最近、複業、兼業を認める会社さんがかなり増えてきました。厚労省のモデル就業規則もこれらを認める内容に変わっています。
また、一定の場合に再就職(カムバック)を認めたり、サバティカル的な休暇を導入されたりする会社さんもありますし、協業ベンチャーへの出向といった形で、異文化体験の機会を作ることもあります。
「違うところで働く」というのはとても魅力的で、私もできるならやってみたいのですが、さらに実現したいことがあります。それは、留学ならぬ「留社」です。
大海を知りたい
私には複数の転職経験があり、今の会社のやり方がベストだと思えないこともありますし、今の会社では経験できないことも経験させてもらえたと思います。
同じように、私のチームの若いメンバーにも、自社ではできない経験をさせたいのです。なんなら、私だって、キャリアを重ねた今だからこそ、他社さんがされている工夫を学びたい。
だから、資本関係のない他社へ修業に行く仕組みがあったらいいなと思うのです。そうでないと、「井の中の蛙」のまま法務パーソン人生を終えてしまうかもしれません。それは、本人にとっても、会社にとっても非常に残念なことではないでしょうか。
小規模法務で実現可能なのは、交換留社?
「よその会社で働いて(働かせて)みたい」という思いは、ここ数年膨らむばかりなのですが、我が社は今のところ複業やサバティカルは認めていませんし、小規模法務で回しているので、誰か一人でも欠くのは死活問題です。だから、誰かを出すなら、誰かに来てもらわねばなりません。しかし、当社グループでは、子会社に法務を置いていないので(仮にあったとしても当社より人手が足りないはず…)、グループで調達することは不可能。
自分たちで何とかできないなら、外の手を借りるしかありません。そう、誰かを送る代わりに誰かに来てもらう、「交換留社」だったら実現可能性があるのではないか。なぜなら、それはwin-winになる可能性が高いから!
立ちはだかるハードル ①相手を見つける
そんなわけで、他社の法務の方とお話するたびに、この夢を語るのです。みなさん、「面白そうだね!」と共感はしてくださいますが、実現には至りません。。
私の夢を実現させるには、何よりもまず、「他社の現役法務パーソンを受け入れてトレーニング機会を提供してやっても良い」という奇特な相手先を見つけねばなりません。しかも、競業他社というわけにはいかないし、かといって、まったく違う世界だとかなりご迷惑な上、帰ってきても経験が生かせないおそれがあります。加えて、せっかく虎の子に修行をさせるわけですから、信頼できる方(で、かつ、私とは違うタイプ)に指導いただきたい。どこでも良いというわけではない、これが最難関のハードルです。
立ちはだかるハードル ②労務問題+人事のOK
仮に、運よく協力してくださる企業があり、そちらにも適当なトレーニー候補がいらしたら、次に越えるべきハードルは、労務問題を解消した上で人事のOKをもらうことです。
人事の心配事はこうです。
- 労働時間や休日が違ったらどうする?
- お金のやりとりはできるだけ発生させたくない
- 法務なんて重要情報があるところに他社の人間を受け入れるなんて、情報セキュリティ上どうなの?
「交換留社」は比較的短期間を想定しているので(でないと、当社は本当に回らない…)、出向という考えはなく、もし、当社の所定労働時間より長く働いてもらわないといけないなら時間外手当を支給すればいいじゃないか。休日が違うなら、派遣元のカレンダーに合わせればいいじゃないか(派遣先が休みの日は派遣元に出勤すればいい)。だから、人件費のやりとりはなしでいいじゃないか。
と、私は考えています。また、情報セキュリティの件については、法務パーソンは基本的に高い倫理観を備えているので、自社に共有していいものとそうでないものの分別はつくはずですし、そもそも、「他社に知られるのが怖い」ほど大した情報が(法務に)あるのか、あったとして、退職者だってその情報を握って他社に行っているじゃないか…と、あまり的を射ない指摘に感じます。
「交換留社」が実現したら
以上のようなハードルを乗り越えて「交換留社」が実現したら…
私のチームのメンバーには、私と異なる(もっと丁寧な)上司の指導を受け、違う見方を身に付け、自社とは異なる法務の存在感やノウハウを知って帰ってきてほしい。こちらに来ていただく方には、自分の上司とは異なる(ちょっとテキトーな)私の指導を受けて(こんなヤツを頼ってはいけないと)責任を自覚し、これまでとは違うフィールドの仕事にも挑戦してもらって、何かひとつでも得て自社に戻ってほしい。
そんな日を、今年は実現させたいです。