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大阪で働く法務パーソンのはなし

Legal Tech Japan Tour in 大阪 に行ってきた

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昨日、本町でLegal Tech Japan Tour in 大阪 というイベントがありました。

リーガルテックで注目される会社の「中の人」の話が聞けるというイベント。ベンチャー熱?は大阪にいるとあまり感じられないので、とても楽しみに参加したのですが、期待どおりでした。

参加者の属性が気になる

どなたかお目にかかったことのある方にお会いできるかも?と思いきや、誰一人いらっしゃいませんでした。。周りから漏れ聞こえる会話によると、弁護士さんや起業家の方が相当割合いらっしゃるようで、やはりいつも行くようなセミナーとはかなり毛色が異なります。参加者のみなさんとお話できたら、もっと面白いことになったかもしれません。

電子契約が浸透するには、心の壁を乗り越える必要がある

冒頭、クラウドサインの事業部長さんから、「電子契約が浸透するには心の壁を乗り越えないといけない。それは、地域単位で必要なこと。クラウドサインの利用も東京が圧倒的に多い。」といったお話がありました。

保管スペース、印紙税、期限管理など、紙ベースで生じる問題を考えると、電子契約を導入した方が絶対にいいと、大抵の方は考えると思います。でも、心の壁が邪魔をしているというわけです。では、大阪で、その他の地方で、電子契約を浸透させるために、誰がどうやって心の壁を取り払うのか。契約は紙とハンコで作るものと思っている「偉い人」にどうアプローチするのか。下からではちょっと厳しいと感じている私は、ただの力不足でしょうか…

リーガルテック先進事例に学ぶ日本の将来

前半は、リーガルテック先進国、アメリカのリーガルテックの昨年の注目トピックや注目されるリーガルテックサービスについて教えていただきました。アメリカではすでに契約書データの寡占化が進んでいるというお話が興味深かったです。こうやって巨大プラットフォーマーは生まれるのでしょうか。

ほかにも、スマートコントラクトを扱うリーガルテックもすでに実用化されているというお話もありました。契約締結から履行の過程がブロックチェーンで記録され、監査ログが残るだけでなく、履行の過程がモニタリングされることでペナルティも自動計算できてしまうとか、にわかには信じがたい未来を予感させられました。

翻って日本では、電子契約がようやく認知されつつあるというのが現在地でしょうか。

注目リーガルテック企業の「中の人」のディスカッション

後半は、法務ドキュメントのクラウドサービスを提供するhubbleのCEOの方と、登記申請書類の作成が簡単にできるサービスを提供するLegalScriptのご責任者と、クラウドサインの事業部長さんによるパネルディスカッションでした。

主なテーマは、5年後の日本の法務はどうなっているか。

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5年後の日本に弁護士や法務は不要か?

パネラーの総意は「それはない」でした。

ここでも興味深いお話ばかりだったのですが、改めてそうだなととりわけ思ったのは、「法務はデータ・ドリブンに変わっていかなくてはならない」ということ。反省を込めて、法務は「見える化」が進んでいなすぎると思います。見える化の仕方もわからないし。

しかし、昨日のお話では、アメリカのリーガルテックでは、自分たちがどこで相手に押し負けているかを見える化したり、自社の契約の特定の条項(たとえば支払条件)について、どんな定めを最も多く使っているかを示してくれるサービスもあるとのことでした。会社のためにもなりますし、法務でブラックボックスにしていたところを経営陣の目に晒すような契約アナリティクスは、比較的早く発展してくるのだろうなと感じました。

ほかにも、5年後は、契約の締結の仕方も変わってくるのではないかなど、始終興味深いお話でした。

5年後、どれくらいリーガルテックが浸透しているでしょうかね。