先日、グループ会社と「危機管理」に関する打ち合わせを行いました。
まずは体制固めからですが、すでに見えている課題として「何を危機とするか」という評価の問題が浮かんでいます。
危機発生、まずは事務局へ一報
「危機」とは、すでに起こってしまった(台風到来など起きることが確実視される場合を含む。)有事のことです。「危機管理」は、そういったマイナスの状況からいち早く脱し、平常運転に戻すための活動といえます。
危機が発生したら、まずは情報を一元管理すべく、我が社では集約窓口を設けています。とにかく何かあれば、窓口に一報する。窓口は、その他の事務局メンバーと情報を共有し、経営陣や親会社にエスカレーションするかどうかを揉む。
私も、法務という職種柄、事務局メンバーに入り、物事を多面的に判断することをサポートしたり、内側の情報整理をしたりという役割が与えられています。
何でも報告するのか?
事業活動をしていると、毎日のようにどこかでトラブルは起きます。それらはすべて具に報告されるべきなのでしょうか。確かにそうかもしれませんが、そうもしていられないので、トラブルのうち、本社に知らせるべき有事とはどんなものか、また、本社に寄せられた事態のうち、経営陣にエスカレートさせたり、親会社にエスカレートさせたり、あるいは親会社においてリリースを出したり社外役員に知らせたりするのはどんな場合か、という判断基準が必要です。
我が社では、一応「危機管理マニュアル」というものを作っていて、「こういう事態が起きたら本社に報告しよう」「こんなときは部門ジャッジでOK、こんなときは経営陣にエスカレートしよう」といったルールを定めています。要報告事項としては、製品事故や人身事故、被災などがあり、比較的具体的です。しかし、エスカレート基準は「リリースを要するレベルなら経営陣にエスカレート」という定め方になっており、「リリースを要するレベル」を誰が判断するのか?という問題が起きています。
今のところ、事務局+αでジャッジしているのですが、マニュアルにはそのような記載はないので、マニュアルが目指す姿とは食い違っているように思われます。なんでもかんでも経営陣に伺いを立てるのも変なので、ある程度裁量をいただいてもよいのでしょうが。
ルールがあったって…
また、現場が正しく?情報を上げてくれるかということも重要です。ルール上は報告事項なのに連絡がこないという、ルールの形骸化が生じていないか心配になります。
こういう問題は、得てして事務局メンバーの所属部署で問題になりやすいと感じます。実は、営業の最前線などのほうがルール通り実践してくれて、中枢にいくほどルーズになりやすい。(余談ですが、業務連絡を連発する部署こそ他部署発信のものを見ていない!)
たとえば、先日、不幸にも社員が事故に巻き込まれるということがありました。これが加害事故であれば、「危機」として、被害者対応、保険対応、広報対応、再発防止など各部署が連携してさまざまな対応をするので、事務局がリードすることになります。しかし、被害事故の場合、会社として迅速にできることはとても限定的で、しかもほぼ人事で完結することもあり、「危機」という認識はされずに事が運ばれていきます。結果、人身にかかわる事故なのに、「危機」と扱われず、親会社にもその経営陣にもオフィシャルにはエスカレートされませんでした。非公式にでも伝わっていればよいのかもしれませんが…
作った人が一番ルーズ?
我が社だけの「あるある」かもしれませんが、ルールを作った人(部署)がもっともルールにルーズになってしまうようです。
この問題は、人事異動の活性化などで部署の代謝を上げていくことで解決されるべきではないかと考えるのですがいかがでしょうか。