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大阪で働く法務パーソンのはなし

部下の昇格試験結果が返ってきた

気づけば5か月ぶりの投稿です。

所属先では秋に昇格試験が行われるのですが、先日、うちのメンバーの結果が返ってきました。若干の違いはあるけど、弱みがほとんど一緒。

この人たちの弱みというより、私の弱みなのではないか・・・

昇格試験のための推薦

所属先では、昇格試験を受けるには、まずは所属長の推薦が必要です。そして、人事で推薦の妥当性を確認し、パスすれば試験が受けられるというしくみになっています。

ところが、新卒採用者については、非管理職の間は、●年目で最初の昇格試験を受ける、その次は●年後に受けるという事実上のお決まりパターンが存在します。
だったら、人事から「おたくの●●さんは、今年対象者なので、推薦出してくださいね」と声掛けがあってしかるべきだと思うのだけど、うちの人事はそこまではしません。うっかり所属長が推薦し忘れたらどうしてくれるんだろう(数年前、そのせいで受けられなかった人がいました)。
●●さんは●年目、というのは数が少ないうちは覚えていられるけど、そろそろ覚えられません。自分のことだって、いつ昇格試験を受けたかなんて忘れている・・・

昇格試験はプロパーが有利?

昇格試験を現職に来て初めて体験したので、当たり前がどんなものかわからないのですが、所属先では外部が問題を作成・答案を採点する筆記試験と人事による面接からなります。

外部の筆記試験は等級や年によって変わるようですが、これまで私が受けてきたのは、インバスケットや事業戦略を立案させるものなどで、与えられた情報をもとに限られた時間でアウトプットするような試験でした。噂では、事実上の合否はこちらで決まるらしい。

人事による面接試験も等級によって変わるものの、どの等級でも同じようなことを聞かれた気がします。今年受けた人の話によれば、同じ等級でも前回と今回はまったく同じ質問だったそうです。

ということは、社内に広いネットワークを持っている人は、先輩に教えてもらえるわけで、同期にそんな人が一人でもいれば自然と耳に入るので、プロパーが圧倒的に有利です。私は、どんな試験なのか、誰にも聞けなかったよ・・・

知識を問うものでなければ、前年の試験内容が漏れても特に問題はないのですが、面接試験では、

  • 自社の中期経営計画の内容
  • 所属部門の課題
  • 自己研鑽の内容

といった、準備の有無でクオリティがかなり変わるものもあるので、せめて前年とは問題を変えてはどうかと思う。変えるつもりがなければ、事前に公表してあげてほしい。中途採用者にはハンデでしょう。

強みは論理的思考、弱みは市場分析

合否は、簡単なフィードバックとともに所属長に知らされます。私のチームのメンバーのフィードバックを見てみると、全員の強みとして論理的思考が挙げられていました。「文章の構成がしっかりしていて読みやすい」という講評も。それが仕事ですからね、ほほほ。

強みが全員同じなのは、職務の特性上からも違和感がないのですが、なぜか弱みまで同じでした。それは市場を分析する力。筆記試験のお題は事業戦略の立案だったようなのですが、全員、市場分析が不足していたとのこと。試験も答案も見ていませんが、おそらくPEST、SWOT、3C、ファイブフォースといったフレームワークが使えていなかったのだと思います。
法務でも、相談時やM&Aの資料ではその分析結果を目にすることはあっても、自ら使うことはないし、そういうフレームワークの存在を習っていないので使えないのは無理もありません。教えてこなかった私が悪いのだろうか・・・

特定の人に有利な試験になっていないか

所属先は古式ゆかしいメンバーシップ型・職務等級制度を採用しているので、昇格試験の内容は、全員一律です。

しかし、上記のようなフレームワークや事業戦略立案は、一部の部署では日常的に使っても、法務のように「見ることはあっても使うことはない」人も多く、特定の部署の人に有利だという不満も聞かれます。自社の事業戦略であれば、自然と外部環境や市場動向も把握できているでしょうが、架空のケーススタディだと初見ではなかなか上手くできないのは当たり前で、自然な不満だと思う。

他方、会社は、経営幹部候補を昇格させたいので(所属先にエキスパートの道はありません)、経営戦略のスキルがある人が有利なのも仕方ない気がします。
だから、人事は、経営戦略のスキルがある人を昇格させたいなら、それを身につける機会を適宜のタイミングで用意すべきだと思う。自ら教えられないなら、せめて推薦図書くらい与えてあげてほしいし、それもしないなら、所属長に「こういう試験を出すので身につけさせてくれ」と教えてほしいな。

管理職になりたくない理由

試験に合格したメンバーたちは、春から等級と給与が上がります。めでたい。

この次は、数年後に管理職登用試験を受けることになるのですが、希望は聞かれません。その理由を尋ねてみると、「どんなに給料をもらっているのか知らないけど、みんな大変そうだから」といいます。

私も悪い見本の一人だと反省するのみであります。もっと早く仕事を終わらせるぞ!