先週、ついに公文書の読点が変わるというニュースが。
「公用文作成の要領」の見直し
先週の文化審議会国語課題小委員会で、「新しい「公用文作成の要領」に向けて(中間報告)」が提出されました。
時代の変化に合わせて、「公用文作成の要領」を見直そうということで、ついに公用文でも読点は「、」となる方向のようです。ほかにも、状況に応じて疑問符や感嘆符を使うことが提案されていたり、読み手に敬意を払うことや親しみを覚えてもらうことも提案されています。
仕事柄、下請法や個人情報保護法などのパンフレットをよく使わせてもらうのですが、すでに十分読み手への配慮が感じられますけどね…
「公用文作成の要領」はお手本
私は、自分のチームに新たに配属されるメンバーには、配属時に「この表記コードを守って」と、公用文作成の要領をほぼ流用した内容のルールを渡しています。硬軟両方の書面を作成するので、完全な遵守は求めていませんが、特に硬派な書面を作成するときはそれを引用して指導することもしばしばです。さすがに、読点は「、」を使っていますが。
より現代に合わせた形でアップデートされるようなので、うちのチームの表記コードも見直さねば。
細部にこだわる
最近、ご縁があって、他社の若手社員の指導をさせていただく機会があり、改めて気づいたことがあります。それは、「細部へのこだわり」は重要であるということと、強い気持ちで指摘し続けなければ身についていかないということ。
うちのチームのメンバーは、配属されてから、「及び・又はの漢字・ひらがなが統一されていない」「数字の全角・半角が統一されていない」「インデントがずれている」「スペースで位置調整するな」などなど、形式的な指摘を私から大量に受けます。内容に関係がないので、嫌だろうとは思うのですが、これをやっていると形式が整うのはもちろん、実際には内容のレビューも濃いものになっている気がしています。それだけ、「よくみている」ということでしょう。
もちろん、「先方のドラフトだから、気づくけれど直さない」ことも多々ありますが、「見落とす」のと「気づきながら見逃す」のは、まったく異なります。
他社の若手社員の成果物をレビューしていると、そういう形式面の不備をスルーし、やはりレビューの質ももう一歩踏み込めておらず、うちのメンバーとの力の差をはっきりと感じました。個人の問題も多分にあるとは思いますが、まさに日頃の鍛錬の違いではないかと。
絵を描くには「みる」ことが大事だとよくアドバイスされるのですが、文章を読んだり書いたりするのも「みる」力を養うことが重要です。
読み手を意識する
細部の話はまだあります。法務がもっとも使用するオフィスソフトはWordですが、配属されたてでWordが使える人はあまりいません。うちに配属された直近の3名は、いずれも修正履歴も使えませんでした…
とはいえ、ボタンひとつですから、修正履歴を使えるようになることはたやすいです。しかしここで終わってはいけません。まずは、校閲者の統一ですね。うちのチームでは、社名略称に統一していますが、会社さんによっては「●●法務」とされるところもあります。
依頼のあった契約書に修正履歴をつけて返した後、検討や交渉の結果が反映され、再チェック依頼があることがあります。このとき、そのまま加筆して、1回目の修正と2回目の修正をわからなくしてしまうメンバーがいました。
「当事者意識」をチームのバリューにし、「相手の立場に立つ」ことを強く求めている私としては、カミナリものです。最初に就職したところでは、Wordの応酬が何回も続くことが珍しくなく(蛍光ペンでは足りないから、網掛け機能まで使います)、「回を重ねるときには色を変える」のはマナーと教えられるでもなく感じ取っていたのだけど…
しかし、件の他社の若手社員も同じことをしていたんですね…
知らないことは悪くないし、教えれば済む話ではありますが、自分の作成する書面を読む人を想像できなかったり、形式美を追求しなかったりすることは、結局内容にもこだわらないということだと、私は信じています。
よって、これからも細部へのこだわりは捨てずにおきます。