今年の私の目標のひとつは、英語の勉強を再開し、テストを受けることです。この調子では、テストが受けられるかわかりませんが…
そのために使っているのが、VoiceTubeというアプリ。無料でたくさんの英語を字幕や翻訳つきで浴びることができて、本当に素晴らしい世の中です。
しかし、法務で使う英語をこういったもので習得することはなかなか難しいですよね。
パラリーガル採用試験の苦い思い出
私の社会人キャリアのスタートは法律事務所のパラリーガルです。
今はどうかわかりませんが、私が就職活動していた頃のパラリーガルの採用試験には、法律だけでなく、英文和訳や英作文といった英語の試験を課すところが結構ありました。辞書の持ち込みが可のところも不可のところも。
ある事務所の採用試験で、「コピーを10部とる」という英作文ができずに撃沈した直後、厳しそうな面接官にその答案をペラペラめくられながら面接を受けた…という苦い思い出があります。当然?その事務所の採用試験には落ちました。
他方、就職することができた法律事務所では、「『取締役』の翻訳、きちんとできていたね。」と面接のときにいってもらいました。「持ち込んだ辞書に載ってましたよ」と、入所後に申告すると、「ちゃんと拾えるかが大事なの」とのこと。事務所によって、見るところが違うようです。
法律英語は難儀する
私は海外留学の経験はないし、ここ数年海外すら行っていないのですが、英語とは付かず離れず付き合っています。こうしてなんとかやっていられるのは、英語に重大な拒絶反応がないからと考えるのですが、その理由は、子どものときからわけもわからず英語に触れていたからではないかと思っています。現在、小学校の英語の授業で何を教えているのか存じ上げませんが、私の経験からすると、英語教育の幼年化はきっと将来にいい影響があるに違いありません。
とはいえ、英語に親しんでいるからといって、法務パーソンとして英語が使えるかというと、そんなことはありません。「英語堪能です!」といいながら、英文契約が読めなくて愕然とする人を何名か見てきました。
"minutes"が「議事録」とか、"director"が「取締役」とか、辞書を引けば書いてあるけれど、普段の使い方とは違いますし、格調高い英文契約になると「文章はどこで切れるの?」となります。(正解は、契約書の一番最後。契約書は全体で一つの文だから)
英語圏で働いた経験もある人に、「"hereof"ってどういう意味!?こんな英語みたことない!」といわれたこともありました。便利な言葉なのに。
また、急ぎで量の多い英文契約を和訳するのに、プロの翻訳家や機械翻訳を利用したこともありますが、これまた「あれ?」となることがあります。翻訳家の場合、英語の読解にはもちろん問題ないのだけれど、法務の世界にそれほど明るくないから訳出が不自然だったり、機械翻訳だと倒置法が入ると意味不明になったり…
かといって、法務パーソンなら未経験でも上手に和⇔英の変換ができるかというと、そんなことはありません。日本語には日本語の、英語には英語の契約書の歴史がそれなりにあり、どちらの前提知識も備えていないと難しいですよね。
実践あるのみ
では、どうやって必要な知識を身につけて翻訳力を鍛えていくのか。答えは「実践あるのみ」なんだと思います。
私がある程度使えるようになったのは、事務所時代に法律英語に堪能な諸先輩方が作ったベースにたくさん触れられたり、自分が作るメールや書面を弁護士資格を有するネイティブが毎度チェックしてくれたりしたからですし、事業会社に勤め出した後はこれまた一流の国内外の弁護士の作る契約書に触れてこられたから。(余談ですが、なぜ外国人弁護士よりも日本人弁護士が起案する英文契約書のほうが読みやすいと感じるのでしょうか?日本語で考えてから英文を考えるという思考回路が同じだから?)
つまり、良質な英文の法律文書にたくさん触れてこられたからこそ、frequentでもないのに「なんとなくそれらしい」ことができるのだと思っています。おかげで、私が英作文すると、フランクな英語を操るバイリンガルからは「カタイ」といわれるのですが。。
とにかく、法律英語を習得するのに重要なことは、「良質な」英文の法律文書(その和訳含む)にたくさん触れること。
それをどうすればよいのか?が問題ですが、そんなに都合よく案件があるとは限らないので、すぐに取り組むなら書籍で、ということになるでしょうか。ちなみに、我が社では、メジャーどころの以下の書籍を備えています。
他にも、ビジネスロージャーナルには英文契約の連載があります。
メンバーたちは、Google翻訳などもかなり愛用しているようですが、私は本を見てほしい…