Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

社内公募体験

慢性的なリソース不足で、ついにチームの時間外労働が社内上限スレスレになり、社内公募を出してもらえることに。その選考を終えました。

キャリア採用か社内育成か

「人材育成には時間がかかるし、キャリア採用で時間を買うほうがよい」と、人事でキャリア採用の募集をかけてくれているそうですが、現実は厳しい。うちの非管理職の給与レンジで来る人はいないだろうな…と私も思います。

もっとも私自身はキャリア採用にさほど積極的でなく「迷うならNO」の考えで、できれば社内で育成したいです。
その理由は、

  • 業界独自の商慣習や業界内のポジションの問題などもあり、現場を知っているほうがよい
  • 現場を知っている法務は相談者のウケがよい=相談者と関係が築けて、モチベーションになる
  • 法務は他部署と個人的関係を築きにくいので、同期・以前の同僚がいる生え抜きのほうが精神衛生に良い
  • 生え抜きは基本的に会社が好きなので、暗部を見ても前向きでいられる
  • 仮にハマらなくても、別部署に異動しやすい

というものです。短期的にみてギブアップせずに済み、長期的にみて大きく会社に貢献できると思う。それがたとえ法務ではない場所であっても。

いざ社内公募

キャリア採用に応募はこないし*1、法務の仕事量はパンパン・瀬戸際だということで、社内公募をしてもらえることになり、社内向けの案内を作成・発信しました。
案内では、法務で得られるスキル(「知識」ではない)を訴え、業務内容には「新商品のチェック」など、若手社員に引きがありそうな内容も盛り込んだところ、めでたく複数名から応募があり一安心。

今回、選考は書類と面接(1回)により行いました。

書類選考では、

  • 読みやすさ(見出しをつける、改行や段落のボリュームに注意するなどのレイアウトを含む)
  • 論理に大幅な飛躍がないか(無理がないか)
  • 簡潔さと具体性が両立しているか(中身があるか)
  • 言葉の選び方(TPOにあっているか)

を中心に確認したのですが、各者各様で興味深かったです。現業部門の若手社員が素晴らしく読みやすく内容のある自己PRを出してくれたのが感動ものでした。
今回の応募者は1日で面接しきれる人数でしたし、全員新卒入社で人物的にはマルのはずだということで、書類選考は全員合格にしました。

面接で何を聞く?

書類の次は面接です。

これまでの経験から、私は「誠実さ」に重きを置いていることに気づいたので、面接でも「誠実さ」をはかろうと考えました。そして、誠実だったら準備をするだろう、その場で考えて何か「一理ある」と思わせる答えを捻り出すだろうと、次の二つを質問することに。

  • 今日は、どんな質問をされると思ったか?(そして、それをそのまま聞く)
  • どうして世の中や会社にはルールがあると思うか?

これは、たとえ合格しなくても、仕事で生かしてほしい視点でもあります。

ここではかりたいのは、自分にできる準備(こんな質問をされるかも?と調べる・想像する、その回答を用意する)をしてきたか、(多分)考えたこともない質問を振られても、その場で思考を巡らせてある程度他人を納得させる答えを導けるか、といったことです。つくづく、私の求めていることは、法務かどうかは関係ないと思う。。

結果とこれから

最終的には、中堅に足を踏み入れようとしている社員に来てもらうことになりました。現業部門の若手社員も書類・面接ともとてもよかったので、こちらの受入態勢さえ許せばぜひ迎えたかったのですが、やむなく見送ることに。無念。

来てもらう社員はうちのチームのメンバーの同期でもあるので、互いにやりにくさがあるかも…という心配がなくはありませんが、今のメンバーには教育係としてしっかりやってもらいます。大小の案件を抱えながら新人ばかりが増えて、不安がないといえば嘘ですが、これもまた大切な経験と信じる。

意外に?懐の深い会社

社内公募の一連の流れを見ていて新たに知った会社の一面がありました。

結果にかかわらず、応募した事実をプラスに評価するのは当然ですが、合格後の辞退をすんなり認めていたのです。もちろん何のペナルティもありませんし、むしろ「やっぱり今の仕事で頑張るって言って辞退したんだよ。ははは」くらいの感じでした(本人ではなく、人事が)。

実は懐の深い会社かもしれない・・・

*1:人事がつくった求人票を手直しすれば、多少は応募があると思うけど…