Legal X Design

大阪で働く法務パーソンのはなし

2019年のブックレビュー

今年がまもなく終わります。

書籍は、法務にとって重要な武器です。だから、いろんな書籍を読んで勉強しようと思うのですが、今年も言い訳を作って思うほど読めませんでした。それでも、僅かな中から読んでよかったと思う書籍をご紹介します。

ちなみに、文芸作品では、原田マハの『楽園のカンヴァス』が一番気に入りました(ふるっ)。

ベストを選ぶなら「直感と論理をつなぐ思考法」

今年読んだ本の中で、もっとも影響を受けた書籍をひとつ選ぶならこちらです。

著者はP&G出身ということで、「(また)出た!」と思ったのですが、他人モードで生かされる時代に自分モードで内発的な動機に促されて生きる必要があるという主張にいたく感激しまして、自分モードを取り戻すため、著者が勧める「ジャーナリング」を毎日行うことにしたほど。

PDCAを回すカイゼン思考でも、経営戦略を練る上で求められる戦略思考でも、流行りのデザイン思考でもなく、妄想に近いビジョンを立てることが重要だと説く本書。その方法も教えてくれます。

示唆に富み、(難しいことは書いていないのですが)何度も読み返したくなる本です。

バナナはおやつに含まれるか?で法解釈技術を身に付ける本

法律系でもっとも興味深く読んだ書籍は、ほぼ「おやつバナナ命題」で書き上げられたこちら。

新進気鋭の若い弁護士さんがお書きになっているのですが、これがすごい。「おやつはバナナに含まれるか」という小学生でも理解できるテーマで、基礎的な法解釈も、「おやつ」に含めることも含めないことも可能なことも、だからこそ「おやつ」の定義をすることの重要性も、教えてくれます。

あまりによいコンセプトなので、来年の管理職研修ではこの内容を拝借しようかと考えているほどです。

唯一の謎は、想定読者をどこに設定していたのか、ということ。法学部に進学した大学生でしょうか?契約書のくだりもあるので、営業など非法務パーソンでしょうか?法務歴15年の私でも楽しく、かつ、刺激を受ける本ではあったのですが。

ミレニアル世代にオススメ?サイボウズ青野社長の一冊

サイボウズデイズに行ったことに刺激を受け、青野社長と山田副社長の本を1冊ずつ読みました。どちらも読みやすくて学ぶことも多かったのですが、100人100通りの働き方を目指すサイボウズの基本を書いていると思われる青野社長の本をご紹介します。

松山から東へ東へと上っていくサクセスストーリーも面白いですが、問題を解決したり、理想を立てたりするときにサイボウズで使われているメソッドがとても役立ちました。特に、定性的な理想の立て方として「コンセプトを決める」というのがあり、「誰に何を言わせるか」で考えるというのがよかったです。「理想」ほど大きなものでなくても、何かアクションをするとき、「誰に何を言わせるか」を考えると道筋が見えてきます。

 

ちなみに、今年はビジュアルシンキングにハマりまして、スケッチノートやグラフィックレコーディングなどの本も結構読みました。このスキルが今後のチームワークの向上に資することを期待して、今年を終えたいと思います。

みなさまどうぞよいお年を。