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大阪で働く法務パーソンのはなし

2022年に施行される法令①

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あけましておめでとうございます。私はゆっくりめに本日が仕事始めです。

今年最初の記事は、法務パーソンに関係がありそうな2022年に施行される法令(4月1日施行分まで)について。
あいかわらず、手軽に情報を入手することが難しいですね。。

改正電子帳簿保存法(施行日:1月1日)

国税庁電子帳簿保存法が改正されました(令和3年12月改訂)

電子帳簿保存やスキャナ保存の要件が緩和される一方で、電子取引の電子データ保存が義務化されることになりました。

法務パーソンにとって重要なのは、電子取引の電子データ保存の義務化です。昨年までは電子契約を締結しても「印刷して紙の契約書と同じ方法で保存しておけばOK」と言えましたが、今年からは真実性・可視性(検索性)を満たす方法で保存しなければなりません。「財務経理部門の指示に従った方法で保存してください!!」と注意喚起が必要です。

もっとも、昨年末に「とりあえず2年はこれまでと同じ方法でもOK」という宥恕措置がとられることが明らかになりました。所属先がどうしたかは、また別の記事でご紹介できればと。

改正個人情報保護法(施行日:4月1日)

個人情報保護法概要資料(令和2年改正分)、概要資料(令和3年改正分)

令和2年改正と令和3年改正がダブルでやってきて、ポイントだけ羅列しても10もありました。条文番号もかなり変わってしまいます。

顧客の保有個人データを扱う企業は、よほど準備のよいところでない限り、対応の真っ只中かと。当社も大わらわ…と言いたいところですが、今日現在の法務は台風の目にいる感じです。これから、各部にしてもらった棚卸しのチェックにかかります。

利用するクラウドサービスの提供者やサーバの所在国も安全管理措置の一環として把握が必要になるため、各部に調査してもらっていますが、事業者さんにはトップページに貼っておいてもらいたいです。(大きな声では言えませんが、自分のところも事業者さんのところも、担当者の言うことは信じきれないので…)

改正民法(施行日:4月1日)

法務省民法の一部を改正する法律(成年年齢関係)について

ついに成年年齢が18歳に引き下げられます。同時に、女性の婚姻開始年齢は18歳に引き上げられます。

成年年齢が引き下げられても20歳以上でないとできないことがそれなりにあるみたいなので(飲酒喫煙等)、その整理をして社内に周知する準備をしています。
また、所属先では「未成年者は保護者の同意を得て利用してください」という内容の利用規約を置いているサービスがあるので、このままでよいかの見直しも必要です。ECサイトとかどうしていくんですかね。。

改正育児・介護休業法(施行日:4月1日・10月1日)

厚生労働省令和3年改正法の概要

まず、4月1日からは、育児休業を取得しやすい雇用環境整備と個別周知措置が義務付けられます。また、有期雇用労働者の育児・介護休業の取得要件が緩和されます。

続いて、10月1日からは、出生時育児休業制度が創設されるとともに、育児休業の分割取得が可能になります。

基本的に人事マターではありますが、育児介護休業規程の見直しは必須なので、法務もレビューすることになりそうです。

ところで、育児休業制度の見直しは、男性の取得促進を目的としているそうですが、社員が必ずしもタイムリーに報告するとは限らないし、ましてその一報が人事に届くかも所属先ではあやしいです。出産祝金は人事部門から出すなどしないと漏れがでそう。

さらに、2023年4月からは、従業員1000人超の企業には育児休業の取得状況の公表が義務付けられます。
子会社に、従業員1000人超で9割以上が男性というところがあるのですが、大丈夫だろうか・・・

改正道路交通法施行規則(施行日:4月1日・10月1日)

警察庁パンフレット

安全運転管理者の業務が拡充されます。4月1日からは、運転前後の運転者の状態を目視等で確認して酒気帯びの有無をチェックするとともに、その記録を1年間保存しなければなりません。10月からは、アルコールチェックをアルコール検知器で行うことも義務付けられます。

社用車を5台以上持っていれば白ナンバーの事業所でも適用され、当社グループも対応に追われています。

より柔軟な働き方を目指している当社では、外回りをする社員には直行直帰も認めているのですが、どうやって「目視等」で状態を確認するのか検討中です。オンライン確認は意味がないですよね。

また、所属先や子会社では、これまでも呼気を吹きかけるタイプのアルコール検知器を使って酒気帯びのチェックをしてきましたが、感染防止措置の一環で今は使用を見合わせています。改正対応で、機器の一新を予定しているのですが、ここにも半導体不足が影響していて調達が困難になっている模様。みなさま、お急ぎください。

プラスチック資源循環法(施行日:4月1日)

環境省縦型概要資料

「これだけ読んでも何をしたらよいのかよくわからない」というのが率直な感想ですが、プラスチックの資源循環体制を強化していくための法律です。国が指針を策定したり、取り組むべき判断基準を示したりするほか、必要に応じて勧告・公表・命令までしてくれるそうです。

所属先で直接関係しそうなのは、廃棄物処理法の許可がなくても廃プラを集められるようになるかも?というところ。
ただ、業界でも(抜け駆けする会社があって)足並みが揃わず不平が聞こえてきますし、廃棄物処理業界も特殊な世界なので、実際にどう対処していくのかは、素人がおいそれと踏み込めなさそうとも思います。

SDGs、ESG、TCFD …などでプラスチック問題が顔を出すので、もうお腹いっぱい。。

 

残りの法令は明日更新します。