以前の記事で、反社会的勢力であるかどうかの有効な確認方法がわからないということを書きましたが、私の上司が(タイミングよく)セミナーに参加し、最新の「暴力団追放マニュアル」なるものをもらってきてくれました。作成は、大阪府警と大阪府暴力団追放推進センターで、なんとも実践的な香りがします。
暴力団追放推進センターによる対応指南
大阪府暴力団追放推進センターのサイトでは、 暴力団への対応要領などが公開されており、イラストも交えたわかりやすい内容です。たとえば、基本的な心構えとして、「平素の準備」には、以下のようなことが挙げられています。
- トップの危機管理
・トップ自らが、「不当な要求には絶対応じない」という基本方針と姿勢を示し、毅然とした社風を構築していく。
・担当者が気楽に報告できる雰囲気作りを行う。 - 体制作り
・あらかじめ対応責任者、補助者等を指定しておき、対応マニュアル、通報手順等を定めておく。
・対応責任者は、組織を代表して対応することから、組織としての回答を準備しておく。
・対応する部屋を決めておき、録音、撮影機器等をセットしておくとともに、暴力追放ポスターや責任者講習受講修了書等を掲げておく。 - 暴力団排除条項の挿入
・暴力団等反社会的勢力を排除する根拠として、
◯暴力団等反社会的勢力とは取引しないこと
◯取引開始後反社会勢力と判明したなら、解約すること
などの内容が盛り込まれた暴力団排除条項を契約書や約款等に導入しておく。
ほかにも、「暴力団対応10則」として、有利な場所で対応する、複数で対応するなどといったことが紹介されています。
新規取引時のチェックポイント
ウェブサイトでは、取引開始時のチェックポイントについては記載がないようなのですが、暴力団追放マニュアルには、関係遮断方策、予防措置として、例えば商業登記については以下を調査することが推奨されていました。時々、モノの本に書いている内容に近いですね。
- 事務所が実在しない
- 本店所在地と実際の活動拠点が異なる
- 商号が頻繁に変更されている
- 名称と実際の活動内容が異なる
- 営業目的間の関連が乏しい多角化
- 従来の役員が一斉に辞めている
本店所在地と実際の活動拠点が異なる会社は、上場企業にだってざらにありますし、これに該当したら「黒」ということにはならないと思いますが…
相手の素性がわからないときは言動から
暴力団追放マニュアルには、「相手方の属性自体が判然としない場合」の観察ポイントも紹介されています。一例は、以下のとおり。
- 指示に従わず、居座り続ける
- 社外で長時間にわたり従業員を軟禁する
- 要求が次々変更される
- 自らの氏名等を回答しない
消費財を扱っていると、素性のわからない方からのご意見・お申し出を多く受けるので、このようなチェックポイントがあると助かります。
本当に厄介なのは「反社会的勢力」ではない
幸い、今のところ我が社はそれほどタチの悪い人に遭遇したことがないのですが、警察等がおっしゃるには、最近は、暴力団や政府のいう「反社会的勢力」の対応で難儀するケースは少なく、むしろ半グレであったり個人で過激な思想を持っている人のほうが対応が難しいといいます。さらに、こういうケースは暴力団ではないから、警察等に聞いても素性を教えてもらえることは期待できないようです。
社会も企業も反社会的勢力を排除するといいながら、実行するのはまだまだ難しいですね。