今週末には、緊急事態宣言が一部地域で解除される可能性が高そうですね。とはいえ、私は今後も可能な範囲で在宅勤務を継続することにはなりそうです。
さて、週末、弁護士の水野先生のツイートが目に留まりました。
水野先生のツイート
私が好きな本、『法のデザイン』
その著者の弁護士の水野先生が、こんなツイートをされていました。
監査法人から顧問契約をしている弁護士のところに届く「訴訟事件等に関する回答書」、こんなときでも書面で届くの、勘弁してほしい。電子でやった方がお互いのためだと思います。
— 水野 祐 CITY LIGHTS LAW🙊 (@TasukuMizuno) 2020年5月9日
会計監査人から顧問弁護士への照会
水野先生がおっしゃっている書面は、会計監査人(を務める監査法人)から行われるこの照会、紛争事案はあるか?ありそうならどんなインパクトになりそうか?と顧問契約している弁護士にだけ聞くという、ちょっと不思議な習わしのことだと思われます。
当社では、事前に財務部門から法務部門にアナウンスがあって、照会先となる顧問弁護士に事前連絡はするものの、監査法人⇔顧問弁護士のやりとりの内容は知りません。そうか、あれのやりとりは往復ともに書面なのですね。毎年やるのに…なんだか、申し訳ない気持ちです。。
たまに、「あの件はこう回答しておきました」と顧問弁護士から連絡をもらうこともあります。インパクトを聞かれて訴額で答えるのもおかしいので、よほど終わりが見えているものでない限り、「わかりません」と答えてくださっているようです。
照会先が一部である不思議
当社では、どの顧問弁護士に照会するかは財務部門が選定していて(顧問料の額?)、必ずしもすべての顧問弁護士に照会するとも限りません。
この照会の趣旨は、紛争の有無やある場合に想定されるインパクトを第三者に確認することだと思われるので、会社に紛争等の有無の確認→必要と考える代理人弁護士全員に確認という順序で進めるべきではないでしょうか。。
案件によっては、顧問契約を締結していない弁護士・弁理士を起用するケースもあるので、任意の顧問弁護士にだけ照会するのは理解に苦しみます。顧問弁護士は「かかりつけ医」的なポジションであることも多く、難しい案件になれば、大規模かブティック系の事務所にスポットでお願いすることも多いはずなのに…
紛争の有無を把握できているか
顧問弁護士への照会とはリンクしていないと思いますが、法務部門にも紛争事案の有無や経過について監査法人から照会があります(ない年もあるような…)。この回答が少し悩ましい。
というのも、聞かれている範囲がよくわからないのです。照会書を見る限り、現在裁判所が関与している紛争(訴訟や調停)についてだけ聞かれているようですが、裁判外の紛争処理もあれば、裁判になりかけのものもあります。それは答えなくていいのか?(前職では、「監査法人にくれぐれも余計なことをしゃべるな」と釘を刺されていたので、答えないようにしていますが…)
それに、法務部門でも知らない紛争というのも結構あったりします。そもそも、グループ全社でどんな紛争を抱えているか管理したり報告したりするルールはないし(他社さんはあるんでしょうか…)、中核会社であっても、訴訟にならなければ法務を通らないこともあります(特に労働事件)。
会計監査人は、書面照会も見直すべきだけど、照会先の選定方法も見直したほうがいいです、きっと。