り入れたいところです。Teamsでもブレイクアウトは利用可能です。

もし使うなら、これも事前準備すなわち組分けが重要でしょう。ランダムに振り分けてくれる機能もありますが、実のあるディスカッションをするなら事前に組分けを決めておいたほうがよさそうです。また、各グループにこちらのスタッフを送ってファシリテーションをサポートする必要もあるだろうと思います。

私自身、グループディスカッションを取り入れたワークショップスタイルの研修は、次にチャレンジしたい取組みです。

オンライン上で「盗み聞き」「チラ見」環境をつくる

オンライン上でのグループディスカッションを取り入れている会社さんから教えていただいたのが、「ブレイクアウトを使うなら、情報共有ツールを使うのがいい」ということ。

集合研修だと、隣のシマの話し声が聴こえたり、ワークが見えたりして、議論やアイデアが刺激されることも多いですが、オンラインでは隣をうかがったり休憩中に(お手洗いで)雑談したりできません。
そこで、代わりに情報共有ツールを使おうというわけです。

GoogleならJamboard、Microsoft 365ならWhiteboard、さらにお金があればMiroといったザ・情報共有ツールを使えば付箋を使ったワークもできますし、GoogleドキュメントやSharepoint上で同一のファイルを共有してベタ打ちしていくだけでもいい。「盗み聞き」「チラ見」環境はオンライン上でもつくることができます。
ついでに議事メモにもなって一石二鳥です。

オンラインならでは環境を生かす

オンラインは制限も多いですが、どこからでも参加してもらえるし、リアルタイムで感想やアイデアを全体でシェアし合うこともできます。そういった強みを生かしてより良質な研修を作れるようこれからも研究を重ねたいです。

目下の課題は、Teamsを使いこなすことであります。ライブイベント・ウェビナー・通常の会議の使い分けをどうすべきか…

*1:Teamsの場合、通常のオンラインMTGスタイルだと誰かが間違えてポップアップさせてしまう可能性があるので、ウェビナー形式にして開催者・スピーカーにしかポップアップさせられないようにしておいたほうがいいとも思います。ただ、Teamsでは通常のMTGと登録不要ウェビナーの見分けがつかないのが困る…

*2:現業部門のスタッフなど、「PCを貸与されていない社員への研修をどうするか」という大きな課題があり、この方法で解決する会社さんもあるようです。しかし、その時間をどこから捻出するのか、電気代や通信料は誰が負担するのか、といった問題もあり、当社では採用していません。