昨年秋に実質的支配者リスト制度の創設がリリースされ、「これ、いつ使うのだろう?」と言っていましたが、物は試しで取得してみました。
制度開始後、社内から取得要請はなし
2022年1月31日から運用が始まったこの制度。運用開始が迫れば取得依頼があるのかな?と思っていましたが、制度が始まって2か月ほど経っても1件もありません。
他社さんはどうなんでしょうか。
「株主を公的に証明する資料がほしい」というリクエスト
今回取得してみようということになったのは、海外のグループ会社から「株主を公的に証明する資料がほしい」という依頼があったためでした。
この依頼、中国からよく受ける印象があります。
毎回「日本にはそういう書類はない」と答えると、「なんで?トウキボトウホンに載ってないの?」と返され、「載ってない。出せるのは、親会社からの証明か株主名簿のコピーくらい」というやりとりをこれまで何回も繰り返してきました。
たいていは、親会社からの証明("We certify that xx Co., Ltd. is our wholly-owned company."くらいのシンプルなもの)でご容赦いただくのですが、現地としては完全に満足しているわけではなさそうでした。
そこで、写し自体は公文書になるこの制度を使ってみようということに。
所詮、「当社の株主は●●です」という自己申告に基づいているので、株主を公的に証明するものではありませんが、オフィシャルなハンコがあると世界では強い。
上場企業の完全子会社なら、申請書類の作成は一瞬
上場企業の直接完全子会社が実質的支配者情報リストの写しを申請する場合、必要書類は以下のわずかに4点でした。
- 実質的支配者リスト(直接保有)
- 申出書
- 株主名簿の写し
- 親会社の登記事項証明書(法務局に出すのに…?)
実質的支配者リストと申出書は所定書式があるのでこちらからダウンロードして作成します。見本もあってありがたいのですが、実質的支配者リストのサンプルが自然人のみで、法人の場合は「生年月日」欄に何を書けばよいのやら・・・
自然人の生年月日=法人の設立日にしておくか?などとも考えましたが、白紙で出しても大丈夫でした。
そのほかの参考情報は以下のようなもので、端的に言って「瞬殺」でした。
- 申出書には代表印を押す
- 株主名簿は特に決まったフォーマットはなし(自社のフォーマットでOK)
- 本店所在地への送付が可能であれば、返信用封筒を用意しておけば送付してくれる
- 申請費用は無料
写しの交付は申請の翌営業日午後
申請自体は郵送でも可能ですが、本局も遠くないし、書類に不備があったらその場で直せるようにと、チームのメンバーに出しに行ってもらいました。幸い、形式的な不備はなかったみたいで(それすら見ていないかもしれませんが)、あとは交付を待つばかり。
登記申請ほど時間はかからないだろうと思いつつ、その場でもらえるわけでもなさそうだと踏んでいたら、大阪法務局では「翌営業日の午後2時以降」なら実質的支配者リストの写しの交付を受けられるそうです。
実物は・・・
今回は郵送受取りを希望したところ、週末を挟んで翌営業日に届きました。サービス満点。
当たり前ですが見本どおり、名のとおり、出した書類そのままが登記事項証明書と同じ紙に印刷されていました。
「この会社が出してきた書類のコピーですよ」という証明でしかなく、「こんな書類、誰が欲しがるんだろう?」という気がするのですが、海外事業部の社員に「今度からこういうのなら出せますよ」と見せてみると、「これは公的書類だ!!次からはこれでお願いしたいかも!!」と予想を上回る好反応でした。
再交付申請も郵送でできてさほど手間もないので、これで喜んでくれるならよかったです。