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大阪で働く法務パーソンのはなし

「慎重さ」を養う

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会社の研修の一環で、クリフトンストレングス・テストを受けました。昨年受けたので、今年改めて受ける意味があるのか…と思いつつ。

クリフストンストレングス・テストとは

このテストは、177問から成る30分程度のもので、独自に分類した34の資質(強み)の強さの順位を示してくれます。「これがあなたの才能のDNAです」というメッセージを添えて。
公式サイトによれば、このテストで次のことが可能になるそう。

  • 自分が本来得意とすることを発見する
  • 自分の最も優れた才能を強みにする
  • 個別化された結果とレポートを使用して、潜在能力を最大限発揮する

テストは、全て2項対立になっていて、自分の考えがどちらに近いかを5段階で評価していきます。たとえば、自分の信念を大事する/自分の価値観を大切にする、といった感じです。「どちらもでもない」が中間なのですが、「どちらも同じくらい大切」なのか、「どちらも同じくらい大切でない」のかで、強みの重心は変わってきそうですけれども…

今年の結果は

今年のテスト結果では、強みの1位は「学習欲」でした。「成果よりも学習自体に意義を見出」すとのこと。まったくその通りだと自覚があります。一発で合否が決まるようなテストは大嫌い。

34の資質は、「実行力」「影響力」「人間関係構築力」「戦略的思考力」の4つの領域に分類されるのですが、私の上位の強みは戦略的思考力にものすごく偏っていました。
なんとバランスの悪いこと…口だけなんて、最も嫌なタイプじゃないですか。

実は、昨年の結果とは結構異なっていました。たとえば、強みの1位は「学習欲」ではなく「慎重さ」で、「学習欲」は3位。それに、実行力と戦略的思考力のバランスも良かったです。

私の回答の揺れもあるだろうし、私がこの1年強の間に強みを開発/衰退させたのかもしれないし、テスト自体が変わったのかもしれませんが、ちょっとモヤモヤ。「才能のDNA」は変化するのか…

法務パーソンに必要な強みは?

以前の私の強み1位の「慎重さ」は、「意思決定や選択する際に細心の注意を払い」「目の前に立ちはだかる障壁を予測」するというものです。同じテストを受けた私のチームのメンバーも、この強みが1位だったといいます。

法務にいながら、意思決定や選択の際に細心の注意を「払わない」なんてことはあるはずがないので、これが法務パーソンに必要な強みといっても過言ではないでしょう。
実際、書籍にも以下の記載があります。

 

あなたは生まれつき優れた判断力をもっています。アドバイスをしたり相談にのったりする仕事につくことを考えましょう。法務関係や堅実な商取引、法令順守に関連する仕事で頭角をあらわすかもしれません。

ー『さあ、才能目覚めよう新版 ストレングス・ファインダー2.0』P.131

とはいえ、私は、法務パーソンが仕事で使っている「慎重さ」をスキルと捉えていて、いくら「慎重さ」という資質を強く持っていたとしても、有能な法務パーソンになると思えませんし、逆もまた然り。「慎重さ」は、必要な強みだけれど、開発可能だと信じたいです。

「慎重さ」をどう養うか

これまで何人かの法務人材の育成を担ってきて、近頃特によく考えるのは、この「慎重さ」を養う方法とはどんなものか、ということです。
「慎重である」とは、ただ立ちすくんでいるのとは違います。「この課題にどう対応をするのが最もベターか」を注意深く考えることです。まさに、デザイン思考におけるダブルダイヤモンド。すると、まずは「気づく」ことが大切です。実際、「どうしてここに気づいてくれないんだろう?」と思うことは多々あるわけで…

「気づかない」のは、「引っかからない」からで、それは「視れていない」からで、それは「想像力が不足している」からで、それは「当事者意識が足りない」からで、それは「知らない」からだ。というのが、私の5Whyの結果です。よって、キャリア採用した社員にも営業同行をしてもらったりしています。

無理にでも現場を経験する

法務は専門職扱いで、職種間異動がないという企業も多いですが、この方式の場合、かなり意識して「知る」活動を取り入れないと、いい仕事をするのは難しいのではないでしょうか。
当社は、法務は専門職ではないので、プロパー社員は現場を経験してから配属されます。そして、プロパー社員のパフォーマンスはかなり良好。これは、業務そのものに加えて、現場の人たちの置かれている状況やそこから生じる正直な気持ちも、当事者として獲得してきたからではないか、という仮説を私は持っています。下からの視座を獲得してきたところに、法務配属後は上から、あるいは外からの視座を獲得し、さらに想像力を逞しくするわけですが、すでに獲得している視座がある分、相乗効果で視える範囲が格段に広くなるに違いない。

というわけで、短期でも良いので、法務パーソンには、営業現場を体験させることをお勧めします。私は経験したことないんですけれども…