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大阪で働く法務パーソンのはなし

法のNewNormーNewNormConsortium Vol.2より

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コロナの専門家会議で「議事録がない」と話題になっているようです。「ない」のではなく、「まだ作ってない」のだと信じたい。。

さて、先週末、New Norm Consortiumという団体のオンラインイベントを拝聴しました。なぜなら、水野祐先生が登壇されるというから。期待に違わず、とても興味深いお話を聴くことができましたので、備忘録。

New Norm Consortiumとは

New Norm Consortiumは、「在宅勤務やリモートワークの基盤となるオンラインを前提としたより良い労働環境や住環境の実現に向け、調査・研究開発を行」う団体(プロジェクト)だそうで、気鋭のベンチャーから日本有数の大企業まで、そして、水野先生はじめ豪華な個人が参加しています。「New Norm」は「新しい当たり前」の意味です。(多くを語れるほど存じ上げなくて申し訳ない…)

そんなNew Norm Consortiumが、4月からオンラインイベントを開催されていて、2回目の先週末、それぞれ1時間の枠で次のようなテーマでセッションがありました。

  1. New Normから産まれるサービス
  2. ヒトとロボット・知能技術のNew Norm
  3. 契約のNew Norm

どのセッションも興味深いトークでしたが、法務たる者、やはり最後のセッションに気合が入ります。司会は京都芸術大学の小笠原治教授、登壇は水野先生と日本総研東博プリンシパルでした。

コロナショックでハンコ文化が俄かに脚光を浴びる

セッションの冒頭、とても興味深い指摘がありました。
緊急事態宣言でみんなテレワークしましょう!となったのに、「押印のための出社があってテレワークできない」という事態がありましたが、テレワークの障害として「押印」が顕著に現れたという指摘です。
ベンチャー気質の会社でも、オールドエコノミーの会社でも働いた経験のある私ですが、押印って本当に至るところにあります。契約書や官公庁提出書類のような対外的なものはもちろんですが、社内的な押印もかなりあります。たとえば、社内会議の議事録、経費精算、支払処理、社内の申請書類、業務連絡…そんなものいるのか?と思うものの、やめられずに今日に至っている風習。今まで当たり前のようにやってきたくせに、この段になって「テレワークの障害だ」「業務効率を下げる」という。
心の中では「やっと気づいたか」と思いながら、こうしてハンコ問題が一気にクローズアップされたことは、法務に携わる者としては不謹慎ながらうれしいです。今となっては、IT担当大臣もあの方で良かったのかもしれない。。

水野先生の鋭い指摘 「法が壁に」なっているのか?

イベントの直前、水野先生が日経新聞の記事を紹介されながら、次のようなご見解を述べられていました。

 

件の記事は、現在の電子署名法が当事者型の電子署名しか想定しておらず、今日本で普及しはじめた「事業者が電子署名を施す」タイプは電子署名法の要件を満たさないことを指摘し、証拠能力等に関するMHMの藤原先生のコメントも引用しつつ、法的リスクを恐れて電子契約の導入をためらう企業が多いと述べているわけですが、これに対し、

 

それは本当に「法が壁に」なっているのか?ということなんです。

と指摘されています。このお話がセッションでも。

「法律のせいで…」という人がいるけれど、「法律が壁なんじゃなくて、法律のせいにしたいだけではないか」と。すごくグサリと刺さります。痛いー。

さらに、「法律があるからダメというメンタリティがダメで、先に習慣を作っていくべきでは?できないことってそんなにない気がする」という提案も。それを地で行っているのが、クラウドサインなんでしょうね。

東さんも、グレーゾーン制度を利用して行政に相談すればできたりすることもあるし、「法律が法律が」と言いながら、やりたいことを聞いてみたら途端に抽象的になることも多いと指摘されていました。事業者も逃げているところがあるのですね。。

法律を廃止するインセンティブはない

もうひとつ書いておきたいのが、「法律を廃止する」という話。小笠原先生が、「法律って作るばかりでなくならない。もう今の時代にはいらないってやつは廃止してもうちょっとスリムにできないのか」という問題提起をされました。これ、激しく同意しますし、会社の社内規定にも言えると思う。なんで、もっと「減らす」ことを考えられないのだろう…
法律を作るインセンティブはあるけど、やめるインセンティブはないからという話だったのですが、一方で、トランプ大統領は法律をひとつ作ればひとつ廃止するというメタルール(ルールのルール)を作り実践したというお話もありました。

民法任意規定を全部廃止すれば、民法自体はだいぶスリムになりますが、それもちょっと不安ですよね。「常識」を取り上げられてしまう…何だったら廃止してもいいか?は難しいですね。普段見ない法律なら、あってもなくても関係ないし。。

次回も楽しみ

1時間があっという間で、他にも、

  • 法令は地方からデザインしていく必要があるのでは?
  • 日本はインターネットが普及する以前に社会の仕組みを作りすぎた
  • 自治体はスタートアップ的
  • 認知限界を考えたほうがいい時期に来たかも
  • 社会契約を日本国民は誰と結ぶ?
  • 分散納税できたらいいな

と行ったお話を聴くことができました。来月もイベントはあるそうなので、楽しみです!

在野でいいので、New Norm Consortiumの取り上げるテーマを研究できたら楽しそうだなぁ。