昨日に続き、今年施行される法令の概要です。
10月1日施行分の改正育児・介護休業法と改正道路交通法施行規則については、昨日の記事をご覧ください。
改正公益通報者保護法(施行日:未定(6月1日予定))
すでに何本か記事を書いていますが、内部告発のハードルが下がり、かつ、従業員300名超の企業には内部通報対応体制の整備が義務付けられます。おまけに従事者には刑事罰の守秘義務まで課されます。
自社の内部通報制度や規程の見直しはもちろん、外部窓口を含めて従事者の指定もしなければなりませんし、従業員300名超を抱えるグループ企業があれば、そちらのサポートも必要です。私の場合、自社に加えて3社あります。なぜ、個人情報保護法の改正とほぼ同じタイミングなんだ…!
改正特定商取引法(施行日:未定(6月15日まで))
通信販売の詐欺的商法への対策として、
- 定期購入でないと誤認させる表示等に対する直罰化
- 上記表示による申込みの取消しを認める制度の創設
- 解除妨害の禁止
- 申込書面(画面)の表示内容の明文化
などが図られるほか、クーリングオフ通知のデジタル化なども行われます。
実務的には、申込ハガキや画面が今後示されるガイドライン(パブコメは終了)に適合しているかの確認が必要です。本当に、向こう半年を思うと目が眩む。。
改正会社法(施行日:9月1日)
いよいよ電子提供制度が開始されます。上場企業は定款にその旨の定めがあるものとみなされて利用が強制されますが(整備法10条2項)、問題はいつの総会からか。
予定どおり施行日が9月1日になったので、電子提供自体は2023年3月総会からすればよいです(整備法10条3項)。ただ、施行日が確定した以上、今年の総会で定款変更はしてしまうんですかねぇ。証券代行の助言を待ちます。
また、昨年3月に施行された分で経過措置の適用を受けていたものについて、今年仕切り直しが必要というケースもあるので要注意です。たとえば、D&O保険更新時の取締役会決議内容などです。ついでに、株主代表訴訟担保特約の保険料を会社負担とする場合に、社外取締役の全員の同意は必須の要件ではなくなっていますので(経済産業省2020年9月30日付「令和元年改正会社法施行後における会社役員賠償責任保険の保険料の税務上の取扱いについて」 )、この点からも資料の見直しが必要かもしれません*1。
その他の改正
私には直接的な影響はなさそうですが、
- 改正著作権法(放送番組のインタネット同時配信等の権利処理の円滑化。1月1日施行)
- 改正雇用保険法(65歳以上の適用拡大。1月1日施行)
- パワハラ防止法(防止措置の中小企業への適用拡大。4月1日施行)
- 改正商標法・意匠法(「輸入」概念の見直し。4月1日施行)
なども施行されます。眺めるだけでゲップが出そうですね。。
*1:D&O保険を法務でケアしている企業はなかなかないと思われるので、取締役会の議題をモニタリングする必要がありそうです。所属先では総務の守備範囲ですが、保険会社もあまり親切には教えてくれないみたいで例年どおりの内容で付議しようとしていました。