2022年の6月は、改正公益通報者保護法だけでなく、改正特定商取引法の施行も控えてます。
申込書面やECサイトの最終確認画面の確認がひととおり終わってやれやれなのですが、現行と比較してみると、なかなか検討するところがありました。
申込書や最終画面の表示事項が明確に(12条の6第1項各号)
今回の改正の対象は、「特定申込み」と新たに定義された、事業者が定める様式等に基づいて申込みが行われるもので、つまりはチラシやECサイト。その申込書や最終確認画面で表示すべき事項が法定されました。具体的な記載事項は、以下の6つです。
- 分量
- 販売価格・対価
- 支払時期・方法
- 引渡時期・移転時期・提供時期
- 申込期間がある場合はその旨と内容
- 申込みの撤回・解除に関する事項
上記2〜6は、広告の表示事項でもありますが(11条)、原則としてこれらすべてを申込書や最終画面にも表示することが求められています(通信販売の申込み段階における表示についてのガイドラインⅠ 1(3)「広告」等との関係について)。
ガイドラインを読むとそれぞれに注意が必要なところがあるのですが、消費者庁が公開している事業者向け説明会資料のスライド20枚目以降にコンパクトにまとまっていてわかりやすいです。定期購入は対応が必要なことが多い。。
なお、説明会は、YouTubeで閲覧することも可能です。ありがたや。
誤認させる表示にはペナルティ(14条1項、15条1項ほか)
改正特定商取引法では、表示事項の明記にとどまらず、申込書や最終確認画面で次のような表示が禁止されます(12条の6第2項各号)。
- 申込書の送付や最終確認画面でのクリックが契約の申込みとなることについて人を誤認させる表示
- 上記1〜6について人を誤認させる表示
このような表示にはペナルティが用意され、指示や業務停止命令を受けたりする可能性のほか、罰金刑の対象にもなっています(72条1項4号)。
表示すべき事項は注文確定ボタンの前に
「誤認させる表示にはペナルティ」ということ自体に違和感はありませんが、ガイドラインを読んでいると、消費者庁が問題視する「誤認させる表示」は、条文の文言より少し広いようにも思えます。
というのも、ガイドラインには次のような記載があります(Ⅰ 3.(2)第2号(前項各号に掲げる事項につき、人を誤認させるような表示)の解釈)。
「人を誤認させるような表示」に該当するかどうかは、その表示事項の表示それ自体並びにこれらが記載されている表示の位置、形式、大きさ及び色調等を総合的に考慮して判断される。
その参考として挙げられている画面例では、「一部の表示事項を離れた箇所(申込みを確定させるボタンの更に下の箇所)に表示しているもの」が法違反に該当するおそれのある表示と説明されています(画面例7)。
ECサイトの最終確認画面は、最後までスクロールしなくても注文確定ボタンが押せるのが現在のデフォルトですが、大手ECサイトも変更されるんでしょうか…?
「CMを見て電話で注文」は対象外でよいのか?
今回の改正の対象は、特定申込みと定義された、事業者が用意するフォーマットに従って申込みを行う通信販売であって、CMを見て消費者が電話で申し込むケースは対象外です。特定商取引法には「電話勧誘販売」という販売スタイルを規制する条項もありますが、これはアウトバウンドの電話勧誘だけが対象なんですよね。
しかし、同業他社の噂話では、「高齢の方の話し相手になる見返り?に、本来の注文品以外の購入も促す」といったことを聞きますし(売上上位のオペレーターさんのやり口だという…)、当社でも電話注文される方に定期購入などを提案することはあり、こちらのほうが危なっかしいと思っています。。