最近、ギブアップしたいほど忙しい日が続き、大切なことも後回しになっていました。そのひとつが内部通報制度の見直しです。そろそろお尻に火がついてきました。
全体の設計・グループの規程見直しは概ね完了
半年前、指針の解説が出た段階で対応が必要に思われる項目を洗い出しました。
それが次のとおりで、全体の方針や親会社の規程の起案はあらかた済んでいますが、常時雇用300名超の子会社の体制づくりが手つかずです。
- ボスへの改正内容の説明
- 体制整備が義務的なグループ会社の洗い出し
- 対応方針の決定(当社で全部受け付けるか、グループ会社に個社窓口を残すか)
- 担当部門と責任者の決定(グループ会社分も)
- 従事者の決定・決め方の決定・通知方法の決定
- 独立性確保の方法の検討(監査役などへの報告ラインを新設するか)
- 利益相反の範囲の決定
- 記録の保管期間・方法の見直し
- 運用実績の開示内容・方法の検討
- 対応体制の定期評価・点検方法の検討
- 社内規程改定
- 受付・調査担当者マニュアルの改定(通報者を特定させる事項についての同意の取り方など)
- 人事部門との連携(退職時の伝達事項として内部通報できることを伝えてもらう)
- 啓蒙資料の作成
- 周知方法の検討
子会社は何をすればいいのか
子会社を抱える企業の場合、従業員数や生い立ちといった個別の事情で独自の窓口を設けるケースはありますが、内部通報窓口を個社ごとに置くのは不経済です。それに、グループの問題を直視する姿勢を打ち出すためにも、親会社にグループ共通の窓口を設けるのが自然です。
とはいえ、今回の改正で常時雇用する労働者が300名を超える会社は、個社ごとに改正法に従った体制を整備しなければならず、グループ共通の窓口を利用する旨を内部規程で定めることとされています(指針の解説第3.Ⅱ.1.(1)③の脚注13ほか)。ほかにも、以下については自社の規程で定め、実践することが求められると理解しました。
- 内部通報対応業務の担当部署と責任者
- 従事者の定め方
- 記録の作成・保管
- 運用実績の概要の開示
規程にどう書けばよいか
では、具体的にどんな規程をつくっていけばよいか。
改正法を踏まえた社内規程のお手本は、消費者庁のサイトで公開されています。
ただ、こちらはグループでの利用を想定したものにはなっていません。そういう企業はお金あるんだから、自分たちで考えなさいということですかね…
親会社の社内規程はお手本を参考にできるとして、子会社はどうしたものかと考えたのですが、とりあえず以下の内容だけ定めておけばいいのではないかという結論に至りました。
- 当社の内部通報窓口は、●●グループホットラインとする
- 当社の内部通報対応業務の担当部署は●●部とし、責任者は●●部長とする
- その他内部通報制度の整備及び運用は、親会社の規程に準じて行う
重要なことは、信頼できる内部通報制度をグループ全体で整備・運用することで、規程が多少雑でもいいのではと。
消費者庁のお手本で気になるところ
お手本の公開より早くに親会社の規程を起案してしまったこともあり、確認が遅れてしまったのですが、公開されたお手本を読んでいて気になったところがひとつ。それは、上司にした内部通報をどう取り扱うかの定め方が中途半端ではないかという点です。
お手本では、「職制上のレポーティングライン」つまり上司に内部公益通報を行った場合でも、会社は調査をする旨規定されています(内部通報に関する内部規程例(遵守事項+推奨事項版)16条3項)。
が、その調査を誰がするのかは定めがありません。通報を受けた上司に初期的な調査をさせるならそう書いたほうがよいように思うし、エスカレーションの方法も書いた方がよいような…簡単ではないのですが。。