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大阪で働く法務パーソンのはなし

新卒採用試験その後

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2月に入り、一部インターンシップを行うなど当社でも23年卒の新卒採用活動が本格化してきたようです。

少し前に法務専門職の新卒採用試験をするという話を書きましたが、この機会にその後について。

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ロー卒の応募はなかった…が

そもそも、なぜ秋口に23年春ではなく22年春の新卒採用活動に挑戦したかといえば、司法試験の結果を受けて進路変更を考えるロー既卒の方を主たるターゲットに置いたからでした。急いでいたというのももちろんありますが。

結果としては、ロー既卒の方へ効果的にアプローチできる方法がなかったこともあって、応募はありませんでした。
アプローチ方法を探しているとき、若手弁護士の方に「同級生はどうされていたか」と聞いたところ、「適当なサイトがなくて、新卒採用の案内を見て直接コンタクトをとって就職したという人が複数いた」という話を教えてもらいました。お互いに困っているので、ここをつなぐサービスがあったらうれしいです*1

一方で、意外にも22年卒の学部生・院生からの応募が予想を超えてありました。時期が時期だけに、応募はほとんどないだろうと覚悟し、ダメだったら23年卒に挑戦するつもりだったのに。
話を聞いてみると、「内定はもらっているけれど総合職なので法務の仕事にいつ就けるかわからない。専門職の求人を見つけたので応募した」という方ばかりでした。

今の学生さんはただでさえ就職活動が長いのに、内定をもらった後も自分に合った仕事を模索し続けるとは、なんと立派なこと。どんな仕事をするかもよくわからずに、イメージと雰囲気だけで就職先を決めた昔の自分に見せてやりたい。

筆記試験はやってよかった

通常の採用活動は人事の主導で行いますが、「法務は専門性が高いから」という理由で好きに試験をしていいと言われたので*2、今回は筆記試験も行いました。

問題と模範解答を弁護士に見てもらったり、若手に試しに解いてもらったりと準備をしたかいもあって、成功だったと感じています。
司法試験に挑戦した方が受けることを想定し、問題文に含まれる契約を複数抽出させるなど難易度を高めにしたので、学部生にはかなり難しかったと思うのですが、院生か学部生かで大差はありませんでした。

学生さんには酷でしょうが、その後の面接試験でもよい話題になるので、筆記試験はおすすめします。

面接で何を聞くか?

好きに試験をしていいと言われましたが、当然人事も同席するし、「面接で聞いてはいけない質問」リストも渡されました。家族や出身地、政治、宗教など。

それはいいのですが、最近は「適性や能力を測るのに必要のない質問はするな」という風潮が強くて少し困ります。「関係ないことを聞かれた」とか書き込まれたりもするし。
面接試験の質問なんて本当は何でも良くて、きちんとキャッチボールができるか、「そう、そういうこと!」「なるほど、そういうことね」と相手に思わせられるかが大切ではないでしょうか。

「なぜ法務?」とか「どういう軸で就職先を探しているの?」とかいう問いに私はあまり関心がなく(自分が過去にとってつけたような回答をしていたからです…)、真善美の価値観や他人と接する態度などを知りたいので、雑談に近いものがいいのですが。

人事に迫られる「この人を推す理由は?」

採用試験の合否決定は職種にかかわらず難しいはずですが、「法務のスキルは自分たちでは測れないから」と、事実上のキャスティングボードは今回私に委ねられました。私だって、一緒に働いたことのない人の力なんて測れないわ。。

最終面接に進んでもらう方を決めるとき、おひとり迷った方がありました。
「迷うならやめる」と決めていたので見送ったのですが、悩んでいる姿を人事に見られてしまい、「『なぜあの人を最終面接に送ったの?』と人事責任者に聞かれたらどう答えるんだ?」と迫られました。

まだ20代前半の若者の可能性を信じて何が悪いんじゃい。。

ストレス耐性が大事?

新卒採用試験では、何らかの適性検査を行う企業が多いと思います。

当社の人事はこれを重要視するらしく、面接試験をしていても適性検査との答え合わせをしているような感じさえしました。
とりわけ重視しているのが「ストレス耐性」で、現在は、この項目が弱い方は基本的に不合格にしているよう。たかが1種類の適性検査の結果でストレス耐性を判断されても…

意外だと言われるのですが、私、ストレスチェックや適性検査などで現れるストレス耐性のスコアがどれもかなり低いんです。それでも仕事は人並みにできていると思うんだけど。

ある検査のストレス耐性のスコアが悪いという理由だけで採用を見送っているとしたら、すごく大きなロスをしているんじゃないかと心配します。。今回の採用でも、人事は「この人はストレス耐性普通」「この人はストレス耐性が弱いのでちょっと」などと言っていましたが、全部無視しました。

春を楽しみに

急ピッチの採用活動でしたが、最終的に縁のある学生さんと出会えました。当社への就職を決めてくれたということは、別の会社の内定を蹴ったということなので、そちらには申し訳ないのですが、きっとお互い様ということで。

一緒に働けるのは新入社員研修が終わってからなのでまだ当分先ですが、新しい風がとても楽しみです。

*1:余力のある企業は、ロースクールで説明会をされたりするようですが、それも既卒の方にはなかなか届きませんよね…

*2:キャリア採用では面接1回で判断しないといけないんですけど…