新入社員向けの法務・コンプライアンス研修は無事に終了しました。
新入社員には、働きやすくて働きがいのある職場をつくるために必要なこと(=私たちのコアバリューや行動原則を一人ひとりが守る)が伝わっていたらうれしいです。
我が社では、新入社員研修で各部がそれぞれ講義をするのですが、その際、自部署の紹介も同時に行います。今日は、そこで新入社員から受けた質問について。
法務の仕事をどう説明するか
研修では、まず、法務のミッションやどんな仕事をしているか、といった話をします。
法務に求められる役割について、ちょうど昨年の今頃、経済産業省が公表したレポートにおいて、以下のように説明されていました。
法務機能とは、企業が健全かつ持続的に成長するための基本的機能であり、それを担う法務部門は、ビジネスの拡大、ひいては、企業価値の向上のサポート役、いわば、ビジネスの「ナビゲーター」と捉えることができる。
ー国際競争力強化に向けた日本企業の法務機能の在り方研究会報告書16頁
普段は、こちらを引用して「法務はビジネスのナビゲーター」と説明するのですが、新入社員にはピンとこないだろうと、具体例をあげて「会社の健全で持続的な成長を支援すること」がミッションだと説明しています。具体例とは、以下のようなものです。
- 新商品を発売するのに、商品名を安心して使いたい!(我が社では商標も法務の業務です)
- 新商品のキャンペーンに●円相当の景品をつけたい!
- 景品のベタ付け作業を下請先に手伝ってもらってもいい?
商品開発や販売企画の仕事は、新入社員に人気の花形なので、こういった話をすると新入社員の反応は結構いいです。
法務に必要な力、スキルとは?
私の勤務先は職種別採用を行っておらず、総合職一本のため、新入社員には配属希望を聞きます。このときに「法務」といってもらえることが、法務部門の新入社員研修の裏のミッションです。
そこで、業務の紹介をした後は、法務に必要な力などについても話すのですが、いつも次のようなことを伝えています。
- 必要な情報を引き出す(聞き出す)力
- 情報をわかりやすく、正確に伝える力
私としては、すごくうまく言えていると思うのですが、これは法務にだけ必要な力ではないですよね。結局、優れたビジネスパーソンは優れた法務パーソンになれると思います。よって、私のチームに入るのに、出身学部は不問です。
新入社員からの質問〜法務に必要な資格とは?ありません!
以上のように、法務の仕事と必要な力についてひととおり話した後、新入社員が質問をしてくれました。それが、「法務に必要な資格ってありますか?」
研修講師を任せていたメンバーは「必須のものはありません!」と即答していました。裏のミッションを踏まえてのことでしょうし、本人は実際にそう思っているのでしょう。私も賛成です。
さて、実際にはどうなんでしょうか。弁護士資格をもった法務パーソンも増えていますが、弁護士でなければダメかというと、向こう10年、20年はそんなことはないといえると思います。法務部長、ジェネラルカウンセル、CLOとかは別ですが。
弁護士以外の資格は、持っていなければ何か重要なことができないというものではないし、海外含めて肩書きとしてワークするものもないのではと思います。弁理士などは、部分的には有効かもしれませんけれども。
しかし、法務は守備範囲が広く、学ぶべきことが多いので、目標や学んだ証としていろんな資格にトライすることは強く推奨されますよね。
新入社員には言いませんでしたが。笑