今週から新入社員研修が本格的に始まっています。法務も、自社と子会社でコンプライアンス研修の時間をもらいます。
毎年少しずつ内容を変えますが、基本的に伝えることは同じです。
誰に講師を任せるか
うちの法務では、事業が異なる2社でコンプライアンス研修をすることになっており、研修時間も内容も変わるので、負担を考えて担当講師は分けています。
「誰が講師をするか」にもいろいろな考え方、たとえば、
- 新入社員と年齢が近いメンバーで親しみやすくする
- 立派な役職の人が豊富な経験を語る
といったことがありそうですが、私は、新入社員と年齢が近いメンバーに任せています。
理由は、
- 毎年コンプライアンス研修は入社初っ端に入れられ、みんな見るからにガチガチに緊張しているから少しでもほぐしたい
- 私以外、うちには若いメンバーしかいない
- 私の話は、おもしろくない
私からみて十分若いメンバー(20代)でも、新入社員とはかなり距離を感じるそうですが。確かに、入社したてのほうが1年違いの差が大きいですよね。
何を伝える時間にするか
誰がやるかは大切ですが、何のために何をやるかはもっと大切です。
ちょっと前まで学生だった新入社員に、何を伝えるべきか。
以前に経営法友会の懇談会で他社さんのお話も聞かせてもらいましたが、各社各様でそれぞれに工夫があって興味深かったです。うちはせいぜい20人が相手ですが、企業によっては100人超とか未成年とかが相手なので、極力情報量(文字数)を抑えるなど。
私のチームでは、「新入社員研修で習うことは、基本的に全部忘れる。レジュメも1年後にはなくす」という前提で、頭の片隅に置いてほしいことを次のように設定しています。
- 春から、「●●社の」▲▲さんになった(自分の行動=会社の評判)
- あれ?と思ったら立ち止まってみよう。そして、誰かに相談してみよう
(周囲が信用できないときは内部通報がある) - くれぐれも、自分の命と健康を大切に安全運転で
←日常的に車を運転する職種が多いため
これを伝えるために、
- こんなニュースがあったよね、社名覚えてるよね。
- こういうことがあったらどうするのが当社的には正解だと思う?
- 商品を企画するところからお客様に届くまで、どんなことがある?どんなことに気を付けるべき?
などと、ワークショップっぽく口や手を動かしてもらったり、行動規範を見せてそこに込めた思いを語ったりしています。
みんな忘れてしまうだろうな〜と思いながら、せめて上記の伝えたい3点だけは心に留め置いてくれと願ってあの手この手を毎年考えます。
いままで、法務の研修が印象に残ったと言ってくれた社員に出会ったことがないので、まだまだ改善の余地がありそう。。
法務に配属されることが決まっている新入社員には「よく見よ」
今年の新入社員には、法務に配属されることが決まっている人がいるので、この機会に研修期間中の心得?を伝える予定です。
これまでは、法務に配属することを決めていても、他の社員と同じように営業現場で1年以上経験を積んでもらうのが当社のスタイルでした。しかし、今回は数ヶ月間の新入社員研修後に直接法務に配属されるため、研修で現場をしっかりみてきてほしいという思いがあります。
といっても大した話ではなくて、伝えようと思っているのは次の4点を意識して臨むこと。
- どんな登場人物がいるか
- その人は何をやるのか
- うちの商品は、どこからどこを通ってお客様に届けられるのか
- 「Aの場合は」と言われたら「Aでない場合」のことも想像する
最近、価値を創造するのに「よく見る」ことの重要性を理解するとともに、どうすれば「よく見る」ことができるのか?と自問自答するのですが、法務的「よく見る」の第一歩はこんな感じではないかと思っています。