冬季賞与の季節になりました。値上げをしても原材料高騰分を吸収できない厳しい時期ですが、一般従業員には従来の賞与が確保されやれやれ。
今季の賞与雑感
私のチームは、契約社員含めて片手で足りるほどのメンバーから成り、そのうち半分は法務歴が半年にも満たないという構成です。「よくやってますね」と社内外から声をかけていただきますが、いざとなると何とかなるもので、通常業務を回しながら大きなプロジェクトも動けています。
関西電力管内はマシなほうだそうですが、電気代がかなり上がるし*1、物価の上昇も顕著だった今年、賃金が低く抑えられている契約社員には、何らかの手当をするように人事に求めていたところ、今季は寸志が大幅に引き上げられました。正社員との差を見れば十分とは言いにくいけれど、これまでのうちの会社にあっては人類が火を使い出したくらいの進歩に思えます。
さらに、契約社員間でも職種?パフォーマンス?で金額に差をつけていたのが意外でした。我が社はジョブ型雇用への移行を目指していると聞くけれど、その布石か(違うと思う)。
ジョブ型雇用が広がっている?
折しも、先日ある会社の方から、その会社では来年度からジョブ型に移行するという話を聞きました。しかし、その実、若手に高給ポジションへの道が「形式上」開放されるだけと社員たちは捉えているよう。
一方で、「ジョブ型」の御旗の下、会社へのロイヤリティを高めていた施策(手厚い住宅補助など)は大幅な削減が進んでいて、最近は若手の離職が多いとも聞きました。よそのことながら心配になる…御社、若者が重要な顧客でしょうに。
先行日本企業は
本場?のJob Descriptionや外資系企業の求人に触れたり、経験者の話を伺ったりした中で、海外は本当に「職務」に人をつけると感じたことがありました。仕事がブロックあるいはベルトコンベアみたいに組まれていて、「ここはこういう仕事でこういうスキルが必要」と高度にブレイクダウンされており、「キミ、ココ」という感じでアサインされるから、仕事がなくなれば人も去る。
ところが、ジョブ型を導入しているという日立製作所、KDDI、富士通などの情報発信を拝見していると、グローバルスタンダードに合わせてジョブ型を導入したと言いつつ、「この仕事をこの報酬でやってくれ(そしてそれ以外やらなくていい)」というのとは趣向が違うようですね。これまで曖昧にしていた各職務に必要なスキルとそれに見合った報酬を整理・見える化し、従業員にオープンにしていく取組みに映りました。
それは、ジョブ型だろうがメンバーシップ型だろうが、どの会社もやるべきでは。。
目指せハイブリッド
- 「とりあえずポケットに突っ込んでおいて、あるもので何とかする。」というブリコラージュ
- 人にはまだ見出されていないポテンシャルが存在する
という考え方が大好きな私にとって、いわゆるジョブ型雇用に完全移行するのはお先真っ暗で全然楽しくなさそう。でも、一定のスキルを条件とすべきポストがあるのも事実。
なので、結論としては、メンバーシップ型とジョブ型のハイブリッドを目指すのがよさそうだし、所属先はその方向で検討を進めている模様。クリアなJob Descriptionとそれに求められる知識やスキルが見える化できれば、違う職種へのチャレンジがしやすくなり、特に若手のモチベーションアップと離職防止につながるのでは?というのが人事の考えらしい。
経営陣は、ジョブ型ならパフォーマンスが釣り合わない人の評価(報酬)を下げられると考えているようだけど、日本では強制的に「バスから降ろす」ことはできないし、何より「あなた方、そもそもちゃんと人を評価できるんですか?」と問いたい…
法務の職務記述書をつくるとしたら?
ともあれ、ジョブ型導入の足音は確実に聞こえています。「法務の職務とそれに必要なスキルを一覧に書いて出せ」という難題が降ってくる日も近いでしょう。
「法務に必要なポジションごとのスキル」は、以前は経営法友会の、現在は経済産業省のこのマップをもとにそれっぽく作っているのですが*2、Job Descriptionではない。はて、どうしたものか。
他社法務の求人にある「職務内容」を参考にすることが考えられるけど、ざっくりすぎる…「契約法務」とひとことでいってもスキルにはかなりグラデーションがあって、ジョブ型導入の第一歩であるそのグラデーションの言語化が難しくて蓋をしてきた人が多いはず(=自分)。
とはいえ、何かお手本があれば、自社に合わせてカスタマイズできそうな気もするので、どこかでお手本を開陳してくれないかな…と周囲をキョロキョロしております。