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大阪で働く法務パーソンのはなし

2021振り返り

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早いもので2021年が終わろうとしています。
静かな時間を持つために、少し振り返ってみようと思います。

依頼は前年比2割増の見込み

入社以来、対応件数は右肩上がりです。ずっと前年比10%増くらいでしたが、現時点で数えてみると、今年は20%増くらいになりそう。
これをほぼ同じ頭数でこなしているチームを心から称えたいです。依頼の増加よりも各人の成長が上回っているから持ちこたえられた、ということですから。

ところで、「依頼が増えている」とは何を意味するのでしょうか。

  • 既存事業が拡大している(のでトラブルが増える)
  • 新しい取組みが増えている(ので調査や検討が増える)
  • 「自分で考えなくても法務がなんとかしてくれる」と味をしめた人が増えている(ので重要度の低い相談が増える)
  • コンプライアンス意識が高まっている(ので研修依頼が増えたり、ちょっとしたことも気になって相談するようになっている)
  • 法改正があって対応が必要
  • 担当が変わって基本的なことを聞かれる

といったことが考えられそうですが、今年の場合、「既存事業が拡大している」以外はすべて当てはまりそうです。簡単には喜べないような…

今年多かった依頼

なかでも今年多かった依頼を振り返ってみると、頭をよぎるのは「重要度の低い契約書チェック」と「印紙税の相談」です。

重要度の低い契約書チェック

契約書チェックに関しては、前年同期と比較して倍増した時期もあるほどでした。

増えたと感じるのは、定型取引の自社雛形を相手方に提示したところ、「一部分だけ変えてほしいと依頼があったので見てほしい」というような依頼です。
多くは法的検討を要せず、「そんなの、自分で考えなさい」と言いたいようなもの

「自分で考えたのですが、これでいいか見てください」「これはこうしたほうがいいのではないかと思うのですが、どうでしょうか」と相談してくれる人も多いので、無下にもできず、事情を確認して直してしまいます。。

きれいな表現も大切だけど、枝葉に囚われず、根や幹がしっかりしていればいいんだよ、ということをこれからは伝えていかなければと強く思いました。

印紙税の相談

この契約書にはいくらの印紙を貼付すべきか?というものがオーソドックスですが、「××税務署から、この契約書は課税文書だと言われた。当社では課税文書扱いしていないのにどうして!?」とか、「課税文書か悩まなくてよいような文言にしてほしい」とかいったものもありました。

「なんで電子契約だと印紙税いらないの?」という相談も複数あり、「紙じゃないから」と答えると狐につままれたような顔をされたことも。気持ちはわかります。

積み残しと難しさを感じたこと

毎年、その一年が終わったときのイメージを描き、半期ごとにチームの目標を定めて、個人目標に落としてもらっています。が、なにせ前年比20%増ですから、今年は積み残しもちらほら。

  • プライバシーポリシーの改定案ができている
  • 各部の個人情報の棚卸しをもっと手伝っている
  • 内部通報制度の見直しに着手できている
  • もっと研修を実施している

という年末を想定していたのですが、そうはなりませんでした。

幸運にもチームのマネジメントに苦労はないのですが、会社全体でみると、決まるものも決められなかったり、枝葉に固執するような相談も多いしで、「自分で決められる」スキルを身につけていってもらわないと!と強く感じる一年になりました。

来年やりたいこと

一層の見える化

仕事を見える化したいという思いがずっとあります。新たに配属されると一定程度までは指数関数的に仕事量を増やすことができ、そのあとは、本人のやる気と与えられる経験で力量が変わってくる、ということを経営や人事に見せたいのです。メンバーに自身や部下の成長を数字で見せたいという気持ちもあります。

今もkintoneで依頼者・担当者・最初の返答までの日数などを記録し、四半期でモニタリングはしているのですが、来年はこの精度をもう少しあげようと思っています。

具体的には、ひとつひとつの案件をポイント制にして、簡単な契約と複雑な契約で仕事量に差をつけようとしています。

これを絶対的な評価基準にするつもりはないのですが、組織やメンバーの成長の振り返り材料のひとつになればいいなという思いです。あくまで日常的な依頼の記録であり、PJに参加したり、ダブルチェックを担ったりするシニアなメンバーはポイントが下がってしまうはずなので、そのあたりをどう見える化していくかは引き続きの課題です。

しくみづくり

今年はもう少し研修を実施したかったのですが、忙しくてかないませんでした。それに、来年からは内部通報制度の運用改善の取組みも必要になります。
人の異動も予定されており、ひとことで言って「ピンチ」。向こう数年は綱渡りが続きそうです。

新しく配属された人のオンボーディングメニューは一応用意していますし、過去の研修資料もあるとはいえ、行き当たりばったりのところもまだまだ…今の気鋭の戦力のうちに、ある程度しくみは作っておきたい。
先月のビジネス法務(2022年1月号)の特集記事の中にコンプライアンスプログラムのサンプルなども載っていたのでこのあたりも参考にします。

 

今年も拙い記事にお付き合いくださいましてありがとうございました。
それでは、どうぞよいお年を。