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大阪で働く法務パーソンのはなし

コロナ規制明け株主総会

所属先も株主総会の諸々がほとんど終わり、やれやれ。

コロナ関連の規制がなくなった今年、各社はどのように対応されたでしょうか。

年配の個人株主が中心の場合

所属先*1は、ほとんどが1単元のみ保有する個人株主(数万人単位)で、商材の特性からか年配の方が多いです。

したがって、バーチャルオンリー株主総会や電子提供制度のフル活用は困難と判断し、

  • 会場は一流ホテルの宴会場
  • 招集通知はほぼフルセット(従来程度の省略はあり)

と、根幹は古典的なスタイルを維持しています。一応ライブ中継だけはしますが、社外の方がどれくらいご覧になっているでしょうか…

去年(まで)の体制

そんな古典的スタイルを貫いている所属先の去年までの体制について。

お土産をどうするか

一般の消費者を相手にしている会社なので、コロナ前は自社製品詰め合わせをお土産にしていたのですが、さすがに「ない」だろうということで、2020年から廃止しました。

以前は「詰め合わせ」を手作業でやっていて、結構大変だし負傷者も出るしで*2、やめたいと思っていたところだったため、不謹慎ながら渡りに船でした。

出席株主数減は、コロナ禍ではなくお土産をやめたことが理由だと社内の者は認識しています。

来場を見送るように招集通知に記載するか

2020年〜2022年は、緊急事態宣言や蔓延防止措置も繰り返し発出されたため、総会当日がそういった措置下にあるかどうかにかかわらず、感染拡大防止を理由に出席見送りを要請される企業も多くありました。出席希望者は事前申込・抽選制をとったり、そもそも会場に来ても出席を拒否するという企業もあったほどです*3

この点、うちはどうしたかというと、「株主様にくるなとはいえない」ということで、「当日の流行状況や体調を踏まえてきてください」という趣旨の記載にとどめました。

株主にマスク着用を求めるか

去年までは、スタッフがマスクをするのは当然、株主にもマスクの着用を求めました。幸い、マスクせずに議場内に入ろうとする方はおらず、揉めることもなければ予備のマスクをお渡しすることもなかったです。

壇上の役員は、去年までは発言者以外はマスクをしていました。正確には、2021年までは発言有無にかかわらず全員マスク着用で、2022年から発言時は外す運用にした記憶。

誰が壇上に座るか

所属先は、質疑応答には原則として担当役員が答弁するスタイルをとっているため、以前は、子会社役員など回答可能性のある者が壇上に座っていました。また、事務局も全員が議長席の後ろに陣取る配置だったので、壇上が結構な人数になるため見栄えがよくない(密だ)となり、かなり減らしました。以前に比べると半分以下になったと思います。

今年の体制:マスクする?させる?

今年の総会当日は、久しぶりに何の規制・要請もない日だったわけですが、去年と運用を変更したのは以下の点です。

  • 壇上役員のマスク着用はなし
  • 株主へのマスク着用要請・呼びかけはなし

反対に、以下については前年踏襲でした。

  • お土産はなし(多分これは恒久措置)
  • 出席に関する招集通知の記載
  • 壇上の人数
  • サーモグラフィーや消毒用アルコールを設置し、株主動線を一方通行にする
  • 議場内の座席や受付の間隔は広め
  • 飲み物は用意するがセルフサービス(置いておくのでとってもらう)
  • スタッフはマスクを着用する

ちなみに、証券代行によれば、他社も似たようなものだそうですが、マスク対応だけはバリエーションがあるそうで、壇上役員もマスクをしたり、株主にマスク着用を呼びかけたりするところもあるとか。一番厳しいところは「マスクしない人専用会場」を用意したとのこと。徹底してる…

今年も出席者は増えない ただしお土産を復活させる場合を除く

今年は久しぶりに規制がなく好天でもあったので、昨年の倍くらいはお見えになるだろうかと想像していたのですが、蓋を開けてみれば今年もとても少なかったです(一般株主は2桁前半でした)。

「他社も1.2倍くらいだったから、去年とほとんど変わらないと思いますよ」と証券代行に言われていたのですが、まさにそのとおり。やはり、お土産廃止効果がテキメン。実際、お土産を復活されたカゴメさんは昨年より出席者数が多かったという噂です。

出席者数が少ないと質問も減るって総会の時間も短くなり、運営サイドとしてはありがたいことが多いのですが、数百人きても大丈夫な布陣で臨んでいる受付周りは、やることがなさすぎて苦痛なんですよね…受付開始から2時間以上、突っ立っているのはなかなか苦行でございました。

今年の総会のハイライトは、株主の方から「この大株主(※創業家の資産管理会社)とはどのような関係があるのか」という質問があり、議長(創業家の者)と答弁役員が見つめ合い、他の役員が答弁を固唾を飲んで見守る瞬間でした。あの株主は誰かの仕込みだったのか…

*1:正確には「所属先の親会社」ですが、法務は一緒くたになっているので単に所属先としています。

*2:フライヤーも詰めるため、紙で手を切る人が多い…

*3:いくら代替措置を講じていても、バーチャルオンリーでない以上、出席を拒絶できるのだろうか…という疑問があるのですが、コロナ禍はわりとなんでもありでしたね。