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大阪で働く法務パーソンのはなし

株主総会の議決権行使結果と臨時報告書

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総会対応を専門とする弁護士の話によれば、今年の3月総会は、昨年より出席者が増えた企業が多いそうです。確かに、私が視聴した他社総会もそうでした。

当社も株主総会が終わり、一年で一番時間に終われる日が過ぎてやれやれなのですが、直前は案件が重なって忙しさがキャパシティ超え寸前で、イライラが最高潮に達しておりました…

議決権行使の締め切りが直前すぎる

テクノロジーが進んだ時代にこんなことをいうのは逆行しているかもしれませんが、書面・電子投票の締切、直前すぎないでしょうか。

多くの企業が、締切を総会前日の夕方に設定されていると思います。当社も然り。
株主名簿管理人の信託銀行によって違うところもあるでしょうが、当社の場合、締切時刻を過ぎた後、次のような流れになります。

締切後+30分:集計結果がシステム上に反映・ダウンロード
 ↓
株主情報を読み込んだ議決権集計用PCにインストール
(これは信託銀行のPCのため、オフラインでメール送付はできない) 
 ↓
当日持ち込み分(役員・事務局)を読み込み

ここまでが前日の作業なのですが、スムーズに行かない年の方が多くて、他の総会スタッフたち(事務局まで!!)が前日リハを終えて帰るのを横目に居残り格闘します。

証券代行のPCが自動連携すればいいのに

当社は、書面・電子投票の締切を総会前日の午後5時にしています。これでも昔に比べると早くしてもらったのですが、もう、お昼の3時くらいに締めればいいのにと思う。

しかし、3月総会の大企業を調べてみると、当社より早いところはありませんでした。。たとえば、資生堂→午後5時15分、電通→午後5時30分、楽天→午後6時など。株主様ファーストですが、中の人が気の毒です。

信託銀行のシステム上のデータを取り込むのだから、信託銀行のPCをオンラインにして自動連携してくれればいいのに…それであれば、当日直前まで行使いただいても大丈夫なんですけど。

時報告書は取締役会に上程しないといけないのか

前日、みんなが帰っても居残りで作業しなければならない上、当日も周囲に急かされるのがうちの集計係です。

株主総会の議決権行使結果は、臨時報告書として提出・縦覧に供さなければなりません。
当社では、この臨時報告書の内容を総会直後の取締役会で報告するルールにしており、総会(採決)が終わった瞬間に出席株主・議決権数を締めて、臨時報告書を作成する必要があります。

議決権行使結果なんて、どうしようもないものなのに、そんなに急いで取締役会に報告する必要があるんでしょうか。前職では報告していなかったんですけれど…

当社の場合、ISSやグラスルイスの方針だと反対になってしまう取締役がいるし、業績も好調とは言えないし、その他色々な事情で、反対率がそこそこ高い役員がいます。でも、そういった分析も対策のための議論も、取締役会ではしません。何せ、総会直後の取締役会ですから…
そうであれば、取締役会にあげる必要はないと思うのですが、他社さんも普通は上程されるものなのでしょうか。。

総会直後に話しかけるな

内心は不要に思いつつも、総会後は、すぐに臨時報告書を作成して取締役会事務局に提出しなければなりません。臨時報告書のフォーマットなんて、全上場企業統一なんだから、これも信託銀行のシステムで自動集計して作成してくれればいいのに、オフラインのPCからデータを抜き出し、Excelに手打ち(転記)します。すべての上場企業がこんなことをしているとは思えないのですが、実際どうなんだろう?

総会終了後から後役会までの時間は、早いと1時間くらいしかなく、それまでに臨時報告書作成→取締役会事務局に送付→会議準備をしなければなりません。基本は転記なので、そんなに難しい作業ではないけれど、数字を扱うので急ぐとロクなことがありません。

なのに、総会が終了すると、(おせっかいな)総会事務局や、スタンバイしている取締役会事務局から、「まだか?」「できたか?」と連絡がきます。加えて、総会直後には、警備にお越しいただいた警察やマスコミなどに、当日出席株主数を報告しなければなりません。

さらには、総会から解放された役員・スタッフ・顧問弁護士らが「おつかれさまでした〜」と早々に引き上げて行くのを横目に、(受付にいるせいで)時にその人たちの感想に付き合ったりする羽目にもなります。「まだか?」の催促と「あの質問キツかったね〜」といったチャチャに挟まれながら、数字のチェック。もう、爆発寸前です。

総会直後、議決権集計係に話しかけるのはお控えください。そっとしてくれ。

1分を争う人にモノを頼むな

困ったことに、臨時報告書は関係者が多いです。当社は、議決権行使結果のリリースを別途当日中に行うので、さらに関係者が増えます。取締役会事務局、財務部門(EDINET担当)、IR(リリース担当)、といった感じです。

したがって、総会直後、1分を争う状態で臨時報告書を作成しているのに、「作成した臨時報告書は●●部の××さん、××さん、××さん、▲▲部の××さん、××さん、◆◆部の…に送ってください」と注文がつきます。その数、優に10名超。

「そんなもの、自部署内で適宜転送してくれー」と心の中で叫んでいました。

そもそも、法務で議決権集計を担当しているのは、株主総会議事録の出席株主数とその議決権数を記載するためです。議事録のためなんです。
そして、登記申請のためには、後役会を含めて当日中に議事録作成・製本・押印を取り付ける必要があり、取材対応等のために、株主との質疑応答も当日中にまとめなければなりません。

一日中時間に追われるこのオペレーション、もうちょっと余裕が生まれないものでしょうか。。