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大阪で働く法務パーソンのはなし

【本】私のおすすめ3冊:プレゼンテーションマインド編

最近諸々忙しく*1、自分もフル回転ゆえ指導に至らないところが生じております。
「これではいけない、ちゃんと話をしよう」と思い、メンバーに伝えたいことを整理した結果、プレゼンテーションの心得を話そうという結論になりました。

そこで、関連書籍を読み返したので、私が頼りにしている書籍をご紹介します。プレゼンテーションに関する書籍の中でも、今回は資料作成のテクニックではなくマインドの部分で何度も読み返すお気に入りです。

プレゼンテーションの心得:準備と情熱

法務には「誰かに何かを伝える」という仕事がかなりあり、私は、準備と情熱がそれを支えると思っています。「情熱」はクサく聞こえるので、当事者意識といってもいいかもしれません。

準備をするとはどういうことか。自分の仕事に置き換えると次のようなもので、周到にやるには情熱が必要です。よりよい事を成すために、使えるものは何でも使え。

  • 大きな仕事では、最初に予定納期を決めて、タスクと期限をバックキャストでブレイクダウンする。
  • 最初のタスクは、伝える内容づくり。手始めに、その材料として広めに情報を集める。法務でいえば、過去の類似事案、信頼度の高いリソースからの資料はもちろんのこと、少数説やまゆつばの情報も、時間の許す範囲*2で集めてみる。
  • 集めた材料から伝えること(ストーリー)を作り上げる。
  • どう伝えるかを考える。受け手はこの話にどの程度詳しいのか、関心があるのか、法務の見解を受け取ったあとどうするのか(どうしてほしいか)…を想像して、使う言葉や粒度、順序などを練り直して完成させる。

誰かに何かを伝えるプレゼンテーションの私的BEST3冊

前置きが長くなりました。私がプレゼンテーションに対する考えを固めるに至った本はこちらです。なお、3冊には似たことが書かれていることを否定しません。それだけ重要ということだと思います。

ダン・ローム著・住友進訳「スゴイ!プレゼン 描いて、見せて、伝える」

コロナ前、グラフィックレコーディングなどのビジュアルシンキングにどハマりしていたときに出会った一冊です。著者のダン・ロームはビジネスの世界に「図解」以上のビジュアルを広めた人で、「描いて売り込め!超ビジュアルシンキング」は、デザインを勉強している多くの方に読まれている本だそう。その本も面白いけれど、プレゼンテーションという点ではこちらの本がおすすめ。

プレゼンテーションで重要なのは、真実・ストーリー・ビジュアルだとして、プレゼンテーションを聴く人に何を求めるのか(聴く人の何を変えたいのか)を4つのパターンにわけてストーリーの組み立て方を教えてくれたりします。ピューマの姿勢に例えてあるので、細かいことを忘れても大体大丈夫です。

ただ、今回ダン・ロームの著書を改めて調べていたら、プレゼンテーションをテーマにした最新刊が出たことが判明したので、今はこのほうがよいのかもしれません。。

井庭崇・井庭研究室「プレゼンテーションパターン」

いわば、プレゼンテーションのヒント集。最初に短いメッセージやイラストがあり、その裏に解説が書かれています。ひとつひとつのメッセージ・解説は3〜4ページなので、目に留まったものを拾い読みすることもできるし、メッセージのページだけを読んでも言わんとしていることは理解できるので、ちょっと見直したいときも便利です。

この著者の本では、「対話のことば」もいいです。こちらは、コンプライアンス研修(特にハラスメント研修)で参考にしています。

櫻田潤「シンプル・ビジュアル・プレゼンテーション」

ひとまずどれか一冊読むなら、ボリューム的にもこれがおすすめなのですが、残念ながら絶版のようです。古本で手に入ればぜひ…!

著者はインフォグラフィックの専門家で、現在はNewsPicksのこども新聞のアートディレクターをなさっているそうです。ご本人がとても素敵なイラストをお描きになるので、そういう意味でのビジュアルに関する記述も多いけれど、この本の重要なところはそこではないと思います。プレゼンテーション(資料)を作るまでに何をすべきか、何が大事なのか、やさしい言葉で順を追って書いてあるのが好きです。準備がとても大切だということが、それこそ言葉とビジュアルを通してよく伝わります。

目指すクオリティ

自分のするプレゼンテーションが合格だったと言えるのはどんな場合でしょうか。私が目指すクオリティは、以下の4つをすべてクリアすることです。

  • 予想より早く回答があったと思ってもらえる*3
  • 最後まで読んでもらえる(できれば読み返しなしで)
  • 「たしかにそうだな」と納得感を持ってもらえる
  • 更問がこない(事前予測不可能な発展的な話は除く)

クリアできないものがあったら力不足を反省し、次に生かします。なかなか上手にはならないけど、繰り返すことで受け手のことをよく考える癖はつきますね。

*1:重要な法改正が来月に3つもあり、規約やポリシーを全部見直すなど。別の問題も発見されて冷や汗かいています。

*2:最初のうちはこれが難しい。いくらでも時間をかけられてしまうので…

*3:クオリティの問題ではないのですが…