毎年、年末年始は「次の一年の組織目標・活動方針をどうするか」の素案を考える期間でもあります。私が素案を作り、メンバーに提示して仕上げるのがお決まりのパターン。
でも、こういうのを考えたり説明したりするのは、得意ではありません。今日は、そんな私がどうやって素案を捻り出しているか、というお話です。
ただ、機嫌よく働きたい
私が働く上での希望は、「機嫌よく働きたい」という一点です。きっと多くの人がそうでしょう。
もっとも、「機嫌よく働く」ためには、
- 仕事と収入が見合っている
- 仕事が性に合っていて、誰か(何か)の役にも立つ
- 職場が苦ではない
など、いくつかの要素があり、人によって重視するものが異なるはずです。
私が「機嫌よく働く」ために、周囲に快適でいてほしい
私にとっては、「一緒に働く人が仕事や職場に快適さを感じていること」が、「機嫌よく働く」ための重要な要素です。
常にイライラしている人、口を開けば不平不満しか言わない人と一緒に仕事していたら自分にうつってしまいそうだし、そんな中で気を吐いて仕事できるほどタフじゃない。自分の仕事や職場にある程度満足して、それを維持あるいは向上させようとする人と一緒に働けば、私もご機嫌でいられそう*1。
前置きが長くなってしまいましたが、以上のわけで、私が組織の目標や活動方針を考える出発点は、「どうしたらメンバー一人ひとりが自分の仕事や職場に満足できるか」です。
①言葉の解像度を上げる
出発点を確認したら、「仕事や職場に満足している」とはどんな状態かを想像します。
「仕事に満足している」とは、
- 自分たちにしかできない、自分たちがすべきと思える仕事をやっている
(雑魚い(ように見える)仕事もその価値があればOK) - その仕事をする知識やスキルが身に付いている
- 仕事が会社をよりよくしている
- 仕事の進め方に「我流」を吹き込む余地がある
と思えることではないか?
次に「職場に満足している」とは、
- 労働時間が(自分にとって)適正である
- インプットとアウトプットのバランスがとれている
- 働き方に裁量がある
- 成長機会が(平等に)与えられている
と思えることではないか?という感じです。
「そんなもん、毎年一緒やろ」と言われると返す言葉がないのですが、私も一年でわずかに成長するのか、単にスポットライトの当たる位置が変わるのか、これが一緒ではないのです。私に一貫性がないだけかもしれません。
②見たい景色を描いてみる
「こうだったらいいのでは?」という解像度を少し上げたら、次は現実と照らしながら、一年後どうなっていたいかを絵にしてみます。
ビジョンのスケッチは、ある方に教えていただいたこちらの本でも勉強させてもらいました。ただし、私の絵は、旭山動物園のスタッフほど完成度の高いものではありません。
今あるチームの問題・課題、外部/内部環境を加味して一年後の姿を考えるので、当然ながら毎年変わります*2。
今回だと、インプットの時間が確保されて双方向の学びが生まれているとか、経験の浅いメンバーが自信を持って仕事できているとか。去年は「プラポリの改正対応が終わっている」が大きなお題目でした。
もちろん、必ずしも絵にする必要はありませんが、絵にできるくらいの具体性が必要だと思っています。私が絵にしてみるのは、結果だけでなく、プロセス目標を決める・手続的正義の実現を目指す足場づくりのためです。
③その景色を実現するアクションを考える
ここまでできたら、あとはその景色をどうやって実現するかを考えます。「メンバーが自信を持って仕事できるように、未経験の仕事をより多く経験してもらおう。チーム勉強会もやろう」みたいな感じです。
当社では、部門目標を3つ立てることが強制されるので、そのフォーマットに合う素案をつくるところまで、いったん私ひとりで考えます。
④最後は全員で調整する
素案ができたら、メンバーに
- これまでの振り返り
- 向こう一年で起きそうな変化
- それらを踏まえて一年後見たい景色
- そのために必要なアクション(目標素案)
を説明し、違和感がないかを確認します。
ここでひとつ気をつけているのは、一年後見たい景色はある程度の具体性をもって説明するものの、アクションについてはあまり具体的に言わないこと(言うものもあります)。
理由は単純で、メンバーの「やりたい、やるべき」というインセンティブを活かしたいからです。そのためには、一年後に見たい景色をメンバー全員が共感できることがとても重要。
もっといいやり方がありそうだし、いっそ全部メンバーに任せてみては?と思うときもあるのですが、ビジョンを考えることを放棄したら上司失格やろ…と毎年悪戦苦闘しています*3。年末にはもっといい考え方を編み出していたい。