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大阪で働く法務パーソンのはなし

「顧問弁護士」の使い分け

私の所属先には、顧問契約を締結する法律事務所が3つあります。

案件の性質によって相談先を変えるわけですが、相談頻度や弁護士サイドの対応スタイルの違いがあったりして、「うまくやりとりできていない」と感じるときがあります。

お願いしているこちらが上手にコミュニケーションをとるべきなのは百も承知なんですけども、なかなか簡単ではありません。

かかりつけ医と専門外来と総合病院

なぜ複数の顧問契約が必要なのか。医療にたとえれば、「近くのかかりつけ医」だけでは不足だからです。そういう場合はスポットでお願いすればいいという考えもありますが、「顧問料をお支払いするのが、トータルで見てリーズナブル」というのが所属先の考えです*1

付き合いの長い「かかりつけ医」:週に1回

顧問契約を締結する3つの事務所のうちひとつめは、地元に古くからあるところで、お付き合いも一番長い。上の方でつながり、私にとっては「しらがみ」がありますが、日常の相談は代替わりした優秀かつ働き盛りな先生方が対応してくださっています。この事務所は、いわば「かかりつけ医」で、何かあればまずは相談を考える先です。

うちを担当してくれる弁護士は基本的に固定されており、週に1回くらいは対面(オンライン含む)で相談する機会があるので、担当弁護士もキーパーソン含めて社内事情をよく理解してくださっているし、こちらも気軽に相談できるありがたい存在です。

ただ、昔に比べて専門の細分化が進んでおり、1〜2人の弁護士が会社の全ての法律相談に対応するのは難しいのが現実です。事務所規模も大きいとは言えないので、知財や環境周りなどは「この問題を相談してもな…」ということはあります。

人事だけ専門外来に通う:年に数回

顧問先を見つけたり相談したりするのは、法務部門だけとは限りません。超大企業になれば法務以外の部署(戦略投資部門とか、業法関係なら事業部とか)でも締結すると聞きますし、そこまで大規模でなくても「人事は法務のあずかり知らない顧問弁護士にお願いしている」という企業はかなり多いのではないでしょうか。所属先もそうです。

ここは労務専門というということもあってか小規模の事務所のため、担当してくださる弁護士は基本的に固定です。そもそも、その先生にお願いしたいがためにその事務所の門を叩いたそうなので、別の弁護士に振られると「あれ?」となってしまうかも。
相談の頻度は年に数回程度のようです。所属先では、紛争になると法務に応援要請がくるので*2、私が仕事をご一緒するのは数年に1回程度ですが、その際は初回や重要なタイミングでは対面で打ち合わせを行います。

いざというときのための総合病院:年に数回

以前は、人事だけは別の事務所にお願いし、その他はM&Aでもない限りかかりつけに頼っていました。しかし、自社も事業内容が広がってきましたし、法令も弁護士も専門性が高くなってきたので、かかりつけに頼れない相談に備え、東京に本店を持つ大規模事務所とも顧問契約を締結しています。

この事務所に相談があるときは、まずは窓口となるパートナー弁護士に依頼メールを送り、当該パートナー弁護士が相談分野に適した担当弁護士をアサインしてくれるというスタイルです。つまり、実際に対応してくださる弁護士が毎回異なり、はじめましての方ばかり。相談するのは年に数回で、ほとんどの場合、往復1回のメールのやりとりでクローズします。

歩み寄るのはどちら?

以上のとおり、所属先では3つの事務所と次の頻度・スタイルでお付き合いしています。

  1. かかりつけ:週に1回、毎回同じ弁護士
  2. 専門外来 :年に数回、毎回同じ弁護士
  3. 総合病院 :年に数回、毎回違う弁護士

コミュニケーションは質より量が先のところがあって、毎週のように直接話す機会があると、字面だけでは意図を図りかねても、「多分こういう趣旨だな」と想像がつくし、「どういうことですか?」と互いに率直に聞けてコミュニケーションコストが低いです。結果、いただく回答や見解の納得感も高くなります。

でも、これがたまにしか話す機会がないと、そもそもクライアントの前提を覚えていられないだろうから、インプットが不十分なのでは?という不安があります。とはいえ、毎回同じ弁護士なら安心感はあるし、直接お話できればフォローも質問もできるのでまだいい。

もっとも厄介なのが、たまにしかお仕事を頼まない上、毎回担当してくださる弁護士が違うパターン。こちらもその弁護士を知らないし、あちらも事業や法務担当者のことをまったくご存知ないので、コミュニケーションコストがすごく高くつくはずなのに、基本的にやりとりはメールだけ。したがって、有り体に言ってすれ違いが起きたりして、回答の納得感が今ひとつなこともあります。

顔の見えないクライアントには尽くせないだろうな…と納得できるのですが、うちの主担当者は「次はこの先生には当たりませんように」と感じてしまうので、もう少しいいやり方がないものかと思っています。

  • 依頼する仕事を増やす
    →フィー的に厳しい。それでも毎回担当弁護士は変わる。
  • 弁護士を固定してもらう
    →大規模事務所に頼む意味が薄れる。
  • 窓口の弁護士を変えてもらう
    →とても言い出せない(引退を待つしか…)

…なかなか難しいですね。

*1:ちょっとした相談は顧問料の範囲内で処理してもらえたり、紛争になったときに着手金や成功報酬を事務所標準より割り引いてくれたりという直接的なものもありますし、「どこにお願いしよう?いくらでお願いできるかな?」などと毎度考える必要もない。

*2:時系列表を作ったり、証拠を整えたり、弁護士が作ってくださる書面を確認したりする要員。