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大阪で働く法務パーソンのはなし

部下を評価する準備

仕事に好き嫌い、得意不得意という感情は持ち込まないように心がけているのですが(でないとすごく手を抜きそうなので…)、「部下と良好なコミニュケーションをとる」「部下を評価する」というのが苦手です。終わったと思ったらまたすぐ来る…

目標設定が難しい

会社員に転職して驚いたことのひとつは、期初に目標を立て、期末に達成度を評価し、それにより給与や賞与、ひいては昇格・昇進が決まることでした。そういうものがあるとは知っていたけれど、法務パーソンにも適用されるとは思っていなかった・・・*1

そして、身をもって体験し、次のような不平不満がすぐに沸々とわいてきました。

  • 法務は基本的に受け身の仕事で、この先半年でどんな仕事をするか読めず、目標なんて立てられるか
  • 計画を立ててできる仕事もなくはないが、降ってくる仕事をきちんとこなしたことを評価しろ(そっちが本業だろ)
  • 法務のパフォーマンスがよかったか悪かったか、半年かそこらで判断できるのか
  • だいたい、上司や人事は、法務の仕事を評価できるのか

私もかなりの未熟者でした。

目標設定の難しさは今も克服できていませんが、給与や昇進のためのツールではなく、自分の成長記録くらいに捉えることにしています。人事からは「定量目標にしろ」と言われるので*2、契約審査や相談対応みたいな通常案件は、件数やファーストアクションまでの日数を指標にすることで定量化してみるなど、試行錯誤する日々。

一次評価者の苦難

目標設定の難しさは今回は措きますが、とにかく明確な目標を立てるのが難しい。さらに、外的要因のせいで期初に立てた目標が吹っ飛ぶ可能性もあります。目標・指標に曖昧さや不安定さがあるので、評価しにくいことも多く、見ようによってはえこひいきになるかもしれません。

そういった難しさに加えて、私のような一次評価者にはさらに困難が2つあります。

ひとつは、その後の評価者に被評価者(=門外漢)のパフォーマンスがわかるように具体性とわかりやすさを両立させた評価コメントを書くこと。
所属先の場合、評価項目が1人につき10個以上あり、それぞれについてランクをつけるだけでなくその理由も書かなければなりません。私の後に見る人は法務のことがほとんどわからないので、「秘密保持契約には対応できる」より「秘密保持契約のような初歩的な契約には対応できる」などと、被評価者の納得度と次の評価者の理解度の両方を高める工夫がいります。

もうひとつは、私にはどうしようもないのですが、自分の評価では被評価者の給与や昇格はもちろん、キャリアもどうすることもできないことです。
所属先の場合、私の評価・ボスの評価を経て人事が最終的に総合評価を下し、給与・賞与が決まり、また、総合評価の内容により、昇格試験が受けられるかどうかが決まります。つまり、私の評価は最終的な評価の材料にすぎません。そして、それがどのように決まるかは完全なブラックボックスなのです。
にもかかわらず、最終評価の伝達は一次評価者がやれとは、鬼だ。

評価には準備が必要

評価をするには具体的な行動事実が必要です。でも、こんないい行動があったとか、指摘したとかいったことはすぐに忘れてしまうので、できるだけ日頃から閻魔帳をつけるようにしています。

所属先の場合、自己評価→一次評価→フィードバック面談→二次・最終評価→フィードバック(結果報告)という流れなので、私の一次評価が終わったらフィードバック面談をします。大体1人1時間くらいとって、本人がした自己評価と私の評価とのズレを中心にフィードバックを行い、互いの納得感を確認し合います。

評価材料を書き溜めておいても、評価コメント作成とフィードバック面談をして二次評価に提出するまで、1人3時間くらいはかかっているような気がします。これが私の仕事なので不平も不満もないけど、骨は折れる(繁忙期と重なることが多いし…)。

全部◎な評価ならまだ楽ですが、それだと「メリハリがない」と人事にケチをつけられるので、厳しい評価をすることもあります。その場合は、「ここが問題だった」ではなく「より高みを目指すには、今後はこういう行動をとってほしい」といった感じで表現を工夫するなど注意を払います。評価シートは永久に残り、いつでもみれてしまいますし、何よりフィードバック面談を前向きな言葉で終わらせるために。。

ただ、私は小規模法務で、チーム全員分を私で評価でき、調整が不要なのは幸いです。いつかはこの体制から脱却せねばと思ってはいるけれど、そうなったときは一次評価者が複数になってチーム間の調整が必要になるので、法務組織が成長してほしいと願いつつもこれ以上大きくならないでほしい気持ちも…

わかってくれとは言わないが試行錯誤している

過去の私がそうであったように、きっとチームのメンバーには、私やボスや人事の評価に不満があると思います。本当にちゃんとみて、評価しているのか、と。
努力はしているものの、胸を張れるかと言われると苦しいですね。

メンバーにわかってくれとは言えませんが、「ひとりひとりの働きをしっかりみるようにして、それをなんとか上に伝えるべく自分なりに試行錯誤している」のは、多くの一次評価者や管理職に共通すると思うので、それも励みにまた次の面談の準備をします。
早く一次評価者から卒業したい。

*1:事務所時代は、自分が評価してほしいと思う案件をピックアップして、一緒に仕事をした弁護士が評価した上で上司?人事?が評価するというしくみでしたが、パフォーマンスが給与や賞与に反映されていたかは不明です。

*2:その人事は、自分たちの評価を「期待を大幅に超えた」という超ざっくりで処理していることに怒りを禁じ得ません。怒