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大阪で働く法務パーソンのはなし

サイボウズの株主総会を傍聴してみた

昨日は、サイボウズの第23回定時株主総会でした。

外出自粛要請がある中での開催ということもあってか、株主総会YouTubeでオープンに配信されることになり、これまた外出自粛要請中で家に引きこもっている私も拝見したので、気づき・感想などを簡単にメモしておこうと思います。

サイボウズの今年の総会スタイル

おそらく平日は勤めに出ている多くの株主に配慮し、日曜の夕方という時間をお選びになったのだと思いますが、気の毒なことに外出自粛要請にドンピシャで当たってしまったサイボウズ。当日の会場は、このようになっていたそうです。 

 

そして、議長以外の役員はZoomで参加。執行役員の方も一部はZoomからの参加でした。

 

技術的に可能でも、本当にやる企業はなかなかないでしょうが、さすがサイボウズです。我が社を含む、他の多くの上場企業の役員の平均年齢は、サイボウズよりずっと高いだろうから、そういう企業こそ移動のリスクが心配なんですけれども。。「みんなと同じ」よりも「正しい」を選択できるサイボウズは素晴らしい。

多くを株主や一般参加者からの質問に

サイボウズ株主総会を拝見するのは初めてだったので、例年どうされているのかわからないのですが、事業報告や議案の説明は非常にシンプルで(招集通知読み上げもなし)、質疑応答に進むまで30分ほどでした。一定規模になると、事業報告は別途映像を制作して流すことも多いですが、青野社長がポイントを述べて終了。一方で、改選対象の取締役のみならず、監査役もお一人ずつメッセージ(抱負)を述べられていたのが印象的でした。こんなことをする上場企業は他にないのでは?(しかも、ある監査役の方のバーチャル背景が宇宙だったのがちょっとバズってましたね。)

今回の株主総会は、時間は約90分だったのですが、その中心は株主や一般参加者からの(ネットからを含む)質疑応答でした。リアル出席の株主だけではなく、オンラインで参加している株主や一般参加者からの質問も取り上げ、お答えになっていたところも、さすがサイボウズ!という感じ。ちなみに、あまり厳しいご質問はなかった印象です。

ちょっと疑問…定足数&出席株主数は?

通常、株主総会では、開会宣言の後か議決の直前に当該総会で議決権を行使できる株主の数とその議決権数及び出席株主数とその議決権数を述べて、株主総会が提出議案に必要な定足数を満たし有効に成立していることを確認するくだりがあります。私が聞き逃したかもしれませんが、昨日はその部分がなかったような気がしました(「満たしている」旨の発言はあったかも。。)。

サイボウズは、大株主名簿を見るだけでも、現役役員や従業員持株会が半数近くの議決権を有しているので、そういったことを気にする必要はないはずです。しかし、事前に議決権を行使したのか、議長に委任したのか、オンラインでも「出席」しているから、リアル出席と同じように扱ったのか…興味があります。株主総会議事録にも表れない超マイナー論点ですが、もしリアル出席と同じように「出席」と扱ったなら、一部の株主を特別扱いしていることにならないか?と。今回は、株主は会社法上の「出席」ができない「参加型」のバーチャル総会とされているので。

フツーの会社に取り入れる余地はあるか?

会社規模も製品群も今はまだコンパクトで、時代の最先端を走っている印象のサイボウズですが、私の勤務先のようなオールドエコノミー株主総会でも何か取り入れられる余地はないか?と考えてみました。サイボウズが他の株主総会と違うところは、

  • (今回だけだけど)議長以外の役員はオンライン参加
  • 役員一人ひとりがメッセージを述べる
  • オンライン中継する
  • オンラインで(事前)質問を受け付ける
  • (例年は)株主向けイベントがある

といったところでしょうか。

後半は、株主数の多い会社では取り入れることが難しい部分もありますが、今に限っては、議長以外の役員はオンラインで参加するというのは結構必要な手ではないかと思います。いかんせん、高齢の役員も多いですからね。。(我が社だと60歳以上が5名、70歳以上が3名)

存在意義を株主と対話する

最後に、サイボウズ株主総会で大変興味深かったのが、サイボウズでは、これから「存在意義」についても株主と対話していきたいという発表があったことでした。売上も利益も株価も大事だけれど、サイボウズは「チームワークあふれる社会を創る」というPurpose(存在意義)が最も重要だから、この最も重要なテーマについて、株主とも対話していきたいということです。

確かに、「株主総会は最高意思決定機関」といいながら、「どんな会社にするか」は意思決定の対象ではないんですよね。。エーザイのように定款に企業理念を謳われるところもありますが、かなり例外的。

ということで、これからもサイボウズには目が離せません。