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大阪で働く法務パーソンのはなし

組織の格上げ

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来年から、私が所属する法務部門の名称が変わるそうです。格がワンランクアップするとのこと。

格上げの理由

格が上がって名前が変わっても、

  • 独立した組織ではない
  • 人数も増えない
  • 職務権限も変更がない

のないものづくしで、私の肩書きは変わるみたいですが、名前が変わる以外、仕事も権限も変わりません。

私のチームの話なのに、変更の理由すらきちんと知らされていないところにやや憤りも覚えるのですが、ボスが取締役会に出した資料を読むと、

  • 法務人材は専門性が高い
  • グループ会社を含めたガバナンス強化

が格上げの理由だそう。「専門性が高いから名称を変える」は理由になっていないし、権限はそのままでも法務の格を変えたらガバナンスが強化されるなんて、そんなことあるはずがないんですけど。。

公益通報者保護法の改正で、内部通報の責任者や従事者の守秘義務違反には刑事罰が科されると知ったボスが、それを免れるために私に押し付けたんじゃないかとさえ邪推してしまいます…私の権限は変わらないので、押し付けになりませんが。

名前にふさわしい組織に

なぜ事前相談もビジョンもないまま変えるのか、どうして権限やリソースは変わらないのかと、後ろ向きにならざるを得ない現実があります。しかし、そんなことを言っている私の姿を見せることは、私にも、チームのメンバーのプラスになりません。

なのでここは、チームのみんなと一緒に前向きに捉えようと思っています。名前が変わったからといって、仕事やプレゼンスがすぐに変わるわけではないけれど、変わったことをきっかけに、新しい名前にふさわしい組織になるよう頑張ろうと。

ただ、メンバーに公にしていいタイミングは、変わる直前になってしまうので、ビジョンを描いたり、それに向けた計画を立てるのは事後になってしまうんですよね。中期計画とかもそうですが、社内にオープンにするタイミングをもう少し考えてほしい。。

HQに一元化は正解?

現在は、グループの中核事業子会社に所属しながら、上場親会社の法務も兼務するという形をとっています。中小規模の上場会社によくあるパターン。

子会社の事業だけで売上は1,000億円超・従業員も2,000人超のところ、それを片手でお釣りが出る人数で法務を回しているわけですから、どうしてもここにリソースを投下せざるを得ません。
親会社の法務を兼ねているので、グループの法務人材の育成とか、コンプライアンスプログラムの骨子策定とか、グループ全体の法務をサポートする仕事も本当はしっかりやるべきなんでしょうが。
子会社で見れば一応「斧を研ぐ木こり」のつもりですが、グループで見たときは・・・

ということをボスも認識しているのか、「いずれはグループの中枢(HQ)に法務部門を一元化したい。そのときには、法務は独立した組織にする」というようなことをいつもおっしゃいます。本人にとってそれが完成形らしい。

私は、法務はできるだけ現場に近いところにいたほうがいいと考えていて、理想的には法務パーソンを各部に張り付けたいくらいです。
といっても、さすがに無理があるので、専門部隊としての法務部門と、法務部門で一定のトレーニングを受けた人が各部に何人かいるのが現実的な理想。これくらい、すぐにできるんじゃないかと思うんですけどね。

専門部隊としての法務部門をHQに置くこと自体は反対しませんが、事業子会社から完全に法務人材を引き上げてしまうと、見るべきものが見えなくなってしまいそうで怖いです。
大企業だと、親会社にエキスパートな法務部門を起きつつ、主要事業にも立派な法務部を置くというのが一般的だと思いますが、同業他社の話を聞く限り、親子の連携がよくないところも多いです。ボスはそういうことを嫌っているのかもしれません。